伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦(主催:新聞三社連合、日本将棋連盟)は予選が進行中。8月21日(月)には第7ブロックの杉本昌隆八段―西川和宏六段戦が関西将棋会館で行われました。対局の結果、146手の激戦を制した西川六段が次回戦進出を決めました。

正統派の三間飛車

西川六段は1回戦で長岡裕也六段を破っての登場、杉本八段は本局からの参加です。振り駒が行われた本局、後手となった西川六段は三間飛車に構えました。角道を閉じたまま美濃囲いに組むのは西川六段が得意とするオーソドックスな指し方。先手の杉本八段が居飛車穴熊の堅陣に組み上げるのも気にせず陣形整備を進めます。 

駒組みが頂点に達したところで先手の杉本八段が仕掛けを敢行します。右辺の歩を次々に突き捨てたのがその手始めで、2筋に垂らした歩をと金にする手を見せて後手の焦りを誘う意図が見て取れます。右辺で激しい戦いが繰り広げられたのち、盤上は杉本八段の香得と西川六段が5筋に垂らした歩のどちらがより働くかという構図に落ち着きました。

西川六段が終盤の激戦制す

この数手後、手にした香を元手に杉本八段が銀得の戦果を挙げたあたりから徐々に形勢の針は先手に触れ始めますが、西川六段も受けの勝負手を連発して離れません。二枚飛車に攻め立てられ落城寸前かに見えた美濃囲いに持ち駒の金を打ち付けて再生したのが実戦的な好手で、終盤戦の入り口にしてとたんに西川六段の玉は見えなくなった格好です。

手番を得た西川六段は豊富な持ち駒を生かして居飛車穴熊攻略に乗り出します。敵陣一段目に控える香の前にガツンと金を打ち付けたのが「寄せは俗手で」の格言通りの決め手となりました。終局時刻は19時8分、最後は自玉の受けなしを認めた杉本八段が投了。勝った西川六段は次回戦で久保利明九段-糸谷哲郎八段戦の勝者と対戦します。

水留啓(将棋情報局)

  • 本局の結果を受けて両者の対戦成績は西川六段の4勝1敗となった

    本局の結果を受けて両者の対戦成績は西川六段の4勝1敗となった