大手企業がIT人材を未経験者として採用する理由

2030年に約55万人が不足すると言われているIT業界。プログラミングスクールが乱立し、システムを構築するソフトウェアエンジニアの人材不足は解消されつつある。しかし、大手企業で特に足りないと言われているのが、データサイエンティストやビジネスアーキテクトといった「DX推進人材」だ。

彼らは、AIやデータサイエンスを活用し、ビジネスに付加価値を生み出すことのできる人材で、システム開発の際に発注者側として必要な人材となる。多くの採用担当者は、こうしたDX推進の旗振り役となる率先力人材の獲得に頭を悩ませている。

そんな中、大手企業のAI・デジタルサイエンス研修を手掛ける株式会社キカガクは、未経験者を対象に無料で「DX推進人材」を育て、転職サポートをする「AI キャリアブートキャンプ」(https://ai-career-bootcamp.kikagaku.ai/)を8月から開講した。

「AI キャリアブートキャンプ」は、第二新卒の未経験者や学び直しの人を対象にキカガクのデジタル人材育成プログラムを経て、AI・データサイエンス領域への転職を支援するサービスだ。

授業は、オンライン形式で週15時間×3ヵ月間で180時間程度の学習プログラム。Pythonを使用したデータ加工・解析、統計的手法とAIを活用したデータ化分析スキルの基礎を1か月目で学び、2ヵ月目にAIを活用したアプリの作成、DXプロジェクト企画立案、プロジェクトマネジメントなどの実践方法を学ぶ。3ヶ月目は、自身のキャリアビジョンに合わせて、履歴書・職務経歴書の作成・面接対策など具体的な転職活動をサポートしてくれる。

これまで、IT人材を採用する方法としては、経験者採用、従業員の研修(リスキリング)などがあったが、人材不足の中、未経験をリスキリングした転職希望者を採用する方法が大手企業などで注目されているという。

キカガクによると、政府が行う「学び直し支援策」として助成金や職業訓練などは、費用が高いため30代、40代の利用が多く、20代の若年層の利用が極端に低いという。「AIキャリアブートキャンプ」の研修費用は無料のため、こうした若年層を取り組むのが狙いだ。実際、「AIキャリアブートキャンプ」は、定員の1.5倍以上の応募があり、リスキリングしたいと考える若手未経験者のニーズは高い。

また、大手企業の研修を数多く手掛けるキカガクにより、若手の未経験者を率先力となる「使えるIT人材」に仕上げて、転職紹介する点が強みだという。今後、企業にとって「使えるIT人材」を生み出してくれる打ち出の小づちになるかカギになる。