バルミューダは2023年秋から、小型風力発電の実証実験を開始する。成長に向けてさまざまな可能性を検討する中で小型風力発電機の研究開発に取り組んできており、実証実験のフェーズに入ったとのことだ。

  • バルミューダの小型風力発電、コンセプトデザインイメージ

志半ばでスマートフォン事業から撤退することになったバルミューダ、近年はコロナ禍の推移や世界情勢も業績にとってマイナス要因となっていた。今回の小型風力発電は、次の一手として注目される。

風力発電に用いるタービンにつながるのは、バルミューダの扇風機「GreenFan」だ。独自の二重構造を持つ羽根やDCモーターを採用したGreenFanは、自然で柔らかな送風が好評を博し、ヒット製品となっている。

この「羽根」を出発点に、数年前からモダン・マルチブレードタービンの研究開発をスタート。あくまで研究室内での実験では、直径1メートル以下の小型サイズ、低い回転速度、低い動作音を実現し、高いエネルギー変換効率が得られているという。

2023年秋からの実証実験では、実際の使用環境を想定した屋外に風力発電システムを構築し、性能を確認する。今後は計測方法も多様化し、発電用タービンの研究と改良を重ねて技術の確立を進めていく考え。今回の研究会には、世界風力エネルギー学会副会長を務める荒川忠一・東京大学名誉教授をシニアアドバイザーとして招くほか、足利大学・飯野研究室(工学部創生工学科機械分野)との共同研究も予定している。

これまでおもに生活家電を手がけてきたバルミューダだが、「今回の小型風力発電の研究開発を通じ、『電気を使う』だけでなく『作る』領域へと挑戦の幅を広げてまいります」と述べている。