帝国データバンクは8月7日、2023年7月の「企業の人手不足」に関する調査結果を発表した。調査は7月18日~31日。調査対象は全国2万7,768社で、有効回答企業数は1万1,265社(回答率40.6%)。
企業51.4%「正社員が不足」
2023年7月時点における全業種の従業員の過不足状況を尋ねたところ、正社員が「不足」と感じている企業は51.4%だった。前年同月比で3.7ポイント増加しており、7月としてはこれまで最も高かった2018年(50.9%)を上回り、過去最高を記録。また、非正社員は30.5%で、7月としては5年ぶりに3割超の水準に上昇した。
正社員が最も不足しているのは「情報サービス」
正社員の人手不足割合を業種別にみると、「情報サービス」が最も高く74.0%。9カ月連続で7割を超え、人手不足は深刻に。「新型コロナにより、コーポレートサイトが商売において重要視されるという認識が広まった」「インボイス制度や電帳法などの法改正にともない、システム改修案件が増加している」との声にあるように、システム関連需要が高まっていることで好況が続いているが、同時に、「案件の引き合いは多くあるが、スキルマッチした要員が不足している」など、高度な技術を有する人材の確保ができていないという意見が目立った。
2番目に高い業種は「旅館・ホテル」で72.6%。「新型コロナが5類に移行されてから、旅行者の動きが活発になっている」「政府の観光促進支援策がほぼ終了して、反動による冷え込みを感じている一方で、週末・連休・夏休みなどの動きは底堅い」など、大きな需要の落ち込みはないよう。
そのほか、「建設」(68.3%)、「メンテナンス・警備・検査」(68.2%)、「飲食店」(66.3%)、と続き、上位10業種すべてで前年同月を上回った。
非正社員が最も不足しているのは「飲食店」
非正社員の人手不足割合では、「飲食店」(83.5%)が唯一8割台に。「飲食店」は雇用者の7割以上が非正社員という特徴があるが、コロナ禍で離職した非正社員も多く、深刻な人手不足は改善できていない状況といえる。
次いで、正社員で2番目に高かった「旅館・ホテル」(68.1%)は、非正社員においても2番目の高水準に。また、引き合いが強いものの派遣スタッフの不足が続いている「人材派遣・紹介」(65.8%)も含め、3業種が6割超、その他、5業種が5割台となった。