現在放送中のTBS系火曜ドラマ『18/40~ふたりなら夢も恋も~』(毎週火曜22:00~)。第5話のラストで福原遥演じる仲川有栖の出産シーンが放送され、その迫真の演技はSNS上でも大きな話題になった。本作の韓哲プロデューサーが取材に応じ、出産シーンの裏側や、福原と共にダブル主演を務める深田恭子の起用理由、作品を共にして感じたことなどを語った。

  • 『18/40~ふたりなら夢も恋も~』成瀬瞳子役の深田恭子(左)と仲川有栖役の福原遥

■福原遥の誠実さと真摯さが「有栖と重なると思った」

キュレーターという夢に向かって大学進学を果たしたものの、恋人との間に子供ができ出産を決意する18歳の仲川有栖(福原)と、仕事に明け暮れ気がつけば40歳という年齢を迎え、将来に対して不安を抱くアートスペシャリストの成瀬瞳子(深田)。そんな二人がひょんなことで出会い、友情をはぐくみながら人生に向かっていく姿を描いた本作。

韓プロデューサーは企画意図について「僕が仕事を始めた20年前は、職場には圧倒的に男性が多かった。今は、見渡してみると女性がとても多いです。かつてと比べて女性の社会進出は当たり前の時代になったと思います。でも社会の変化に合わせて個人個人が生きやすい時代になったかというと疑問が残ることも多い。状況は簡単に好転しませんが、この作品の登場人物を通して、見て下さった方がそれぞれの立場で『出産、育児、キャリア』などライフステージでの選択や悩みについて話しやすくなったらいいなという思いで制作しました」と語る。

18歳の有栖を演じるのは、2022年後期に放送された連続テレビ小説『舞いあがれ!』でヒロインを務めた福原。韓プロデューサーは「『舞いあがれ!』の放送がスタートするかしないかぐらいのときにお声がけをしました。お芝居がうまいのはもちろんですが、それ以上に、とても誠実なお芝居をされる方だなと思っていました」と以前から気になる俳優だったことを明かすと「今回の有栖というキャラクターは、とても難しい役。福原さんの誠実さと真摯さが、困難な中でも強い信念を持って前に進む有栖と重なると思ったんです」と大きな期待を込めたキャスティングだったという。

■深田恭子の柔らかい雰囲気で重い内容も受け取りやすくなる

一方、深田演じる瞳子は、40歳のBVアートのスペシャリストで仕事も結果を出し、上司や部下からの信頼も厚い。しかし、母親からは結婚や子供のことを口うるさく言われ、どこか将来に不安を抱いている女性だ。韓プロデューサーは「深田さんは言うまでもなく、ドラマ界を代表する俳優さんの一人。年齢的にも瞳子とは近く、彼女のキャリアと重なる部分もあるなと思ったんです」という理由でオファーをしたという。

さらに韓プロデューサーは「女性の生き方、キャリアや出産の問題など、ややもすればテレビドラマとして、重い内容に捉えられてしまうところを、深田さんに演じていただくことで、柔らかく華やかになりいい意味で視聴者の皆さんに受け取っていただきやすくなると思ったんです」と起用理由を述べる。

大きな期待のなか、撮影に臨んだ福原と深田。韓プロデューサーは「福原さんは、とても素晴らしい」と笑顔を見せると「有栖は18歳という若さで人生の大きな岐路に立たされますが、18歳だからこその脆さや、幼いがゆえに間違ってしまうことも含め、強い意志を持って困難に立ち向かう有栖を文字通り懸命に演じてくださっています。特に(安田顕演じる)父親と対峙するシーンは、本物の親子のようにリアルなお芝居だったので現場で見ていても胸を打ちました」と賞賛する。

深田に対しても「とても葛藤が多い役で、気持ちが重くなるシーンも多いのですが、深田さんだからこそのお芝居をしてくださり、どんなにシリアスな場面でも、その場に存在するだけで華やかになりエンターテイメントとして成立させていただけるのは、本当にすごい俳優だなと感じています」と唯一無二の存在感を絶賛していた。

■出産シーン撮影後、福原は「出産する夢を見る」と発言

中でも韓プロデューサーが驚きと共に感嘆したのが、第5話のラストの有栖の出産シーンだ。

韓プロデューサーは「現場で観ていても本当に素晴らしく、年のせいかもしれませんが、涙腺が緩んで泣きそうになってしまいました。福原さん自身が強い覚悟を持って演じてくださっていることがひしひしと伝わって、彼女に演じてもらって本当によかったと思いました」と振り返ると「あのシーンの前には、監修の医師の方を含めて、事前にリハーサルをしっかりしました」と準備に余念がなかったことを明かす。

このシーンの演出を務めたのが、日曜劇場で人気を博し、劇場版も制作された『TOKYO MER~走る緊急救命室~』の松木彩監督だという。

韓プロデューサーは「『TOKYO MER』」であれだけたくさんの医療シーンを撮っていた松木監督でしたが、いわゆる産科での出産シーンは扱っていなかったんです。だからこそ監督のこのシーンへのこだわりは強く、本当に入念なリハーサルを繰り返し、嘘のないシーンにしようという意思を感じました」と語ると「出産経験のある方はもちろんだと思いますが、出産シーンはいろいろな思いを巡らせる人が多いと思うんです。このドラマにとってもとても大切な場面であり、印象に残るシーンになっていると思います。福原さんも薫先生を演じた松本若菜さんも本当に素晴らしいお芝居を見せてくれました。福原さんは出産シーンの撮影の後に『今でもめちゃめちゃ出産する夢を見るんです』と話していたぐらいで」と裏話を披露してくれた。

韓プロデューサーは「セリフも多く、体力的にも大変ななか、撮影の合間はいつも笑顔なんです」と福原の大らかさを強調すると「作品を背負うという意味で、大きなプレッシャーもあると思いますが、現場ではそんな気負いを感じさせず、まっすぐ作品に向き合う姿や誰よりもスタッフや共演者に声をかける姿に、改めて頭が下がります」と若き才能を称賛していた。

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