スポーツバイクの祭典「第31回シマノバイカーズフェスティバル」が7月29日、30日の2日間にわたり、長野県諏訪郡富士見町の富士パノラマリゾートにて開催された。MTBからグラベル、ロードツーリングまでさまざまな種目が実施され、2日間で延べ約1700人が参加した本イベントの様子をレポートする。

来場者たちの熱量を集約させる「バイカーズビレッジ」を新設

自転車乗りの祭典「シマノバイカーズフェスティバル」は、オフロードを含むサイクルイベントとして国内最大規模を誇るサイクリストの夏の定番イベント。今年で31回目の開催を迎えた。

メイン会場は老若男女を問わず楽しめる日本有数のMTBフィールドとして利用され、全日本選手権などの各種レース会場としても知られる長野県富士見町の富士見パノラマリゾート。長い距離と変化に富んだコースで「アジアのダウンヒルの聖地」「マウンテンバイクの聖地」として、海外にも知られている。

目玉となるイベントは2日間を通して行われるレース種目だ。「シマノバイカーズフェスティバル」は関東近辺での数少ないダウンヒルイベントとしても注目が高く、富士見パノラマリゾートの環境を活かし、脚力や経験を問わず多くの人が楽しめるユニークなレースが実施される。

レース種目では昨年好評を受けた「ドロップハンドルクラス」を、新たに「GX(グラベルクロス)」カテゴリーとし、コースを刷新。レース各種目ではコースの難易度が分かれた「Race/Light」とカテゴリーを設定し、志向に合わせたレース参加ができるようになった。

  • ライブ中継が行われる大型LEDビジョンも設置

富士見町を中心とする八ヶ岳・諏訪エリアは1000〜3000メートルの標高に位置し、その大自然を楽しめるのも本イベントの魅力となっている。35度近くまで気温が上昇する中でのレースもあったが、日差しが雲で遮られた折には高原の涼しい風を肌に感じることもできた。

また、「シマノバイカーズフェスティバル」では日本最高峰のオフロードパークで最新の機材を気軽に試すことができることも大きな注目ポイントのひとつとなっている。今年は出展社の試乗バイクブースや、ライブ中継を行うための大型LEDビジョンを設置した新たなエリア「バイカーズビレッジ」をセンターゲレンデに用意。

各社の多彩なオフロードバイクの試乗車が集結した「バイカーズビレッジ」の近くには試乗ブースを用意。MTB、E-MTBの性能を存分に体感できるコースに加え、グラベルバイクが楽しめる林間試乗コースも会場内に新設された。

自転車×クルマ×アウトドアを提案する「6Wheel&Campingゾーン」

「バイカーズビレッジ」から程近いシーダーゲレンデには、アウトドアイベント「GOOD OPEN AIRS」などを開催する神奈川トヨタ自動車のアウトドアショップ「GOOD OPEN AIRS myX」のプロデュースのもと、「6Wheel&Campingゾーン」も展開された。

同エリアではバイクキャンプや車中泊などのアウトドアアクティビティに興味のある人に向けて、ルーフトップテントやキャリアといった各ブランドのアウトドアグッズなどを紹介。車にオフロードバイクを積んでアウトドアフィールドへ移動し、家族や友人と楽しむ「6Wheel Life」というライフスタイルを提案する。 アウトドア仕様にカスタマイズされたクルマと自転車、キャンプの組み合わせた遊びをその目で体感できるようなエリアとなっていた。

トレイルライドの楽しさを(再)発見、新種目も登場

会場内に特設したアップダウントレイルを走行する「Trail Ride+(トレイルライドプラス)」は、今回初の試みとなるレースでもツーリングでもない新種目。3時間のフリー走行・練習走行を挟み、「はじめの1本」と「締めの1本」という2度のタイム計測を行う。

マウンテンバイク乗りには日常的にトレイルライドを楽しむ人が多いが、「Trail Ride+」ではコース内に常駐しているシマノサポートライダーなどから適宜アドバイスを受けながら、課題などを発見して苦手を克服。 その本質的な楽しさを1日かけて存分に味わってもらうといった趣向の新メニューで、「Trail Ride+」のコースはシマノサポートライダーの協力で設計・検証されているつくられたものだという。

第31回となる本イベントだが、着実に人気を高めているグラベルのツーリングメニューを増やすなど、ツーリング種目にも多くの人が参加した。

新メニューとしては南八ヶ岳に広がるグラベルロードを駆け抜けるグラベルライドツーリングを用意。レンタルバイク付きのE-MTBガイドツアーはより多くの人にE-MTBの魅力を体験できるよう、実施回数を増やして実施された。 また、オンロードツーリングではシマノレーシングの選手が同行し、実際にライドのサポートなどを受けることで、レーサーならではの視点を楽しめる工夫も施したという。

家族やビギナーでも楽しめるブースが多数

「シマノバイカーズフェスティバル」はビギナーや家族連れでも楽しみやすいイベントで例年、来場者の内訳は自転車歴1年未満が約1割、5年未満が4割ほどに上るそうだ。そのため、本イベントでレースやイベントにデビューを飾るかたちで足を運ぶサイクリストも少なくないという。

出走直前の突発的なトラブルに対応するため、自身で行う点検・整備をサポートするセルフメカニックコーナー。応急処置を施すシマノテクニカルサポート、部品交換をしなければならなくなった場合のメカニックコーナー(有償)といったサポート体制も充実している。

同じく有料オートキャンプエリアの近くには、話題の最新モデルや人気のアイテムがずらりと並ぶ「バイカーズモール」も併設。完成車やサイクルパーツ、ウェア・ヘルメットなどのアクセサリー類が勢揃いしていた。こちらも各出展社の専門スタッフから直接詳しい情報も聞ける貴重な機会となったようだ。

オリジナルコースターや鹿角のキーホルダーなどの制作を体験できるワークショップもあり、「バイカーズ マルシェ」では八ヶ岳山麓から諏訪湖周辺に点在する70〜80軒のパン屋からセレクトされた人気のパンを提供。 地域で生産されたトウモロコシやセロリといった「高原野菜」に代表される農作物、「ベーコン/生ハム」といった畜産加工品なども販売されていた。お土産やキャンプをする人たちの朝食、エンデュランスレース用の食料補給用などにも利用されているという。

「シマノバイカーズフェスティバル」は単なる競技レースの大会に止まらない、自転車を通じたさまざまな体験ができるイベントとして、多くの自転車乗りたちから愛されているようだ。