2023年8月6日から26日にかけて、タクティカルFPSゲーム『VALORANT』の世界大会「VALORANT Champions Tour 2023 Champions」(以下、VCT 2023 Champions)が、アメリカ・ロサンゼルスにて開催されます。

2023年シーズンを締めくくる年間最大の世界大会「VCT 2023 Champions」には、各インターナショナルリーグと地域予選を戦い抜いた、世界のトップ16チームが出場。日本からは、Pacificリーグの「Last Chance Qualifier」(以下、LCQ)で出場権を勝ち取った「ZETA DIVISION」(以下、ZETA)が出場します。

記事では、「VCT 2023 Champions」の大会情報と合わせて、開幕に向けて行われた合同プレスカンファレンスでの「ZETA」Laz選手のインタビューをお届けします。

昨年までとは異なる、LCQで出場枠を勝ち取っての出場

「ZETA」は昨年、トルコ・イスタンブールで開催された世界大会「VCT 2022 Champions」にも出場しており、2年連続での「VCT Champions」出場になります。ただ、VCTは今年から大きく大会形式が変更され、世界大会への出場権を獲得する難易度は、昨年と比べて格段に変わっています。

昨年までは、大会成績に応じて得られる年間のサーキットポイントを、日本国内のチームで競い合い、トップ1チームが「VCT Champions」に出場していました。つまり、世界大会には日本チームの出場枠が設けられており、日本から確実に1チームが出られる仕組みでした。

しかし、今年からはAmericas、Pacific、EMEAの3つのインターナショナルリーグで、国際大会への出場権を争う形式に変わっています。3つのリーグでは、国際大会「VCT Masters Tokyo」への出場権、および世界大会「VCT 2023 Champions」への出場権をかけて争われました。

アジア地域から10チームが出場するPacificリーグには、日本から「ZETA」と「DetonatioN FocusMe」が出場。しかし、両チームはPacificリーグのトップ3チームに入ることができず、自国開催の「VCT Masters Tokyo」出場を逃す悔しい結果になりました。

続く「VCT 2023 Champions」には、「VCT Masters Tokyo」に出場した12チームに、LCQで出場権を獲得した4チームを加えた、16チームが出場します。LCQからの出場枠は各リーグ1枠ずつで、「VCT Masters Tokyo」で優勝した「Fnatic」が属するEMEAリーグには、追加の1枠が付与されています。

日本2チームに残されたチャンスは、「VCT 2023 Champions」につながるLCQのみでした。そして、7月に開催されたPacificリーグのLCQで、「ZETA」が見事優勝を獲得。わずか1枠の出場権を勝ち取り、今回の「VCT 2023 Champions」出場へとつなげました。

  • 2023年から始まった、インターナショナルリーグをベースとする大会構造

  • 「VCT 2023 Champions」への出場が決定した全16チーム

まずはグループステージ上位2チームに入り突破を目指す

「VCT 2023 Champions」では、8月6日から13日までグループステージの試合が行われます。グループステージでは、A~Dのグループに4チームずつが振り分けられ、ダブルエリミネーション形式で対戦。各グループの下位2チームが敗退し、上位2チームがブラケットステージへと進みます。

「ZETA」が振り分けられたのは、グループC。このグループには、EMEAリーグから「Fnatic」、Americasリーグから「NRG」、そして中国予選から「Bilibili Gaming」が振り分けられています。

「ZETA」が戦う初戦の相手は、「Fnatic」に決定しました。「Fnatic」は、「VCT LOCK//IN サンパウロ」と「VCT Masters Tokyo」で優勝を果たし、VCTの国際大会における史上初の2連覇を達成した王者チーム。「ZETA」としては、初戦から強敵とぶつかることになります。

グループステージを突破した8チームは、ブラケットステージに進出し、ダブルエリミネーションのトーナメントを戦います。そして、このトーナメントを最後まで勝ち抜いたチームが、2023年の『VALORANT』世界王者の称号を手にします。

  • グループステージの試合スケジュール。「ZETA」の初戦はDAY3

  • ブラケットステージからグランドファイナルまでの試合スケジュール

  • グループステージのトーナメント表。「ZETA」はグループC

  • グループステージ突破8チームが戦う、ブラケットステージのトーナメント表

  • 「VCT 2023 Champions」の開催会場。最終3日間は、KIA FORUMで行われる

「世界チャンピオンとの対戦が楽しみ」Laz選手インタビュー

開幕に向けて行われた合同プレスカンファレンスには、各チームから代表者が出席。「ZETA」からは、リーダーのLaz選手が登壇しました。海外メディアからの質問も含め、Laz選手へのインタビュー内容をお届けします。

  • 左から、「Fnatic」Derke選手、「ZETA」Laz選手、「EDward Gaming」ZmjjKK選手、「Bilibili Gaming」whzy選手

――LCQではロールの変更があったかと思いますが、この変更の背景を教えてください。

Laz:リーグを通して、チームでできそうなこととできなさそうなことを、みんなで話し合いました。結果として、この形が一番パフォーマンスが発揮できそうだと決まりました。

――LCQでは、チェンバーを使っての活躍がありましたが、今大会で他チームがチェンバーへの対策をしてくると思いますか? また、チェンバーのメタが復活する兆しがあると思いますか?

