東京商工リサーチはこのほど、「最低賃金引き上げに関するアンケート」調査の結果を発表した。調査期間は8月1日~9日、調査対象は国内企業、有効回答は4,885社。
まず、最低賃金の上昇にどのような対策を実施・検討しているか尋ねると、「商品やサービスの価格に転嫁する」が最も多く36.3%。次いで「設備投資を実施して生産性を向上させる」が23.4%、「雇用人数を抑制する」が12.4%と続き、何らかの対策に言及した企業は61.0%を占めた。他方、「できる対策はない」は11.2%、「最低賃金上昇の影響はない」は27.7%だった。
規模別にみると、「雇用人数を抑制する」は中小企業が12.9%、大企業が9.0%と3.9ポイントの差があった。「設備投資を抑制して財務負担を低減させる」も中小企業は7.1%で、大企業の4.1%を3.0ポイント上回った。
続いて、許容できる来年度(2024年度)の最低賃金(時給)の上昇幅は最大でいくらか聞くと、「50円以上」が50.6%、「50円未満」が49.3%との結果に。また、「50円未満」の企業のうち、全体の15.9%が「許容できない(0円)」と答えたことがわかった。
東京商工リサーチは「物価高の影響もあり、最低賃金の引き上げを含む賃上げは企業の重要課題になっている。だが、業績アップが伴わない人件費上昇は、経営に深刻な打撃を与えかねない。既存の賃上げ支援策の周知だけでなく、実効性のある新たな制度の拡充も重要になっている」と分析している。