読売テレビのトライアル枠『るてんのんてる』(毎週金曜24:30~ ※関西ローカル)から、またカオスな番組が生まれた。7月28日に放送された『芸人にバラエティを教えてもらおう!』(TVer配信中)は、そのタイトルの通り、若手アーティストに芸人たちがバラエティでの振る舞い方を教える、という触れ込みだったが――。

  • (左から)ランジャタイの伊藤幸司・国崎和也、天竺鼠の川原克己、真空ジェシカの川北茂澄 (C)ytv

    (左から)ランジャタイの伊藤幸司・国崎和也、天竺鼠の川原克己、真空ジェシカの川北茂澄 (C)ytv

まずは、若手アーティスト・PSYCHIC FEVERのメンバーが『徹子の部屋』風トーク番組のMC役となり、森本晋太郎(トンツカタン)、ニシダ(ラランド)、ガク(真空ジェシカ)をゲストに迎えてロールプレイング。ゲスト役の芸人たちは「話しやすかったです」「やっててすごく楽しかったです」と無難な感想を述べたが、これではPSYCHIC FEVERにバラエティスキルが身についたとは言えない。

そこで、今度は芸人たちがMC役となってお手本を披露するが、ここからが本番。川原克己(天竺鼠)、伊藤幸司(ランジャタイ)、国崎和也(ランジャタイ)、川北茂澄(真空ジェシカ)という、何をしでかすか分からない芸人たちがスタジオに入ってきて、彼らをゲストにトークを回さなければいけないという、世の中のMC仕事の中でも最上級難易度のミッションが課せられることになった。

  • (左から)真空ジェシカのガク、ラランドのニシダ、トンツカタンの森本晋太郎 (C)ytv

ここで、この番組の真のテーマが明らかになる。森本、ニシダ、ガクという3人のツッコミ芸人は、とにかくボケ倒す暴れ馬を相手にいかにコーナーを成立させるか、ボケに対するスマッシュヒットのツッコミを繰り出せるか。一方の4人のボケ芸人たちは、いかにコーナーをぶっ壊すか、必死に成立させようとするツッコミ芸人を笑わせることができるか……そんな両者の“真剣勝負”が繰り広げられるのだ。

しかし、ガスマスクを装着して会話ができない川北に「これがテレビで放送されていいわけがない」(森本)、呼び込んでも出てこないランジャタイに「何だよこれ!」(ニシダ)、オペラ歌手が発言を歌唱しだすという川原独特の世界観に「ストレスエグいって!」(ガク)と、三者三様に好き放題されてツッコミ軍は惨敗。

この要領で、VTR中のクイズやムチャぶりに上手く対応できるか確かめる「VTR企画」、インカムの指示する側・指示される側の能力を試す「インカム企画」が、8月4日の放送と合わせ、2週にわたって展開される。果たして、ツッコミ芸人たちは一矢報いることができるのか。

  • トーク番組のシミュレーションにオペラ歌手が登場 (C)ytv

『芸人にバラエティを教えてもらおう!』を企画したのは、読売テレビ入社5年目の小池洋平ディレクター。『るてんのんてる』枠で、今年3月10日・17日に放送された『リヴァーフィールド バラエティショー』という、これまたカオス番組を企画した人物だ。

『リヴァーフィールド バラエティショー』は、「ハリウッドのテレビ業界を知り尽くした男・リヴァーフィールドが、日本の三流芸人にテレビに必要なスキルを伝授する」という触れ込みながら、実際は天竺鼠・川原が外国人MCにリアルタイムで吹き替えして、予測不能ボケでやりたい放題していくという内容。

この番組で川原は、“小池Dの番組なら、むちゃくちゃできる”と手応えや信頼をつかんだのか、今回は前回にも増して暴れ回っている印象を受ける。しかし4日放送の後編では、それまで振りが効きに効きまくったまさかの展開を作り出しているので、ぜひ注目してほしい。

芸人たちの真剣勝負に、終始圧倒されっぱなしだったPSYCHIC FEVER。まだ経験の浅いバラエティで、いきなり高度で難解すぎる技を次々にと目の当たりにしたが、それを実戦で行使する日はおそらくやってこないだろう。

それでも、最後に笑顔で「勉強になりました」「対応力を身につける時間になりました」「今日学んだことをぜひ次のバラエティでやりたいなと思います」と苦笑いしながら感想を述べる様子を見るに、“どんな状況でも、締めでは大人なコメントをする”という技術はしっかり習得したようだ。

  • PSYCHIC FEVER (C)ytv