Microsoft Bingの公式ブログによると、現地時間2023年8月7日時点でAI(人工知能)を使用するBing Chatの利用回数は10億件超、画像生成は7億5,000万枚超に達したという。利用回数よりも「もう登場して半年も経つのか」というのが正直な感想だ。筆者もBing Chat Enterpriseがプレビュー版になってから積極的に利用している。

今後はコンピューターを使う上で、AIが欠かせない存在になることは確実だろう。そんな中で、本来は利用者のアシスタントとして活躍するはずだったWindowsのCortana(コルタナ)は、サポートページで述べられているとおり非推奨機能となる。これも既報のとおり。

一部の法人ユーザーにとっては、Microsoft Entra ID(旧Azure AD)アカウントでCortanaが使われている可能性はある。しかし、Cortanaと連携するMicrosoft Teamsディスプレイや、Cortana認定デバイスと接続して機能拡張するMicrosoft Teams Roomsのサポートも終える以上、Outlook Mobileで利用できてもエンドユーザーレベルでは無用だ。

  • 安定版Windows 11のCortana

思い返すのは、2015年11月に行ったCortana担当者へのインタビューだ。Microsoftおよび日本マイクロソフトの担当者がそろい踏みして、各国文化に根付いたパーソナルアシスタントを目指すといった内容だったのだが……、消えゆく結果となった。Microsoftは時流に合わせてCortanaに音声認識機能を盛り込んだとはいえ、筆者は検証以外で使った記憶がない(実際、日本語の認識も発声もいまひとつだった)。また、個人でAmazon Alexaなども購入したはみたものの、現在は電源を切っている。単に筆者が音声認識デバイスや機能を使いこなせなかったのと同じく、そんな風に感じているWindowsユーザーは多いのではないだろうか。

さて、非推奨となったCortanaだが、アンインストールするにはWindows PowerShellを用いる必要があった。それが変化したのは、CanaryチャネルでリリースしていたWindows 11 Insider Preview ビルド25921(本稿執筆時点の最新はビルド25926)だ。公式ブログでは、Cortanaのアンインストール機能を変更箇所の一つに数えている。

  • Windows 11 Insider Preview。Cortanaに「アンインストール」が加わった

  • ちなみに安定版Windows 11はご覧のとおり、GUIからアンインストールできない

おそらくWindows 11 バージョン23H2の新規インストール時、Cortanaは取り除かれるのだろう。そしてAI機能はWindows Copilotに引き継がれる。だが、気になるのは利用料金だ。Microsoftは公式ブログにて、Microsoft 365 Business Standard/Business Premium/E3/E5契約者に対しても月額30ドルの支払いを求めている。

Windows CopilotとMicrosoft 365 Copilotは単純には比較できないが、Windows Copilotのみ無償提供されるかどうかは分からない。Windows 11が備える機能の呼び出しやアプリの起動も可能になるらしいが、有償ともなれば利用者が減少するのは疑いようがないし、中途半端な実装ではCortanaの二の足を踏み兼ねない。現在のWindows Copilotは完成以前の「プレ」段階だが、Microsoft開発陣の奮闘に期待だ。

  • Windows Copilot。現時点ではBing Chatのワークスペースとして動作する