ディスコは7月31日、「新卒採用に関する企業調査-中間調査(2023年7月)」を発表した。同調査は6月28日~7月6日、全国の企業1,162社を対象に、インターネットで実施した。

  • 図表1.学生の反応(2023年卒採用との比較)

学生の反応を2023年卒採用と比較した。「エントリー数」は、前年度よりも「増えた」と回答した企業は全体の17.5%で、「減った」という企業は58.3%だった。前年同期調査でも「増えた」企業より「減った」企業の方が多かったが、その差が大きく開いた。

内定辞退者について聞くと、31.2%が「増えた」、20.3%が「減った」と答えた。選考解禁から約1カ月後の途中経過ではあるものの、思うように内定承諾を得られない企業が少なくないことがわかる。特に従業員1,000人以上の企業において増加企業が39.5%と高かった。

  • 図表2. 学生の反応(2023年卒採用との比較)

採用活動の開始時期では、面接開始時期を見ると、最も多いのは「3月上旬」(10.6%)で、「4月上旬」まで10%前後で続く。従業員規模が大きいほど動き出しが早く、大手企業では「12月以前」が14.0%。内定出しの開始時期は前年に引き続き「4月下旬」が10.2%で最も多かった。

接点をもった学生に対して感じたことを聞くと、「就業意識の低い学生が増えた」と感じる企業は計37.1%で、「そう思わない」(計29.8%)を上回った。「就業意識や企業理解などが高い学生と低い学生の差が開いた(二極化が進んだ)」と感じる企業は計69.5%と約7割に上っている。

選考終了状況と内定者充足率を見ると、調査時点で採用選考を「終了した」と回答した企業は全体の22.0%で、前年同期調査(25.6%)よりも3.6ポイント下がった。「充足率」(採用予定数に対する内定者の割合)の平均は54.5%。従業員規模が大きいほど充足率は上がり、大手企業では63.4%と6割を超えたが、中小企業では47.6%と5割を下回った。

  • 図表3. 選考終了状況と内定者充足率

内定者に対する満足度では、「質・量ともに満足」は減少(21.5%→17.0%)した。最も多い回答は「質は満足だが、量に不満」(44.8%)で、「量」に対する不満が目立った。

新卒採用市場の見方を尋ねたところ、「完全に売り手市場だと思う」という回答が前年調査の42.3%からさらに増加し、70.2%になった。「やや売り手市場だと思う」を合わせると、売り手市場との見方が9割を超え(計95.6%)、コロナ禍前の2019年卒と同水準を示した。

  • 図表4. 新卒採用市場の見方

2025年卒者の採用見込みについて尋ねたところ、75.3%が「増える見込み」「2024年卒並みの見込み」と答え、7割強の企業が今期以上の採用を予定している。採用数の増加に伴い、採用予算も増加傾向が表れている。

採用業務を通して感じていることを、川柳に詠んでもらったところ、396もの作品が集まった。「面接を しているようで されている」「辞退者増 助けてください GPT」など、売り手市場感が強まるなかで、学生の心を掴もうと奮闘する担当者の心境が表れた句や、内定承諾に苦慮する句などが目立った。

  • 図表5. 人事担当者川柳