エス・ピー・ネットワークは8月17日、「カスタマーハラスメント(カスハラ)」に関する実態調査の結果を発表した。調査は7月14日~16日、企業でクレーム対応を行った経験のある20代~60代の会社員1,030人を対象にインターネットで行われた。
「カスハラ」とは?
カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、顧客等からの職場環境が害されるレベルの不当要求のこと。自社側に落ち度がないにもかかわらず金品等を要求する、または落ち度があっても暴行や脅迫など非常識な言動で要求を迫るといった不当要求が、高圧的かつ長期間にわたって繰り返されたり、暴行によって受傷したりする言動を指す。
直近1年におけるカスハラ被害の有無を聞いたところ、64.5%が「受けた」と回答。被害回数を業種別にみると、サービス業で特に多く「11~15回」が44.4 %、「16回以上」が33.3%を占める結果に。サービス業の現場では、かなりの数のカスハラが行われている可能性が。
カスハラする人の特徴
また、どのような相手がカスハラをしてくるのかを調べたところ、81.1%が「男性」であることが明らかに。年代では「50歳代」(40.6%)、「40歳代」(22.3%)、「60歳代」(17.2%)と、40歳代~60歳代が多い結果に。性別と年代を掛け合わせると、50歳代が男女ともに全体の約4割を占めた。
カスハラの内容は?
次に、カスハラの内容を聞いたところ、卸売・小売業(百貨店・スーパー・コンビニ)では半数以上が「執拗な(しつこい)言動」(55.6%)、「威圧的な言動(大声を出すなど)」(55.6%)、「責任がないにも関わらず商品の交換や金品を要求」(51.9%)のカスハラを受けたことがあるよう。交通インフラ業でも、半数以上が「執拗な(しつこい)言動」(50.0%)、「威圧的な言動(大声を出すなど)」(55.0%)のカスハラを受けたことがあると回答した。
一方、取引先などの法人顧客から「カスハラを受けた経験がある」という人は約49%。主に「値引きの強要」(16.5%)、「サービスの強要」(15.5%)、「威圧的な言動」(15.2%)が多いよう。
カスハラの影響・対策は?
こうした不当要求やカスハラを受けたことによる影響を聞くと、「従業員のメンタルやモチベーションの低下」が最も多く49.2%。次いで「対応の手間に伴う本来の仕事への圧迫」(28.3%)、「従業員の離職」(20.9%)と続いた。
カスハラ対策に関する方針の策定については、28.2%が「何も策定していない」と回答。そのほか、「接客対応の基本方針はあるがクレーム全般の方針は無い」(12.6%)、「クレーム全般の方針はあるがカスハラ対策の方針はない」(14.5%)など、カスハラ対策の方針を策定していない企業は55.3%と半数以上に。
また、7割弱が依然としてカスハラ対策に関する「マニュアルを整備できていない」ことが明らかに。そもそもクレームやカスハラに関する「研修は実施していない」との回答が55.2%と半数を超えており、「研修を実施している」企業はわずか9.4%。一方で、「クレーム対応の研修を実施している」が19.1%、「接客マナーの研修を実施している」が23.4%と、クレーム対応や接客マナーの研修は行われていても、依然として、カスハラに対する従業員教育は進んでいないことが浮き彫りとなった。
次に、カスハラ対策に関する課題について聞くと、「トップや経営陣の意識改革」(31.9%)が最も多く、次いで「マニュアルや事例集の作成」(20.2%)、「基本方針の策定」(20.1%)、「定義の策定」(19.8%)が上位に。
最後に、これまでに遭遇したカスハラを教えてもらったところ、「スタッフ指名で電話してきて商品と関係ない話で1時間以上拘束」「大きな声で怒鳴る、威嚇する」「保証期間が過ぎているにも関わらず因縁に近い言動で無償で交換又は修理させる」「飲食店での事。理不尽な言いがかりで、執拗に土下座を強要」「謝罪しても何度も同じように自宅に呼ばれ謝罪を要求される」といった体験談が寄せられた。