パーソル総合研究所は8月15日、「テレワークと就業時マスク実態」の調査結果を発表した。調査は7月13日~18日、全国の就業者20~59歳男女、勤務先従業員人数10名以上(正規雇用24,644人、非正規雇用5,968人、公務員・団体職員302人)を対象に、調査会社モニターを用いたインターネット定量調査で行われた。
テレワーク実施率は2割
2023年7月のテレワーク実施率は22.2%で、2020年4月以降で最も低くなった。
雇用形態別には、契約社員・嘱託社員は12.4%、派遣社員は16.4%、パート・アルバイトが9.8%。公務員・団体職員は12.9%であった。
コロナウイルス5類感染症移行後(2023年5月8日以降)、テレワーク非実施者が増加。職場の出社者数は「増えた」が合計24.6%だった。
テレワークを実施していない理由の最上位は「テレワークで行える業務ではない」で40.4%だった。
企業規模別に見ると、2022年2月をピークに、すべての規模でテレワーク実施率が低下。
業種・地域別でみると、情報通信業が最上位で55.3%、学術研究、専門・技術サービス業が28.6%と続く。ほとんどの業種、地域で昨年同期比で減少傾向に。
都道府県別には、東京が38.8%で1位。2位が神奈川県で33.1%だった。
職種別の実施率は、Webクリエイティブ職で64.5%、コンサルタントが61.4%と高い。
テレワークに関する企業方針は、「特に会社からの指示無し」が63.1%。原則出社指示は21.5%。
テレワーク実施者のテレワーク継続意向は81.9%で、過去最高の結果となった。
テレワークしているときの困りごとは「運動不足を感じる」が59.0%。「仕事に集中できない」などが前年同期よりも増加した。
テレワークしているときの不安感は「相手の気持ちがわかりくい」が42.7%だった。全体的に前年同期より増加している。
業務連絡に対応する時間帯から、1カ月あたりの「つながっている時間」を簡易推計した結果、月間232.3時間。これは平均活動時間(起きている時間)のおよそ45.5%にあたる。
職種別の「つながっている時間」では、営業職が月間270.1時間で最長。勤務時間外に連絡が来る回数は、月あたり平均で23.9回。営業職は31.9回だった。
58.4%が、業務時間外の連絡へ即時対応を求められていることがわかった。(過去1カ月)
「つながっている時間(休日・勤務日合計)」の長さにプラスの影響を与えていた組織的要素は、成果主義・競争的風土、処遇の個人差の大きさ。
昨年から続くテレワーク実施率のダウントレンドは、新型コロナウイルスの第5類感染症への移行後、さらに顕著に見られている。6割は特に会社からの指示は無く、2割は原則出社の指示がでている。「テレワーカーのテレワーク継続意向が8割を超え続けている実態と合わせて考えると、企業は自社の人材獲得力とのバランスを考慮する必要がある」とパーソル総合研究所・上席主任研究員 小林祐児氏は述べている。
就業時のマスク着用率は8割
続いて、「就業時のマスク着用率」についてみていくと、たまに着用・着用の計は79.8%で、プライベートよりも6.1ポイント多かった。着用理由は、「自己判断」が55.7%で、「会社からの指示」が31.2%、「職場の雰囲気」が29.5%だった。
コロナウイルス5類感染症移行後(23年5月8日以降)、就業時のマスク着用は「減った」計(少し+かなり)が41.6%。会社の飲み会は「増えた」計(少し+かなり)が28.6%だった。
就業時マスク着用については「着用していたい」が40.5%で、「着用したくない」を10ポイント近く上回った。
就業時のマスク着用については、5類移行後に減ったものの、未だ約8割が着用していると判明。着用理由は「会社からの指示」や「職場の雰囲気」がそれぞれ3割前後で、個人判断以外の組織的な要因も大きいことがわかった。