Vシネクスト『爆竜戦隊アバレンジャー20th 許されざるアバレ』(監督:木村ひさし)の完成披露舞台挨拶が2023年8月17日、東京・新宿バルト9にて行われ、本作主要キャストと木村ひさし監督がステージへ登壇。『爆竜戦隊アバレンジャー』(2003年)放送20周年を記念した本作を熱心なファンの前に届けることができた喜びや、久々に集まった仲間たちとの絆の深さを感じさせる軽妙なトークを披露した。

  • 左から阿部薫、富田翔、西興一朗、坂野真弥、田中幸太朗、木村ひさし監督

スーパー戦隊シリーズ第27作『爆竜戦隊アバレンジャー』は、異次元の地球「ダイノアース」を滅ぼし、次の侵略目標をわれわれのいる地球「アナザーアース」に定めた邪命体エヴォリアンと戦う「ダイノガッツの戦士たち」の活躍を描く物語。敵・味方ともに一筋縄ではいかない濃密な個性を備えるキャラクターが続出し、それぞれの立ち位置が状況に応じてさまざまに変化するといった、ストーリー面での「アバレ」具合が痛快な面白さにつながった作品である。あれから20年の時を経て、かつて人々を守るヒーローとして憧れられたアバレンジャーが、いまでは「アバレ」=「破壊行為」とみなされ、テレビ番組で痛烈に批判される存在になってしまった。果たしてアバレンジャーはふたたびみんなのヒーローとして、人々からの支持を得ることができるだろうか……。

アバレッド/伯亜凌駕を演じる西興一朗は、始まりからテンションが大爆発して「元気ですかー! 一、二、三、ダーッ!!」と力強いコールで挨拶。20年ぶりの新作アバレンジャーを実現させるべく、出演だけでなくプロデューサーの仕事もこなしたという西は「今日、初めてお客様に観ていただくのでソワソワしているんですけど、さっき『面白かった!』という声が聞こえてきたので、すごく安心しました」と、良質な作品を作ることが出来た喜びと、それを多くのファンたちに楽しんでもらえたことに心から満足したような、明るい表情を見せた。

カリスマ整体師・アバレブルー/三条幸人を演じる富田翔は「いま、観ていただいたみなさんの熱量を強く感じています。この熱量を他でも感じたいので、いろんな劇場に行ってファンの方たちと一緒に観たい」と、独自で映画館に行き、作品を楽しむファンの熱を自身でぞんぶんに感じ取りたいという素敵な思いを述べた。

ダイノアースの竜人・アバレブラック/アスカを演じる阿部薫は「今日は待ちに待った日となりました。新作を作ると発表されてから、10ヶ月になりますかね。ここまで来るのが長かったですけれど、アバレンジャーのみんなとLINEのやりとりをしたり、取材などで会う機会も多くて、自分自身もふたたびアバレンジャーを意識しながら生活できていました。ぜひ、映画をご覧になったらSNSで感想をつぶやいてください」と、新作を多くの人々に楽しんでもらいたいと語りかけた。

テレビシリーズではアバレンジャー最大の敵として何度も彼らを危機に陥れたアバレキラー/仲代壬琴役・田中幸太朗は、クールな壬琴とは180度違った陽気な笑顔を見せながら、感極まっていた西の横で「甘味料っていうやつですか」と、「感無量」と「甘味料」をかけたダジャレネタを放ち、ステージ上に微妙な空気を漂わせた。やがて「観てくださったみなさんの表情を見ると、楽しんでもらえたんじゃないかと思い、感激しております!」と、映画の出来栄えにかなりの手ごたえを感じていることを明かし、目を輝かせた。

『警視庁アウトサイダー』や『CODE(コード)-願いの代償-』など、テレビドラマを多数手がけて人気の木村ひさし監督は、本作が「特撮ヒーロードラマ」初演出となった。撮影の日々をふりかえって木村監督は「めちゃ楽しかったです。出演者の方々はマジメに取り組まれていましたが、僕は毎日『シアターGロッソ』に通っている気分でした(笑)」と、迫力満点のヒーローショーを観ているような興奮を覚えつつ、本作に取り組んでいたことを明かした。木村監督が今回『アバレンジャー』を手がけることになった経緯は、以前からの西との付き合いにあるという。西は「木村監督はぜったいアバレンジャーに合う、と確信していました。どうですみなさん、相性よかったでしょう!?」と客席に呼びかけると、割れんばかりの拍手を受けて西と木村監督が顔を見合わせてニッコリほほえむ場面が見られた。

木村監督は「アバレイエロー」のTシャツをひそかに着用しており、今回ステージに立つことが叶わなかったアバレイエロー/いとうあいこの「代理」を務める意志を示していた。

