ダイキンは8月8日、全国の20歳~59歳の男女524名を対象に実施した「夏の睡眠時のエアコン使用に関する意識調査」の結果をもとに、熱中症に詳しい医師のコメントや熱帯夜に役立つエアコンの上手な使い方につながるヒントも紹介した。

  • 夏の睡眠時のエアコン使用頻度

夏の睡眠時のエアコン使用について不満や困りごとがあると回答した人を対象に、不満や困りごととして考えられる選択肢を5つ挙げ、複数回答形式で尋ねたところ「身体が冷えたり、だるくなったりする」が52.8%で最多となった。

続いて「自分に適した設定温度が分からない」が39.1%、「タイマーが切れた後に暑くて起きてしまう」と「エアコンをつけたままにすると寒くて目が覚めてしまう」が33.0%、「エアコンをつけたままにしても暑くて目が覚めてしまう」が12.4%となった。

熱中症に詳しい医師の三宅康史先生(帝京大学医学部附属病院 高度救命救急センター長)は、「直接体に風を当てない工夫や、設定温度28度以下で自分に合った気持ちの良い温度設定を見つけること」を推奨している。

  • 睡眠時のエアコン使用について2人に1人が不満や困りごとを抱える。その第1位は「身体が冷えたり、だるくなったりする」

不満や困りごとの中でも33.0%の人が「タイマーが切れた後に暑くて起きてしまう」を選んだとおり、エアコンが切れると室温は上昇するため、特に気温が高い日には熱中症リスクが高まることも考えられるという。

  • 夏の睡眠時のエアコン使用者のうち、4割近くが切タイマーを使用

ダイキンは、マンションの寝室に設置されたエアコンを用いて、睡眠時にエアコンを「つけっぱなし」にした場合と「3時間の切タイマー」を設定した場合の「室温」と「暑さ指数(WBGT)」の変化を計測する比較実験を行った。その結果、切タイマーを設定すると、エアコンが切れた後にはWBGT値が上昇し、明け方には熱中症への警戒が必要とされるWBGT値である25℃ほど(※暑さ指数の「警戒」領域で、気温では28℃以上に相当)になった。

三宅先生は「本格的な猛暑が到来する8月以降は、日中の暑さだけでなく、熱帯夜にも注意する必要がある」として、熱帯夜の睡眠時にはエアコンを切らずにつけっぱなしで使うことを推奨している。

  • エアコン「つけっぱなし」と「切タイマー(3時間)」の変化(上:室温、下:WBGT)

熱中症の症状が時間差で現れる「時間差熱中症」にも注意が必要だが、7割以上の人が「時間差熱中症」を知らないと回答した。東京消防庁のデータによると、東京都で令和4年6月~9月に救急搬送された人のうち、約6分の1にあたる1,000人以上が18時~午前6時の間に救急搬送されていると語る。

三宅先生によると、夜間に発症する時間差熱中症は、自宅で緊張がほぐれる夜に日中の熱ストレスが原因で発症することから、「日中、暑い環境で過ごしたときは、夜間も熱ストレスをケアするためにエアコンを使って涼しい環境の中で過ごすよう心がけましょう」とコメントしている。

  • 時間差で症状が現れる「時間差熱中症」を知らない人は7割以上

快適な空間づくりには温度だけでなく「湿度」を調節することも大切で、湿度が20%変われば、体感温度は約4℃変化する。ダイキンによるサーモグラフィを使った可視化検証試験実験では、温度28℃、湿度85%の環境で皮膚温度の上昇を確認した後、温度は変えずに湿度を60%にすると、12名中10名の手部や顔部の皮膚温度が顕著に低下した。

  • 湿度が20%変わると体感温度は4℃変わると言われている

特に熱帯夜の睡眠時には冷房運転でエアコンを使用し、室温が28℃程度になるように調整することを勧めている。冷房運転により室温とともに湿度も低下し、エアコンの種類によっては、温度と湿度を設定できるものもある。湿度設定機能があれば目標湿度を50%~60%に設定し、同機能がない場合は除湿器などを併用して湿度を調整するのも工夫のひとつだという。

エアコンの風が身体に当たるのが苦手な人は、風向を水平にしてエアコンから吹き出る風が直接身体に当たりづらいようにする使い方を推奨。暖かい空気は上昇する性質があり、冷房中は天井付近と床付近の温度に差が出る「温度ムラ」が起こりやすくなることから、風向を「下向き」ではなく「水平」にすると節電にもつながりやすくなるとのことだ。

  • 湿度が20%変わると体感温度は4℃変わると言われている

さらに「温度ムラ」を抑えるには、空気清浄機や扇風機、サーキュレーターなどをエアコンと向かい合わせに置き、床付近の冷気を、ななめ上、天井方向に持ち上げるようにして空気を撹拌すると効果的とのことだ。

就寝中にエアコンをつけっぱなしにしたくない場合には、熱中症リスクに気をつける必要はあるものの、切タイマーを使う方法もある。切タイマーを3時間に設定すると、入眠直後の深い睡眠が温度変化で阻害されづらく、深い睡眠が2周期(平均的な睡眠周期は90分で1周期)確保でき、前半の深いノンレム睡眠が安定的に取れるとしている。

エアコン使用時の効果的な節電には、室内機のフィルター掃除と室外機周辺の整理整頓がお勧めとのこと。フィルターを1年間掃除しなかった場合、消費電力量が約25%ムダになると言われており、ダイキンが2022年夏に行った実験では、フィルターに約3年分のホコリが溜まっている場合、消費電力量が約1.5倍になった。それに加えて、室外機周辺の空気の流れも妨げられていた場合、消費電力量が約2倍になったということだ。

  • 室内機のフィルター掃除と室外機周辺の整理整頓でムダな電力消費を抑える