「指示を仰ぐ」は、ビジネスシーンにおいてよく見聞きする言葉ですが、「仰ぐ」の意味を知らないという方も少なくないでしょう。
本記事では、「指示を仰ぐ」の意味や使い方・例文、類語・言い換え表現を紹介します。また、英語表現やビジネスで指示を仰ぐときの注意点についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
「指示を仰ぐ」の意味とは?
まず、「仰ぐ」という言葉は辞書で以下のように説明されています。
あお・ぐ 【仰ぐ】
① 上を向く。上を向いて高いところを見る。見上げる
② 尊敬する。うやまう
③ 長上としていただく
④ 教えや命令・援助などを請う。求める
⑤ 上を向いて飲む。一気に飲む
『広辞苑 第七版』
上記の通り「仰ぐ」は複数の意味を持ちますが、「指示を仰ぐ」の場合は④になります。つまり、「指示を仰ぐ」は「指示を求める」という意味です。ビジネスで、主に上司や先輩などの目上の人から指示をもらいたい場合に使います。
「指示を仰ぐ」の使い方・例文
「指示を仰ぐ」は、業務において指示が必要なときに使います。指示をしてほしい相手に直接伝えるだけでなく、他の人に対して指示をもらうように伝える際にも使う表現です。ここでは具体的な使い方を例文とともに紹介します。
目上の人に使える敬語表現?
「指示を仰ぐ」は目上の人から指示をもらいたいときに使う言葉ではあるものの、これ自体は敬語表現ではありません。目上の人に対して直接伝える場合は、敬語表現にする必要があります。
「指示」の前に接頭語である「ご」を付け加えて、「ご指示を仰ぎたく存じます」といったかたちで使うのが一般的です。
ビジネスで使える例文
・本件につきまして、ご指示を仰ぎたく存じます。
・契約後の流れについて、ご指示を仰ぎたく存じます。
・価格の件は我々では判断できかねるので、課長に指示を仰ぎましょう。
・システムに重大なエラーが見つかりました。早急に対応が必要なので、部長に指示を仰いでください。
「指示を仰ぐ」の類語・言い換え表現
「指示を仰ぐ」と似たような意味を持っていたり、同じようなシーンで使えたりする類語や言い換え表現を紹介します。
ご指示いただく
「指示をいただく」は、「もらう」の謙譲語である「いただく」を使用した表現です。「指示を仰ぐ」と意味はほとんど同じと考えていいでしょう。
【例文】
・プロジェクトの進め方について、ご指示をいただけますでしょうか。
・本日の流れについて、ご指示いただけますと幸いです。
ご指南いただく
「指南」は、「人を教え導く・教え示す」という意味の言葉です。「ご指南いただく」とすることで、目上の人に教えてほしいという思いを伝えることができます。ただし、「指示」と比べるとそれほど使われません。
【例文】
・改善方法について、ご指南いただけますでしょうか。
・プレゼンについて、ご指南いただけますと幸いです。
判断を仰ぐ
「判断を仰ぐ」もビジネスシーンでよく使われる表現です。目上の人に対して指示ではなく判断を求める場合には、こちらを使いましょう。
【例文】
・上記の対応で問題ないか、部長のご判断を仰ぎたく存じます。
・クレームにつながる恐れもあるので、社長の判断を仰ぎましょう。
ご教示いただく
教示は、「知識や方法を教え示す」という意味で、ビジネスシーンにおいて業務のやり方や手順を知りたいときなどによく使う表現です。
【例文】
・セミナー後の対応方法について、ご教示いただけますでしょうか。
・会議の進行方法について、ご教示いただければ幸いです。
「指示を仰ぐ」の英語表現
「指示を仰ぐ」を英語で伝えたい場合、「ask 〇〇 for instruction」の表現が使えます。〇〇の部分には、指示してほしい相手を指す「general manager(本部長)」や「my boss(私の上司)」などが入ります。
そのほか、「I need your advice on~(あなたのアドバイスがほしい)」などの英語表現も使えるでしょう。
ビジネスで「指示を仰ぐ」ときの注意点
ビジネスで実際に指示を仰ぐときは、いくつか注意すべき点があります。業務をスムーズに進めるためにも、あらかじめ確認しておきましょう。
指示を仰ぐ前に相手の状況を確認する
指示を仰ぐ際は、相手に指示を出す余裕があるかどうか事前に確認するようにしましょう。指示を出す側は指示した以上責任が伴うため、適当に指示するわけにはいかず、ある程度考える時間が必要です。
今すぐ聞かなくてもいいことを、わざわざ相手が忙しくしているとき聞いてしまうと、不快に思われてしまいます。相手の業務が落ち着いているタイミングを見計らって、「今お時間よろしいでしょうか?」などと確認した上で指示を仰ぎましょう。
ただし、トラブルなど緊急性のあるものに関する指示の場合は、対応が遅れることでさらに大きな問題に発展する恐れがあるので、すぐに指示を仰ぐのがベストです。
内容をわかりやすく伝える
指示を仰ぐときは相手がすぐに理解できるよう、わかりやすくまとめて伝えましょう。話があちこちに飛んでしまうと相手は混乱してしまいます。
わかりやすく伝えるには、内容を5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・どのように)でまとめるのがポイントです。5W1Hを意識した内容にまとめ、現在の状況と、どのような指示を求めているのかをきちんと伝えられるようにしましょう。
丁寧な言葉を使う
指示を仰ぎたい相手に直接伝える場合は、きちんと敬語を使い、丁寧な言葉遣いを心がけましょう。目上の人に対して敬語を使えていないと、「マナーがなってない」「非常識だ」などと思われてしまいます。
言葉遣いに自信がない場合は、インターネットで調べたり、先輩に聞いてみたりしてもいいでしょう。ビジネスでは、相手に失礼のないように心がけることが大切です。
「指示を仰ぐ」を用いて業務をスムーズに進めよう
「指示を仰ぐ」の意味や使い方・例文、類語・言い換え表現などを紹介してきました。
「指示を仰ぐ」は「指示を求める」という意味で、上司や先輩など目上の人から指示をもらいたい場合に使える表現です。
指示が必要なとき、自分ではどうすべきかわからないときなどは「指示を仰ぐ」という言葉を用いて、業務をスムーズに進められるようにしましょう。