Laz:昔すごくチェンバーが流行っていたときと比べると、今のチェンバーはまた少し違います。他のリージョンでも、少しチェンバーがピックされているのを見たので、チェンバーを相手にする戦い方はみんなそれなりに知っているだろうとは思います。

メタとして復活するかどうかについては、チェンバーは特定のマップでは、かなり強いと感じています。ですが、やはりキルジョイが非常に安定して仕事をこなせる強さを持っているので、現状だと去年ほど入れ替わることはないと考えています。

――以前、IGL(インゲームリーダー)の難しさについてお話されていました。LCQの試合では、チームの雰囲気も良くなったように感じられますが、どのような点に気をつけていましたか?

Laz:今このメンバーで、IGLをしやすいロールなどをいろいろ考えていくなかで、LCQでベストな形を見つけられたのかなと。その状態で、「VCT 2023 Champions」に来られたことをうれしく思っています。

――LCQではLaz選手がIGLをされていたようですが、今大会では誰がIGLをする予定ですか?

Laz:そのあたりは変更しないと思います。

――LCQの内容を受けて、SNSでは「これがZETAだ」といった言葉が飛び交っていました。Laz選手は「ZETA」というチームを、世界にどのように印象付けたいですか?

Laz:日本リージョンから応援してくれている方が本当に多くて、そういった応援をいただけたことは、すごくうれしかったです。世界に対しては、理想を言えば、いい試合をして勝ち進んで、強い「ZETA」を印象付けられたらいいなと思います。

――同じCグループに属する各チームに対して、それぞれどのような試合になると考えていますか?

Laz:どのチームも非常に強いチームで、「Fnatic」は言わずもがな、世界チャンピオンのチームです。「NRG」も昔からよく対戦している選手が多くて、すごくいいチームであることを知っています。

「Bilibili Gaming」も、よく練習相手として対戦してくれたチームで、ものすごく強い選手がそろっています。ついにインターナショナルの舞台で会えて、楽しみに感じています。自分たちがやることとしては、それぞれのチームに対してどう戦うかというよりは、1戦1戦を全力で挑んでいくだけだと思っています。

――初戦の相手が「Fnatic」に決定しました。国際大会を連覇している強豪チームと初戦で当たることについて、どう感じていますか?

Laz:この舞台で世界チャンピオンと戦えることを非常にうれしく思っていて、すごく楽しみにしています。

――「Fnatic」のBoaster選手が、「VCT Masters Tokyo」の優勝インタビューで「次はもっと日本のチームと戦いたいです」というメッセージを送ってくれていました。これを聞いて感じたことや、今答えたいメッセージがあればお願いします。

Laz:Boasterが「日本チームと戦いたい」と言ってくれて、こうして早い段階で実現できたことが、すごくうれしいです。そして、世界で戦える日本リージョンのチームが、どんどん増えてほしいなと思っています。

――Laz選手自身やチームのコンディションはいかがでしょうか?

Laz:チームの状態がすごくいいので、試合が楽しみですね。

――LCQの終了後から今大会までの期間は、かなり短かったと思います。この期間、渡航などを含めた忙しさや、練習の精度などはいかがでしたか?

Laz:移動の大変さや時差ボケなどもありつつ、LCQが終わってから練習しているチームが減ってしまった影響で、少し練習のクオリティは落ちています。ただ、やれることをやっていくだけだと思っています。

――日本のファンの皆さんへのメッセージや、意気込みをお願いします。

Laz:皆さん応援ありがとうございます。こうしてまたインターナショナルの舞台に立つことができて、非常にうれしく思っています。がんばります!

「ZETA」初戦は、8月9日朝7時ごろよりスタート

「ZETA」の初戦は、日本時間の8月9日朝7時ごろの開始が予定されています。開催地のロサンゼルスと日本には16時間の時差があり、各日程の第1試合は朝4時にスタートします。「ZETA」の初戦は第2試合のため、第1試合の結果によって、開始時間が前後すると考えておいたほうがよいでしょう。

LCQでは、各選手の得意なエージェントを活かした構成で、すばらしいパフォーマンスを発揮した「ZETA」。世界大会でも変わらぬ勢いを見せてくれるかどうかに、大きな注目が集まります。