ビジネスシーンで敬語として使われることが多い「ご返答」という言葉ですが、自分に使っていいのか迷った経験がある人も多いのではないでしょうか。今回は「ご返答」のビジネスシーンでの使い方や例文、「ご回答」「ご返信」との違いについても解説します。

「ご返答」とは? 読み方と意味

  • 「ご返答」の意味とは

    「ご返答」の意味を解説します

「ご返答」の読み方は「ごへんとう」です。「返答」に接頭語の「ご」をつけた敬語表現であり、相手の返答に対して「ご」をつけると尊敬語に、自分の返答に対してつけると謙譲語になります。

「返答」の意味は以下の通りです。

へん‐とう 【返答】 ‥タフ
問われたことに答えること。呼ばれた時のうけこたえ。いらえ。返事。「―に窮する」「ノックしても―がない」

[広辞苑 第七版]

「ご返答」と「ご回答」「ご返信」との違いとは

ここでは、「ご返答」と、類語として挙げられる「ご回答」「ご返信」との違いについて解説します。

「ご返答」と「ご回答」との違い

「ご返答」に類似した言葉で「ご回答」という語句があります。この2つの言葉はどちらも問いかけに対して答えるという意味があり、同じような使い方をされますが、実は違いのある言葉です。

「ご返答」は、相手からの質問や呼びかけに対して、反応することを表すときに使います。一方で、「ご回答」は、相手からの質問や要求に対して、具体的な答えを返すときに使います。

つまり、「ご返答」と「ご回答」は、どちらも相手からの問いかけに答えることを意味しますが、「ご返答」には相手からの質問や問いかけなどにリアクションを返すこと、呼びかけに応答することも含まれるのです。

「ご返答」と「ご返信」との違い

「返答」は「問われたことに答えること」「呼ばれたときに返事をすること」という意味ですが、「返信」は「返事の手紙やメールを送ること、またはその手紙やメール」という意味です。

つまり「ご返答」は口頭で使われることが多い一方で、「ご返信」は手紙やメールでのやりとりの際に使用されるという違いがあります。

「ご返答」は自分に使える?

先述したように、「ご返答」は、尊敬語として相手に使用できるだけでなく、謙譲語として自分に対しても使用できる言葉です。

「ご返答」は相手に返事を求める際によく使用されますが、以下の例文のように自分が相手に対して返事をする状況でも使用できます。

  • お問い合わせいただいた内容について、この場でご返答いたします

「ご返答」の使い方・例文

  • 「ご返答」の正しい使い方・例文

    「ご返答」の使い方や例文をご紹介します

「ご返答」は、「返答」という言葉に丁寧語となる接頭語の「ご」がついたものです。そのため、使用する際には「ご返答」の前後につける文章も敬語にする必要があります。

例えば、「ご返答をお待ち申し上げております」や「詳細を確認次第、ご返答申し上げます」などが例文として挙げられます。

丁寧語とするなら、接頭語は「お」でもよいのではないか、と思われる方も多いでしょう。

しかし、基本的に和語、つまり訓読みの語句の場合は「お」をつけますが、漢語、すなわち音読みの語句の前につけるときは「ご」が適切であるため、返答の場合「お返答」とは言わず「ご返答」と表します。

目上の人から返答をもらいたい場合の使い方・例文

「ご返答」は、接頭語の「ご」をつけることによって丁寧語に変化する敬語表現です。そのため、ビジネスシーンや目上の人に対して使用できます。

使用の際は「ご返答」の前後につける文章や言葉も敬語表現にしましょう。また、「恐縮ですが」や「恐れ入りますが」「申し訳ありませんが」などの表現を添えると、さらにやわらかく丁寧な印象を与えられるでしょう。

相手に返答を促す際に「返事をください」という断定的な表現を用いると、相手に命令されているような感覚を抱かせてしまいます。相手やシチュエーション、文脈に応じてクッション言葉を使うようにするとよいでしょう。

  • 「今月中にご返答いただけますと幸いです」
  • 「お忙しい中大変恐縮ではございますが、ご返答をお待ちしております」

自分が返答する場合の使い方・例文

「ご返答」は前後の文脈によって、尊敬語、謙譲語、丁寧語のどの意味にも変化します。そのため、自分が返答する場合に使用することも可能です。

自分が返答するときに使用する場合は、前後の文章を謙譲表現にしましょう。例えば、「ご返答」の後ろに「いたします」というへりくだった表現を付け加えることで、謙譲表現に仕上がります。

  • 「その件につきましては担当者からご返答いたします」
  • 「ご返答が遅くなりましたことお詫び申し上げます」

「返答不要」を伝えるときの表現

  • 「返答不要」を伝えるときの表現

    「返答不要」を伝えるときの例文をご紹介します

送ったメールに対して、返信は必要ないことを相手に伝えたい場合、「返答不要」もしくは「返信不要」という言葉を使用します。

しかし、相手を気遣って使われる「返答(返信)不要」という言葉ですが、単にそれだけを記載すると突き放したような印象を与えかねないので、以下のように表記しましょう。

  • ご返答(ご返信)は不要です

  • ご返答(ご返信)には及びません

  • ご返答(ご返信)は無用です

  • お気遣いは不要です

「ご返答」の類語・言い換え表現

  • 「ご返答」の類語・言い換え表現

    「ご返事」や「ご返信」など、「ご返答」の類語を紹介します

ここでは、「ご返答」の類語・言い換え表現を紹介します。

「お返事」「ご返事」

「ご返事」あるいは「お返事」は問いに対する答えという意味を表し、「ご返答」とほぼ同じニュアンスを持つ表現です。

また、「ご返事」も「ご返答」と同様、口頭で使用する以外に、手紙やメールでも使用できます。

「返事」を敬語として使う場合、「返答」と同じように接頭語を使用します。「返事」も漢語であるため、本来「ご返事」が適切ですが、一般的に広く使われている言葉は「お返事」のほうであるため、相手の立場や状況に応じて、「お返事」を使用してもよいでしょう。

「ご返信」

「ご返答」の類語として「ご返信」という言葉もしばしば使用されます。

「返信」は返事の手紙やメールを送ることを指します。「返信」という語句に丁寧語の接頭語「ご」を組み合わせて変化させた言葉が「ご返信」です。

「ご返答」と同じく、尊敬語としても謙譲語としても使えるため、ビジネスシーンでよく使われます。

「ご返答」が口頭でのリアクションにも使用できることに対し、「ご返信」は手紙やメールなどで使用される言葉であるため、場面や状況をよく確認して使うようにしましょう。

「ご返答」は自分にも相手にも使える

「ご返答」は、相手からの返事を求めるときにも、自分から返事を返すときにも使えます。尊敬語にも謙譲語にもなるため、相手や状況に応じて使い分けできるようにしましょう。