「大勢の人の前に立つと緊張してしまう」「意見を求められると緊張して何も言えなくなってしまう」という人は多いでしょう。
本記事では「緊張しい」の言葉としての意味や標準語なのか、類語や英語表現を紹介。「緊張しい」と言われる人の特徴や性格と原因、長所・短所、直すための方法もまとめました。
「緊張しい」の意味や由来とは
「緊張しい」とは、緊張しやすい人を指す言葉です。
人前で何かを発言しなければならないシーンや、初対面の人や店員さんに話し掛けなければならない際などに緊張してしまい、うまく言葉が出てこない、頭が真っ白になるというような人は「緊張しい」に当てはまると言えるでしょう。
「緊張しい」は方言? 標準語? 言葉の由来
「緊張しい」という言葉は、関西弁の一種といわれています。
関西では人の特徴に対して「◯◯しい」と表現します。標準語にするならば「○○する人」「○○しやすい人」と考えるとわかりやすいでしょう。
例えば、ささいなことでも気にしやすい人は「気にしい」、何でもかんでも自慢する人に対しては「自慢しい」、格好つけたがる人は「ええかっこしい」、余計なことをしがちな人は「いらんことしい」などと表現します。
そのため「緊張しい」は、「緊張しやすい人」というわけです。
「緊張しい」の類語・言い換え表現
「緊張しい」の類語としては「緊張しやすい人」「あがり症」などが挙げられるでしょう。
先ほど紹介したように「緊張しやすい人」のことを、関西では「緊張しい」と言います。
標準語でいう「緊張しやすい人」と意味は同じではあるものの、ニュアンスとしては「緊張しい」の方が親しみやすさを感じられる表現です。
「あがり症」は、極度に緊張しやすい体質であることを表しています。
しかし「あがり症」は、「緊張しい」や「緊張しやすい人」よりも、日常生活に支障をきたすほど深刻なケースも含まれるため、「社交不安障害」と呼ばれる病気の一種として表現される場合もあります。
漢字で「上がり症」と書くこともあります。
「緊張しい」の英語表現
英語で「緊張した」を表す英語は「nervous」や「tense」です。カタカナ語でも「あの人は今ナーバスになっているから」などと聞いたことはあるでしょう。
「nervous」は不安・緊張でネガティブになっているというニュアンスが含まれ、「tense」は緊張してピリピリしているような心理状態を表します。
「緊張しい」を表したい場合は、「tense」よりも「nervous」の方が日本語と近い表現ができるでしょう。状況に応じて、以下の例文のように使い分けましょう。
I get nervous easily.
(わたしはすぐに緊張して不安になってしまいます)I get tense easily.
(わたしはすぐに緊張してピリピリしてしまいます)
「緊張しい」の特徴3選
この章では、「緊張しい」に共通して見られる特徴を紹介します。
自分が「緊張しい」か分からない人は、当てはまるものがないかを確認してみましょう。
緊張のため声が上ずる
人は緊張すると、無意識のうちに体へ力を入れてしまいかちなので、喉の筋肉にもこわばりを与えてしまうことがあります。
喉の筋肉がこわばると声が上ずってしまったり、変な発音になってしまったりしてしまいます。さらに、声が上ずってしまったことで「変な声が出てしまった!」と余計に緊張が高まるという悪循環につながることもあるでしょう。
手や足が震えてしまう
「今から発表しなければならない」「上司が来たら失敗を報告しなければならない」など、これから緊張するような場面が控えている際に、手や足が震え始めることがあります。
手や足の震えは、自律神経が緊張によって乱れてしまうことから起こります。震えを抑えようと思うほど焦って、余計に緊張してしまうこともあります。
モジモジしてしまう
緊張からモジモジしてしまうという特徴が見られることもあります。
意見を求められているのに頭が真っ白になり言葉に詰まる、相手を呼び止めたものの、はっきりせずなかなか話し出すことができないなどの行動が見られます。
意見を求めた側や、呼び止められた側からすると「どうしたんだろう?」と思ってしまいますが、本人にとっても頭の中がパニック状態です。相手を待たせている状況で余計に頭が真っ白になり、モジモジしてしまいます。
「緊張しい」の性格・原因とは
「どうして自分は緊張しいなんだろう」と思う人もいるでしょう。「緊張しい」は元々の性格によるものやトラウマが原因であるケースがあります。
この章では、「緊張しい」と言われる人によくある性格や原因を紹介します。
真面目すぎる
「緊張しい」と言われる人に多い性格は、真面目であることです。責任感を常に持ち、ミスがないように取り組む真面目な性格は、気を抜いてもいい場面でも緊張感を保ちがちです。
また「失敗したらどうしよう」という不安がいつも胸につきまとっており、何事も深刻にとらえてしまいます。
「絶対に失敗したくない」という気持ちが強すぎるために、ささいなことでも緊張してしまうのでしょう。
