2023年8月20日、PCオンラインゲーム『League of Legends』(以下、LoL)の国内プロリーグ「League of Legends Japan League」(以下、LJL)で、2023年夏季リーグ決勝戦「LJL 2023 Summer Split Finals」が開催されました。
会場は千葉県の幕張メッセ イベントホール。「DetonatioN FocusMe」(以下、DFM)と「Fukuoka SoftBank HAWKS gaming」(以下、SHG)が対戦します。5ゲームにわたる激闘の末、3-2で「DFM」が優勝を果たし、賞金1,000万円と世界大会「Worlds 2023」への出場権を手にしました。
前哨戦として開催された、人気ストリーマーたちによる「ストリーマーショーマッチ」を含め、4年ぶりにオフラインで開催された本大会の模様をお届けします。
ストリーマーも駆けつけ、4年ぶりのオフラインを盛り上げる
国内プロリーグ「LJL」では、2019年に立川立飛アリーナで開催された「LJL 2019 Summer Split」を最後に、新型コロナウイルスの影響でオフライン開催が難しい状況が続いていました。しかし、今年ついに復活を遂げ、4年ぶりにオフラインでの開催が実現しました。
今回の会場になった幕張メッセ イベントホールは、2017年の「LJL 2017 Summer Split」が開催された会場でもあります。2017年は「DFM」対「Rampage」の決勝戦が行われ、「Rampage」が優勝。当時も「DFM」のメンバーとして出場していた、Yutapon選手とSteal選手にとっては、優勝を逃した苦い思い出のある場所です。
この日は、4年ぶりのオフライン開催を盛り上げるべく、人気ストリーマーたちが集結。決勝戦の前にショーマッチとして、らいじんさん率いる「TEAM RAIZIN」と、たかやスペシャルさん率いる「TEAM TAKAYA」に分かれ、特別ルールでBo1を戦いました。この特別ルールでは、『LoL』の舞台であるルーンテラの地域名が書かれたカードを引き、その地域に属するチャンピオンのみピックできます。
ゲームが始まると、見どころに合わせて客席から大きな歓声が上がります。さらに、観客には叩くと光るサンダースティックが配布されており、盛り上がりが視覚的に伝わるのが印象的でした。特に、会場の客席を半分に分けて各チームを応援したショーマッチでは、活躍しているチーム側の客席でサンダースティックが一斉に光り、一体感が生まれていました。
ショーマッチは、Zerostさんのエイトロックスが猛威を振るい、大きくリードした「TEAM TAKAYA」が勝利。出演したストリーマーたちは、ショーマッチ後も会場からウォッチパーティーを実施したり、会場内でファンとの交流を行ったりと、さまざまな形で大会を盛り上げました。
グッズやファンアート、コスプレなど世界観を楽しむ要素満載
会場内には、物販エリアやフォトブース、ファンアートコンテストなど、さまざまなコンテンツが用意されました。なかでも物販エリアでは、大会公式グッズやチームグッズのほか、『LoL』チャンピオンのハットやぬいぐるみ、フィギュアなどのRIOT STORE JAPANグッズも販売され、グッズを求めるファンで長蛇の列ができていました。
入場時に配布される袋には、「LJL」に出場する選手やコーチ、キャスターのコレクターカードが、ランダムに1枚封入されています。このコレクターカードは、物販エリアでも1パック10枚入りで販売されており、目当てのカードを手に入れるために複数パック購入したファンも多かったようです。
また、会場には多くの『LoL』のコスプレイヤーが参加していて、声をかけて一緒に写真を撮ることもできました。参加したコスプレイヤーの数は、総勢40名超え。現在160体以上もの多彩なチャンピオンが存在する、『LoL』ならではの光景だといえるでしょう。
ファンアートコンテストには、選手やチャンピオンを描く、ハイクオリティな応援チアボードの作品が並びます。選手とチャンピオンを組み合わせたファンアートが象徴するように、大会のストーリーと『LoL』の世界観が合わさった空間になっているところが、「LJL」オフラインならではの魅力の1つになっていました。
シーソーゲームが続く決勝戦、勝負の行方はゲーム5へ
いよいよ決勝戦が始まり、ステージに「DFM」と「SHG」の2チームが入場しました。決勝戦は、3ゲーム先取のBo5で行われます。絶対王者チームである「DFM」は、シーズン中にチーム内でのハラスメント問題が発覚し、KazuコーチとCerosコーチ、そしてトップレーナーのtol2選手との契約を解除。これにより、急きょ体制変更が行われました。
