セイコーウオッチの高級ドレスウオッチブランド「クレドール」から、「Art Piece Collection(アートピースコレクション)」の新作となる限定モデルが2種類登場する。
発売は10月20日。価格とラインナップは、18Kイエローゴールドケースの「GTBY996」が484万円、プラチナ950ケースの「GTBY995」が495万円。限定本数は各3本。
新作はどちらも短歌の世界観を彫金で表現したモデル。短歌と腕時計は、いずれも限られた文字数・スペースで美しい世界観を表現できるという共通点があることから今回のモデルが誕生した。
2モデルともダイヤル上の彫金は、2002年に「卓越した技能者(現代の名工)」を、2007年に黄綬褒章を受章した彫金師・照井清(てるい きよし)氏から技を受け継いだ、長尾 佳奈(ながお かな)氏が担当。
手作業で細かい線をつけていくことで生まれる「絹目仕上げ」や、連続した細かな円を刻む「魚々子(ななこ)」という技法を用いて、繊細で美しい短歌の世界を表現している。
<クレドール>アートピースコレクション メカニカル 限定モデル「GTBY996」
GTBY996は、与謝野晶子が晩秋の黄昏時に、銀杏の葉が金色の小鳥のように空を舞う様子に感銘を受けて詠んだとされる、以下の短歌がモチーフとなっている。
「金色(こんじき)の ちひさき鳥の かたちして 銀杏(いてふ)ちるなり 夕日の岡に」(与謝野晶子 恋衣)
ダイヤルのベースは、茜色に染まる空を表現するためにブランド初となる赤めのうを用いた。その上から銀杏の葉のシルエットを型抜きしたプレートと、小鳥・銀杏の葉を彫金したプレートを重ねることで、奥行きある立体的な造形に仕上げている。
<クレドール>アートピースコレクション メカニカル 限定モデル「GTBY995」
GTBY995は正岡子規が、病床から窓越しに見た自らに向かってひときわ輝く星から、生きることへの希望や喜びを感じて詠んだとされている歌をモチーフにしたモデル。
「真砂(まさご)なす 数なき星の 其中(そのなか)に 吾に向ひて 光る星あり」(正岡子規 竹乃里歌)
ダイヤルのベースはラピスラズリを用いて、無数の星が輝く夜空を表現。ベース上に配置するプレートには、はらはらと降る雪を表現した雪華・雪輪模様の彫金を施して重ね合わせている。11時位置には、繊細な彫刻を施した白蝶貝で製作した星を配した。
ケース素材は、GTBY996が18Kイエローゴールド、GTBY995がプラチナ950。ケースサイズは外径30×厚さ7.6mm、風防は内面無反射コーティングのデュアルカーブサファイアガラス、ストラップ素材はクロコダイル、防水性能は日常生活用防水。
手巻き式の機械式ムーブメント「キャリバー 6890」は、クレドール専用のムーブメントとなり、雫石高級時計工房で熟練の時計師によって生み出される。機械式ながらわずか1.98mmという厚さのキャリバー 6890には、100分の1mm単位の精度が求められ、1人の熟練時計師でも1日に1個~2個しか組み立てられないという。パワーリザーブは約37時間。