帝国データバンクは、8月7日、「クリーニング店」の倒産発生状況についての調査結果を発表した。同調査は、2023年7月31日まで、負債1000万円以上法的整理によって倒産したクリーニング店を対象に実施されたもの。

  • クリーニング店の倒産件数推移

2023年に発生したクリーニング店の倒産は、7月までに21件発生した。既に2022年通年(15件)を上回ったほか、7月までに20件を超えたのは過去20年で初めてとなる。このペースで推移すれば、過去20年で最も多かった2019年通年の28件を上回り、過去最多を更新する可能性が高いという。

クリーニング店は、コロナ禍の外出自粛や在宅勤務の拡大で、スーツやワイシャツ類の注文が激減したほか、冠婚葬祭の中止でフォーマル衣装需要もほぼゼロに近い状態に陥った。

  • コロナ前(5年間平均)と比較した売上高・損益動向

そのため、コロナ前(5年間平均)と比較した2022年度の売上高は、コロナ前に比べて81.8%のクリーニング店が減収している。また、2022年度の損益動向も33.4%が赤字という結果に。2020年度は赤字が最大で半数に上った。

2022年以降は外出制限が緩和されたものの、在宅勤務の定着もあって需要が伸び悩み、限られた顧客を他社と取り合う状態が続いた。

こうした中、石油やガス代の急激な値上げや、年3万品目に達する食品の値上げなどで家計の節約志向が強まり、安価なコインランドリーなどに需要が分散し、収益力がさらに悪化した。その結果、在宅勤務、物価高、節約志向の三重苦に対する経営体力が限界に達し、事業継続をあきらめるケースが2023年以降に急増している。

足元では、ダウンジャケットなど単価の高い冬服や、夏休み期間中の学生服需要も「節約志向で例年より量が少ない」など、需要が戻り切っていない。資材価格の上昇も、客離れを懸念して値上げが「一部しかできない」といった声もあるなど、我慢比べの状態が続いており、経営体力に乏しい中小クリーニング店で「あきらめ倒産」がさらに増加する可能性がある、とした。