ウイスキーの何がいいって、自分好みに飲み方を選べることじゃないですか? 暑さが続くこんな時期にはハイボールでスカッといきたいし、香りと余韻を楽しみながらロックやストレートでゆったりと味わったり。それからもうひとつ、ウイスキーってやっぱりカッコいいんですよね。
そんなわけで今回、タリスカー蒸溜所秘蔵の原酒をボトリングした「タリスカー11年」の発売を記念して行われた試飲会で、ウイスキー初心者でもその魅力がわかる“究極のテイスティング方法”を教えてもらいました。
教えてくれたのは、MHDシングルモルト アンバサダーを務めるロバート・ストックウェル氏、通称ボブさん。スコッチウイスキーの本場・スコットランドなど4カ所のモルトウイスキー蒸溜所で働いた経験を持ち、醸造から蒸溜、熟成、比較テイスティングまで、シングルモルトの製法の全てを取得したスペシャリスト。軽妙でチャーミングな語り口とその確かな知識を活かして、日本全国でシングルモルトの魅力を紹介しています。
ウイスキーのテイスティングの3つのポイント。さらに4つめが…
そんなボブさんいわく、ウイスキーのテイスティングにおけるポイントが、色を確認すること、香りを楽しむこと、味わうことの3つ。そして様々な蒸溜所でマスターブレンダーたちと仕事をする中で、「4つめの大事な要素があると悟っちゃった」と語るその重要なポイントが、「いかにカッコよくテイスティングできるか」。身も蓋もないけれど、本質を突いている!
「せっかくシングルモルトを飲むなら、格好もつけたいですよね、でもただ単にカッコつけるのは、一番カッコ悪い」という名言が飛び出したところで、しっかりと理屈にかなった上にカッコよく見える、ボブさん流・テイスティングを教えて頂きましょう。
グラスの持ち方
まずはグラスの持ち方。寒いスコットランドではグラスを包み込むように持ちますが、日本でそれをするとウイスキーが温まり過ぎてしまうので、本体部分に手が触れないよう、人差し指と親指でベースのところを持ちます。香りを嗅ぐために、すぐに鼻を近づけたくなるけれど少し待って、まずはグルグルとグラスを回していきます。これにもちゃんと理由があって、ウイスキーを空気に触れさせるため。何年間も樽の中で寝かされていたウイスキーを、揺らしながらゆっくりと起こしていきます。いわば準備運動。
ウイスキーの色を見る
その道のプロやツウの方々は、揺らしたウイスキーがグラスの内側を垂れるその太さや間隔、降りてくる速度などで、アルコール度数や熟成感を見ていくそうですが、上級過ぎるのでここでは割愛。グラスをまわしながら、色を見ていきましょう。グラスを持った腕を伸ばして、思いきり自分の身体から離して、見る。グラスを時計の針にみたてるなら、右利きの人は10時、左利きの人は2時の角度にグラスを傾けます。そして頭は逆の角度の10分(左利きなら50分)に傾けて、グラスを眺めます。グラスを傾けるのは色を見やすくするためで、頭を傾けるのは、「単なるカッコつけ」とのこと。あ、この角度は確かにカッコいいぞ。
ウイスキーの香りを嗅ぐ
香りを嗅ぐときにやってはいけないのが、「グラスに鼻をつっ込んで単にスーッと鼻から吸いこむ」こと。度数が高い蒸溜酒は神経を鈍くする働きがあるので、口で呼吸するのがポイント。そうすれば鼻にツーンとくることはなく、ウイスキー本来の香りが出てくるそう。
スコッチを飲むときの「乾杯」は
スコッチウイスキーを飲むときの乾杯は、「slàinte mhòr(スランジ バー)」。これは「あなたの健康を祝って」という意味のゲール語で、この発声とともに乾杯するのが粋なのだとか。ボブさんの「スランジ バー」のかけ声で、参加者は3種類の「タリスカー」をテイスティング。タリスカーは“海に育まれたシングルモルト”のキャッチコピーが示すとおり、ミストアイランド=霧の島と呼ばれるスコットランド北西部のスカイ島の蒸溜所で生まれた、海の潮気を感じる風味と黒胡椒の香味が特長のシングルモルトです。
このほど数量限定で発売されたディアジオスペシャルリリース「タリスカー11年」は、タリスカー蒸溜所がリザーブしていた極めて少量の希少な原酒を、カスクストレングス(加水せず蔵出しそのままのアルコール度数)でボトリング。潮風の香りとスパイスの効いた香り、さらにファーストフィルのアメリカンオーク樽の甘さが味わいに奥行きを与えています。カスクストレングスなので、「飲み手が自分の好みの味になるように水を足して、個性を出せる」と、このスペシャルなボトルの魅力を語るボブさん。加水をしながら、自分にとっての“一番美味しい味”を探っていく、そんな飲み方が楽しめる逸品となっています。