国立科学博物館のクラウドファンディングは、目標の1億円を9時間20分で達成。もちろん生きている動物の支援も抜かりなく行いたい。生き物ファンの間で盛り上がったよこはま動物園ズーラシアのクラファンもまたすごかった!

ズーラシアクラファンの主役はオットセイ

よこはま動物園ズーラシアは、世界中の野生動物を展示、飼育、繁殖させている国内最大級の動物園である。絶滅寸前の希少種の野生復帰や、関連する研究にも取り組んでいる。

1999年に開園した比較的新しい動物園だが、開園から20年以上が経過し、施設・設備の老朽化が目立ち、昨今の動物福祉に即した施設づくりが急務となっている。計画的に修繕や改修を行っているが、予算には限りがある。

そこで、初めての取り組みとしてクラウドファンディングに挑戦。今回の主役はミナミアフリカオットセイ。

  • 南アフリカからナミビアにかけての沿岸部に分布する

2022年12月、大阪の天王寺動物園からホッキョクグマの「イッちゃん」が来園。大賑わいとなっているホッキョクグマ展示場の隣にミナミアフリカオットセイの展示場がある。

「超人気者のホッキョクグマのそばにいるため、あまり目立たず『となりのオットセイ』とも呼ばれているミナミアフリカオットセイたちに、温かなご支援を」と、村田浩一園長が応援メッセージを寄せ、これに共感した筆者もクラファンに参加した。

そうそう、アザラシはまだしも、アシカとオットセイはややマイナーな存在で、よく似ているのでほぼ混同されがちなのだ。

終了時間ぎりぎりに無事目標達成

ズーラシアでは、近年の猛暑により夏場にプールの水温が上がることで、ミナミアフリカオットセイが目の疾患を繰り返し起こすのが問題になっていた。そこで、「夏場の暑さをやわらげ、水温を一定に保つことで、オットセイがより健康に過ごせるようにできれば」と、展示場改修の資金を、4月29日から6月30日の期間でクラファンで集めることにした(※現在は終了)。

クラファンの内容もさることながら、オリジナルグッズやバックヤードツアーなどの返礼品がユニークで、どれも魅力的だ。

これはなかなか反響があったのでは? ズーラシアの広報担当者に聞くと、「横浜市民の方はもちろんのこと、大阪や北海道など地方からも多くのご支援をいただき、大変嬉しく思っております。目標金額が高額だったことから、達成は厳しいかもしれないと思っていた時期もありましたが、特に最終日には非常に多くの皆様にご支援いただき、終了時間ぎりぎりに無事目標達成できました」とのこと。

オットセイ展示場の工事も無事始まり、現在は足場の設置などを行っており、11月頃完成予定とのこと。来年の夏はオットセイが快適に夏を過ごせるはずだ。

村田園長アクリルスタンドも制作中!

  • クラファン限定のオットセイクリアボトル

クラウドファンディング開始以前よりズーラシアで販売している、飼育員が監修したぬいぐるみにも、再度光が当たった。

かわいいふわふわのアザラシの赤ちゃんのぬいぐるみ……のようなものではなく、セスジキノボリカンガルー(オスのデザインとメスのデザイン2種)、テングザルといった、ツウ好みのラインナップなのだ。

  • アニマルリウム(テングザル)

そして、謎めいた一品が、園長のアクリルスタンド。えっ、人間の園長?

「村田園長のアクリルスタンドは、SNSなどで欲しいというお声を以前からいただいていたため、今回園長のフォトブックや園長とめぐる園内ツアーに付けさせていただきました」(同広報担当者)とのこと。

  • 工事が始まったミナミアフリカオットセイの展示場

また、おもしろいのがペンギン命名権。支援金額10万円となかなか高額であったが、続々と支援が集まった。ズーラシアはフンボルトペンギンの展示場が広く、陸上部分、水中部分ともに観察が楽しいペンギンファンの聖地的存在だ。ミナミアフリカオットセイの「となりのペンギン」も、じっくり観覧したい。