自分に対する自信がない
「緊張しい」の人は、自分に対する自信を持っていないことが多いです。
例えば「緊張しい」ではない人の場合であれば、何回も経験した仕事であれば「もう完璧にできる」と自信を持つでしょう。
一方で「緊張しい」と言われる人は、何回も経験した仕事でも自信がなく「前回は成功したけれど、今回は失敗するかもしれない」とネガティブに考えてしまいます。
自分に対して自信を持てない人、ネガティブな人は堂々とした立ち振る舞いができず、周囲からも「緊張しい」のイメージを持たれてしまうでしょう。
過去の失敗をひきずっている
元々「緊張しい」ではなかったにも関わらず、過去の失敗がトラウマとなり「緊張しい」になってしまうケースもあります。
「もう、あのような失敗はしたくない」という気持ちが強すぎて、緊張状態に陥ってしまうのでしょう。
「緊張しい」の長所と短所
「緊張しい」は本人にとって短所でしかないように感じるでしょう。確かに短所となるケースはありますが、長所になることもあります。
「緊張しい」である自分を受け入れるためにも、長所と短所を理解しておきましょう。
「緊張しい」の長所(メリット)
「緊張しい」と言われる人は、物事を慎重に判断する人が多いです。成功したパターンだけではなく失敗するパターンも想像しているため、失敗を犯すリスクに対しても対処できるのです。
「ここは失敗しやすいから慎重に行おう」「先に準備しておくと失敗が起きないだろう」と、先をしっかり読んで行動ができるため、大きなミスをすることは少なく、準備に抜かりが無いという長所を持っています。
「緊張しい」の短所(デメリット)
「緊張しい」と言われる人は、黙々と個人で進める仕事に対しては力を発揮しやすいでしょう。
しかし部署内で連携しなければならないことや、自分の分からないことが出て来てしまった際には「どのように伝えよう」「前にも教えてもらっていたことだったらどうしよう」などと考え込んでしまいます。
いざ勇気を出して伝えようとしても、頭が真っ白になってしまいうまく相手に伝わらなかったり、間違って伝わってしまったりすることもあるでしょう。
他の人からすれば「なんでちゃんと説明してくれないんだろう」「分からないなら早く聞けばいいのに」と思われてしまうこともあり、人間関係の構築に影響することもあります。
緊張しやすいことを改善する方法
「緊張しい」は個性ではあるものの、本人からすると改善したいと思うものでしょう。
すぐに「緊張しい」を直すのは難しいとしても、ちょっとしたことから取り入れて成功体験を積み重ねていくことで、改善を目指しましょう。
大きく深呼吸をしてみる
緊張状態に陥ってしまうと、人は呼吸が浅くなります。呼吸が浅くなることは、どんどん自分自身を緊張状態に追いやっていることと同じです。
自分が緊張していると感じたときや、緊張してしまうことが控えているときは、意識して呼吸をゆっくりと、大きく行いましょう。
呼吸が落ち着けば、緊張状態を和らげられるはずです。
大勢の前での発表の際は、自分の目の前の人だけを見る
会社内でのプレゼンや、学校の発表会など、大勢の人の前で何かを発言しなければならないこともあります。
「大勢の人が自分を見ている」と思うと、余計に緊張してしまいます。そんな時は、大勢に伝えようとするのではなく、自分の目の前にいる人だけに向けて伝えるように意識してみましょう。
特に緊張するのは出だしのタイミングでしょう。一度話を始めてしまえば、後は流れに身を任せられるはずです。
信頼できる人に協力を求める
大勢の人の前で発言する際に、信頼できる人にあらかじめ協力を仰ぐのもいいでしょう。
自分が緊張しいであることを伝え、自分が話している間は大きくうなずく、もし言葉に詰まっていたら助け舟を出すなどをしてくれるようにお願いしておくのです。
一人でも味方がいるとわかると心強く、安心できるものです。
緊張していることを先に相手へ伝える
初めて会う人と打ち合わせがあるときや、上司に伝えたいことがある場合は、最初に「ちょっと緊張しています」と前置きし、緊張していることを相手に素直に伝えるのもいいでしょう。
前置きがあることで、この後に頭が真っ白になり言葉がうまく出てこなくても「緊張しているんだな」と相手に理解してもらいやすくなります。
人によっては「私も緊張しています」と返してもらえるケースや、「そこまで緊張しなくても大丈夫だよ」と気に掛けてくれる人もいます。
前置きがあることで、お互いリラックスして話を進められるでしょう。
緊張しいを克服しよう
全く緊張しない人も世の中にはいますが、大半の人は緊張をしつつも、緊張する場面と上手に付き合っています。
「誰でも緊張するもの」あるいは「自分のことは案外誰も気にしていない」と客観的に捉えることで、「大して気にすることでもないな」と思えるようになるはずです。
紹介した改善策を取り入れながら、うまく「緊張しい」の自分を乗り越えてみましょう。