国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)はこのほど、行動経済学者の太宰北斗氏に尋ねた、"人の習性"から考える「英語学習のモチベーション維持」に関するコメント・学習メソッドを公開した。

  • 行動経済学 太宰北斗氏教授監修 つづくTOEIC英語学習法

早速、行動経済学の観点からおすすめする「理想の英語の学習方法」を紹介していく。

①学習の「目的」と「現在地」を確認する

太宰氏によると、英語学習を始める前に目的を確認することが大切だという。ゴールが見えないまま走り出す・走り続けるのは、モチベーションが続かなくなる要因のひとつとし、明確な「ゴール(目的)」の確認が、自分の行動を起こす・継続する鍵になるとしている。

例えば、「仕事で海外に行きたい」「海外旅行で現地の人と交流したい」など、可能な限り"具体的"な目的を設定できるといいそう。

②目的を達成するための「目標」を立てる

目的を効率よく達成するために必要なことが「目標」の設定。小さな目標でもいいので、具体的に"達成可能な目標"を立てるようアドバイスしている。

また、「目標を達成することを繰り返せると、モチベーション維持につながりやすい」ことが、行動経済学の観点でも明らかになっていると説明。例えば、「仕事で海外にいく」という目的に対し、「1年後の配属希望までに必要な英語力を身に着ける」といったイメージとのこと。

大きな目標から小さな目標へ、中期目標から短期目標へ、「達成しやすい」ことを念頭に置いて目標を立ててみることもいいそう。なぜなら、目標は数値化(スコア、ページ数、学習時間や日数など)できると、より達成を実感しやすくなるため。さらに、最初に「今の英語力」を確認しておくと、ゴールまでの距離や進捗が把握できるとしている。

③無理のない内容・ペースで学習する

次に行うのは、設定した目標に合わせて、無理のない学習計画を作成すること。「自分のペース」に合わせて作成することが大切で、小さな目標を設定すると効果的だという。

  • 無理のないペースで学習しよう

太宰氏は「実は人間は、5分でも勉強を始めると、その後も学習を続けられる確率が高くなることがわかっています」とコメント。「1日5分英語でニュースを聞いてみる」「電車に乗ったら英語のアプリを開く」など、毎日のスキマ時間を使って英語に触れる習慣を作ることから始めてほしいとのこと。

★ポイント:学習継続のコツ

日々の学習の中で「目標達成に着実に近づいている実感」が持てると、モチベーションも上がる。「テキストを何ページ進める」「単語帳を1ページ覚える」など、着実に達成できる目標を小まめにセットするといいそう。

④学習の成果を測る

学習の成果を測るために、テストなどを活用して英語力を確認しよう。思ったように伸びていなくても、学習してきたことが無駄になったわけではないので、気落ちする必要はないとのこと。今までに積み重ねてきたことを思い返し、小さな目標達成を積み重ねて得た成功体験は、次の目標へ向かう原動力になるとしている。

⑤振り返り、次の「目標」を立てる

テストなどの結果を振り返り、英語力が伸びているところ・もう少し学習が必要なところを確認した上で、次の目標を立てるのも効果的。最初に立てた「目標」や学習計画を振り返って、自分に合った計画に変更するようアドバイスをしている。

また、学習のモチベーション低下を感じたときは、最初に設定した「目的」に立ち返るのも効果があるという。


太宰北斗氏は名古屋商科大学商学部教授。2005年、慶應義塾大学文学部人文社会学科卒業後、消費財メーカー勤務を経て、2015年、一橋大学大学院商学研究科博士後期課程修了。同年、一橋大学大学院商学研究科特任講師に就任し、2016年より名古屋商科大学勤務、2023年より現職についている。