MC(宮島咲良)からの「本作でチャレンジをしたことは?」という問いに対して、木村監督は「シャリバンを出したことです!」と、かつて『宇宙刑事シャリバン』(1983年)で伊賀電を演じた渡洋史を起用した部分を明かした。劇中で、渡がどのような「活躍」をするのかは、ぜひ映画をご覧になってお確かめいただきたい。『シャリバン』をはじめとする特撮ヒーロー作品をこよなく愛する木村監督ならではの、愛情のこもった役柄であるらしい。

西は今回の映画について「この作品には、出演者みんなの全力をそそぎました。もう、5人のアバレンジャーがスクリーンで観られるのはこれで”最後”という気持ちでやらせてもらっています。ただ、未来なんて誰にもわかりません。そもそも僕らは20年前、またこうして20年後のアバレンジャーをやるなんて思っていませんでしたからね。みなさんの強いダイノガッツがしかるべき場所に届けば、もしかしたらまたお会いできる日が来るかもしれません!」と、本作の好評を受けての「その次」の可能性がゼロではないことを明かした。西の言葉を聞いた田中はすかさず「それは何ヶ月後ですか?」と軽いノリで合いの手を入れるが、西は「そんなにひんぱんに作ってたらありがたみが……(笑)」と戸惑いつつ「みなさん、また観たいですかアバレンジャー!」とファンのリアクションをあおった。すると客席から盛大な拍手が巻き起こり、根強い『アバレンジャー』人気の強さを実感した登壇者一同が、晴れやかで誇らしげな表情を浮かべた。

続いて、西、富田、阿部、田中が「変身~名乗り」を披露するコーナーへと突入。ええ~っ!?と驚きながらも、田中はやる気まんまんでマイクを足元へ置き、ダイノブレスを構えた。木村監督は素早くステージを降り、ファン目線でスマホのカメラを構えていた。

4人バージョンの「爆竜チェンジ!」。ブランクをまったく感じさせないキレのある動きがファンを魅了する。

西の名乗り「元気莫大、アバレッド!」

富田の名乗り「本気爆発、アバレブルー!」

阿部の名乗り「無敵の竜人魂、アバレブラック!」

田中の名乗り「ときめきの白眉、アバレキラー……」

さらに、西が今回の映画で初登場する「超アバレマックス」の名乗り「剛力百倍、一気に最強、超アバレマックス!」を披露し、客席を沸かせた。

最後に、全員名乗り「荒ぶるダイノガッツ! 爆竜戦隊アバレンジャー!!」を決めた4人。その直後、田中が「それではアンコールにお応えして……」と軽くボケると、3人から「ないない!」と鋭くツッコまれていた。

ここでスペシャルゲストとして、テレビシリーズで愛らしい存在感をふりまいていた凌駕の姪・伯亜舞を演じた坂野真弥が登場した。当時6歳だった坂野は、20年の時を経て素敵なレディーに成長。客席のファンからは「舞ちゃん、おかえり!」といった声援が飛び、坂野を喜ばせた。

20年ぶりの新作を撮影したときのことをふりかえり、坂野は「キャストのみなさんとも20年ぶりにお会いするので、どういう反応になるのかなとちょっと不安がありましたが、現場に入ったとたん、すごくあたたかく迎え入れてくださって、とても嬉しかったです」と、共演者の優しさに感動したことを明かした。

テレビシリーズで凌駕は、小さい舞を可愛がり、優しく「抱っこ」している姿が印象的だった。そこでMCから西に「昔のように、舞ちゃんを抱っこしてほしい」とリクエストが飛び、西は照れに照れながらも坂野に「抱っこしてもいい?」と尋ね、坂野のOKをもらった上で「抱っこ」再現に挑んだ。

坂野を優しく抱きかかえる西。2人の顔にも、自然と笑みがこぼれる。

なぜか、阿部が富田を同じように「抱っこ」するスペシャルなビジュアルも実現。

田中も加わって、決めポーズを取りながらマスコミの写真撮影に応じるキャスト陣。

最後にマイクを手にした西は「この20周年作品が出来たのは、奇跡だと思っています。5人のアバレンジャーがそろった奇跡、舞ちゃん(坂野)が出てくれた奇跡、そして木村監督のスケジュールがギリギリで合った奇跡……。あとは、お客さんがどんどん入って、上映の日数が延びるという奇跡を、僕たちは見たいです。それは映画を観てくださるみなさんのダイノガッツ次第。どんな言葉でもいいですから、SNSにご感想を書き残してほしい。新しい奇跡を起こすため、何度でも映画館へ足を運んでください!」と、各方面の熱意と苦労をまとめあげ、奇跡的な偶然も働いて完成できた本作への強い愛着と、たくさんの人々に作品の良さを知ってほしいというアピールを力強く行っていた。

Vシネクスト『爆竜戦隊アバレンジャー20th 許されざるアバレ』は2023年9月1日より、全国劇場にて期間限定上映。また2024年3月27日より、Blu-ray&DVDソフトが発売される。

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