Microsoftが微細なミスをした。同社は現地時間2023年8月2日からWindows Insider Programにて、Windowsのバグを検証・報告するAugust 2023 Bug Bashを開催しており、その中のクエストで「Staging Tool」と呼ばれるツールを誤って公開してしまったのである。Microsoftはすぐにクエストの内容を修正し、Staging Toolの公開を停止したのだが、後の祭り。ネット上で広く出回っているようだ。
Windows 11 Insider Previewはユーザーの利用環境に応じて、機能有効化の是非を判断するA/Bテストを早期から行っている。Windows Insider Blogで報告された機能も、自身の環境で使えないのはつまらない。そこでStaging Toolの出番だ。
たとえばパスワードレスでWindows Helloによるサインインを強制する機能を検証するのであれば、「StagingTool.exe /enable 44552141」を実行する。あくまでStaging ToolはMicrosoftの従業員、および開発者向けのコマンドラインツールだが、Windowsが好きな人やこうしたツールに興味を持つ人にとっては面白い存在ではないだろうか。
もっとも、Staging Toolを入手する方法は限られているため、以前からコミュニティーの間で開発されてきた「ViVitool」を紹介したい。A/BテストはWindows 10 Insider Preview時代に始まっているが、その際も新機能の検証に漏れた環境で強制的に有効化するツールとして広く知られている。
Staging ToolやViVitoolを使う上でネックとなるのが、機能の識別子を確認する方法だ。「ViVeTool.exe /query」で使用中のビルドが対応する機能の識別子を確認できるのだが、煩雑なことに変わりはない。テキストベースで機能を確認したい場合は「ViVeTool-GUI」を併用すると分かりやすくなるだろう。
MicrosoftはAugust 2023 Bug Bash開催に合わせて、Canaryチャネルはビルド25915、Devチャネルはビルド23516、ベータチャネルはビルド22621.2129/ビルド22631.2129をリリースしている。個々の新機能については割愛するが、興味があったら試してみるとよいだろう(有効化の操作で安定性が低下する可能性を念頭に置いて)。もっとも……、Windows 11 Insider Previewもさることながら、安定版Windows 11も安定性を欠く場面は各所に見受けられる。どうせならWindows 11 Insider Previewに切り替え、興味を持った機能を早く使い始めたほうが快適ではないだろうか。
ただし、業務利用するメインPCはまた別。筆者の経験では、Windows Insider Programに参加させると「Hyper-Vが使えない」「サインイン後に強制終了する」といった致命的なトラブルと遭遇したこともある。前者はHyper-Vの最有効化、後者はBitLockerデバイス暗号化の鍵を別PCで確認して1つ前のビルドに書き戻した。このようなケースもあるので、安定版とインサイダー版はうまく使い分けたいところだ。