「DFM」のロースターは、Yutapon選手(トップ)、Steal選手(ジャングル)、Aria選手(ミッド)、Milan選手(ADC)、Harp選手(サポート)。Yutapon選手がADCからトップレーナーにロールを変更し、かつADCには「DFM Academy」からMilan選手を迎えた、新たな体制です。
対するチャレンジャー「SHG」は、セミファイナルで「Sengoku Gaming」を下し、念願の決勝進出を果たしました。ロースターは、Kinatu選手(トップ)、Blank選手(ジャングル)、DasheR選手(ミッド)、Marble選手(ADC)、Vsta選手(サポート)。「DFM」に比べてオフライン経験の少ない選手が多く、十分なパフォーマンスを発揮しきれるかどうかに注目が集まっていました。
ゲームが始まると、両チームの応援コールに続いて、ファンが歓声を上げます。応援するチームによって座席は分かれていませんでしたが、声援を聞く限りでは、両チームを応援する声の大きさはほぼ同じでした。ゲーム中は、集団戦が起こるたびに一体感のある歓声が上がり、オフラインならではの迫力を感じる圧倒的な盛り上がりに包まれます。
ゲーム1では「DFM」が勝利を収めるスタートを切るも、ゲーム2では「SHG」が勝利。続くゲーム3を「DFM」が制し、先に優勝への王手をかけましたが、ゲーム4では「SHG」が再び取り返します。両チームともに見せ場をつくりながらゲームを取り合い、勝負は最終ゲーム5にもつれ込む展開になりました。
集団戦のときの歓声の一体感と迫力めっちゃすごい🔥🔥🔥
— 綾本ゆかり / Yukari Ayamoto (@ayayuka99) August 20, 2023
#LJL2023FINALS pic.twitter.com/h5PBXfj81h
「DFM」が6連覇の記録樹立、世界大会「Worlds」出場へ
運命のゲーム5を目前に、会場では「Silver Scrapes」が流れます。この曲は『LoL』のプロシーンで、Bo5のゲーム5に達したときにだけ流れる音楽。国内では、通称“テレーレ”と呼ばれています。暗転した客席では、ファンが掲げるスマホのライトが曲に合わせて左右に揺れ、最高潮の盛り上がりでゲーム5を迎えました。
大きなプレッシャーのかかるゲーム5。「DFM」は序盤、Yutapon選手のホッピーでの活躍が光り、リードを握ります。しかし、中盤では「SHG」が集団戦でシャットダウンを獲得し、ゴールド差を縮めることに成功。「SHG」に逆転のチャンスが生まれたことで、息をのむゲーム展開に突入します。
手に汗握る戦いが続くも、逆転を許さなかった「DFM」。最後は、Milan選手のゼリがダブルキルで勝負を決め、5ゲームにわたった激闘に決着をつけました。この勝利により「DFM」が優勝に輝き、「LJL」6連覇の記録を樹立。そして、韓国で開催される世界大会「Worlds 2023」への出場権を獲得しました。
試合後には、両チームの記者会見が行われました。「SHG」のAresコーチは、あと一歩のところで勝敗を分けた要因について、「プレイオフでの最終試合も今日の試合も、相手のほうが集中力があって、自分たちはその点で少し足りなかった」と回答。記者会見の途中には、Kinatu選手が涙を見せる場面もあり、優勝を逃した悔しさをにじませました。
「DFM」のYutapon選手は、急な体制変更を乗り越えての優勝について、「急な変更で準備する期間も全然なく、昔自分がトップレーナーをしていたときに比べて、チャンピオンもかなり増えています。それでも、今まで『LoL』というゲームを十数年やってきた経験値があるからこそ、どうにかできた部分があったのかなと感じます」と振り返りました。
また、初のオフラインを経験した「DFM」のMilan選手は、「ゲーム4で負けてしまって、どうなるんだろうと思いながら下を向いて歩いていたら、お客さんが僕の名前を呼んで、『がんばれ!』と言ってくれて。それで気持ちを切り替えて、がんばろうという気持ちになれました」とコメント。会場で送られたファンの声援一つひとつが、こうして選手の力になっているのだと、改めて感じさせてくれました。
「DFM」が出場する世界大会「Worlds 2023」は、10月10日よりスタート。「DFM」は、「LJL」で長年活躍を見せたトップレーナー、apaMEN選手の現役復帰とチーム加入を発表しており、新たなロースターでの出場も予想されます。「Worlds 2023」は、全日程で日本語配信が行われる予定です。世界に挑む「DFM」の活躍を、ぜひ応援しましょう。