現在放送中のABC・テレビ朝日系ドラマ『何曜日に生まれたの』(毎週日曜22:00~)は、日本を代表する名作を多数生み出してきた脚本家・野島伸司氏のオリジナル作品で、高校時代の“ある出来事”をきっかけに、10年間ほぼ引きこもり生活を送っている27歳の黒目すい(飯豊まりえ)が主人公の物語だ。20日に放送される第3話では、サッカー部のメンバーたちと10年ぶりに再会し、笑顔が戻ってきたすいのもとに、当時のマネージャー仲間で親友からの電話がかかってくる。
今作には、超売れっ子小説家で変わり者の公文竜炎(溝端淳平)、娘想いの漫画家・黒目丈治(陣内孝則)、そんな2人のコラボを提案する出版社の毒舌編集長・来栖久美(シシド・カフカ)と個性派キャラクターが勢ぞろい。早見あかりは、久美の妹で、公文に悪い女性が寄り付かないよう同居して見守る来栖芽衣を演じている。今作は早見にとって、2020年の妊娠・出産後の連ドラレギュラー出演復帰作。インタビューでは「本当は子どもが3歳になるまでは子育てに集中する予定だった」「娘が一番頑張ってくれている」……と、“女優”として、“母”としての思いを語った。
■引きこもりの主人公がポップに描かれていて驚き
――野島さんの作品にはどんな印象を持っていましたか。
常に新しい挑戦をされている印象です。今作も、「コロナ禍でキラキラした青春を送れなかった子たちをフィーチャーしたい」という思いで書かれたと聞いて、“今”を描くためにどのようなところでネタ探しをされているのかが気になります。ネットの情報じゃない気がしていて、たとえば居酒屋で聞こえてくる話をヒントにしていたりするのでしょうか(笑)。
――それくらい台詞にリアリティがありますよね。今作の台本を読んだときの感想を教えてください。
殻に閉じこもっていた引きこもりの女の子が、勇気を出して一歩踏み出していくというストーリーですが、重くなく、ポップに描かれていることに驚きました。すいが引きこもりになった原因である10年前の事件の真相や、彼女に関わる人間が敵なのか味方なのかが最初は全然分からなくて、「これは何のカテゴリに当てはまるドラマなのだろう」と。きっと視聴者の方もいろいろな「考察」で盛り上がりそうだなと思いました。
――早見さんが演じる来栖芽衣はどんなキャラクターですか。
突拍子もないことをいきなり言い出すシーンが多いですが、実はいろいろ考えている子で、濃いキャラクターたちの中で実は一番マトモな気がします。公文先生と暮らしているのも容易に想像ができるというか、芽衣なら一緒にいられるなって。「本当は芽衣が公文先生を転がしている側だよね」と、よく皆で話しています。
――芽衣を演じていて楽しいところを教えてください。
自由に演じられるところが面白いですね。普通の人だったら、ここでこんなことは口が裂けても言わないだろうという台詞を普通のテンションで言ったりするので、分かりやすくぶっとんだ芽衣を楽しく演じさせていただいています。
■飯豊まりえ、溝端淳平の印象
――共演者の飯豊さんの印象はいかがですか。
台詞の中にも「氷漬けされた大人女子」という表現があるのですが、華やかなのにすごく繊細なすいちゃんがぴったりだと思います。地団駄を踏むシーンも、大の大人がやると滑稽になりそうなのに、飯豊さんがやると本当にかわいいんです。大人なのに子どもという絶妙な塩梅は、飯豊さんのお芝居の巧みさでもあり、もともと持っているオーラでもあるのかなと思っています。「あかりちゃんって呼んでいいですか?」と聞いてくれたのもかわいかったです。私は「まりえちゃん」って呼んでいます。
――芽衣と同居している公文役の溝端さんの印象を教えてください。
溝端さんは、明るくてこちらに気を使わせずに話してくださる方なので、クールな公文さんとは本来遠いところにいる方だと思います。公文さんは野島さんと同じく「文章を書く表現者」ということもあり、溝端さんは「野島さんだと思って演じる」「野島さんの思いの詰まった台詞だから、言葉を変えずに演じたい」とお話ししていました。公文竜炎という役や台詞についてとても深く考えて、大事に演じられている印象です。
■2023年は今作が6本目のドラマ出演
――ここからは早見さんのお話もお伺いしたいのですが、上半期を振り返っていかがでしょうか。今年はドラマでは、『ハマる男に蹴りたい女』(テレビ朝日系)、『合理的にあり得ない〜探偵・上水流涼子の解明〜』(カンテレ・フジテレビ系)、『風間公親-教場0-』(フジテレビ系)、『王様に捧ぐ薬指』(TBS系)、『転職の魔王様』(カンテレ・フジテレビ系)にゲスト出演されて、『ハマ蹴り』、『王ささ』では、昨年の舞台『血の婚礼』に続いてウェディングドレスを着られていましたね。
確かに、ウェディングドレスを着る機会が多かったです(笑)。2020年の妊娠・出産を経て、空いてしまった時間がどうしてもあったので、そこを埋められればとお仕事に邁進した上半期でした。本当は子どもが3歳になるまでは子育てに集中する予定だったのですが、いざ産んでみると「私は働いていないといけない人間だ」と気付いて、お仕事をさせていただけるならやりたいという考えになりました。『何曜日に生まれたの』で久しぶりに連続ドラマのレギュラー出演ができることになって、クランクインから皆と同じ気持ちでクランクアップまで撮影に挑むことができる環境に戻って来られたことがすごくありがたくて幸せです。働きたいと思って働かせてもらえている、今は自分の気持ちと状況が合致していると感じます。