俳優の草なぎ剛が主演を務める舞台『シラの恋文』が12月より上演されることが2日、発表された。草なぎのシス・カンパニー公演への参加は、堤真一との二人芝居「K2」以来、13年ぶりとなる。
現代演劇を代表する劇作家・北村想氏による書き下ろし作品『シラの恋文』は、構想から執筆完成に至るまで長い年月をかけて練り上げられ、遂に上演決定発表の日を迎えたオリジナル戯曲。
北村氏と言えば、演劇史に輝く名作『寿歌(ほぎうた)』を筆頭に、その軽妙な台詞術と透明感を湛えた叙情性豊かな世界観で、現代演劇を代表する劇作家と賞されてきたが、この度、草なぎとの初めての劇世界を書き下ろした。そして、これまでも多くの北村作品演出を手がけ、俳優としても活躍する寺十吾(じつなし・さとる)が、瑞々しく、どこかノスタルジアを感じさせる演出アプローチで、その劇世界を彩っていく。
本作の創作インスピレーションは、かのエドモン・ロスタンの戯曲にも描かれ、実在の人物で剣の達人でもあった「シラノ・ド・ベルジュラック」が発端。己の恋慕をひた隠し、若者の恋路の手助けのために恋文を代筆するという「シラノ」だが、独創的な発想から既存の作品や人物にも大胆に切り込み、思いがけない劇世界を生み出してきた北村氏によって今回どのように描かれるのか。
物語は、ある晴れた日に、草なぎ演じる鐘谷志羅(かなたにしら)という男が、古めかしい手提げの旅行 鞄を抱えて、坂道を上って来るところから始まる。坂道を上り切った、海が一番美しく見える 場所に建つのは、結核療養施設・サナトリウムで、志羅はそこにやってきた「新参者」。このサナトリウムには、さまざまな 事情を抱えた住人たちや職員たちが志羅を待ち受けている。そして、ある運命の出会いが……。
そんな志羅と生活を共にするサナトリウムの住人役として、大原櫻子、工藤阿須加、鈴木浩介、西尾まり、明星真由美、中井千聖、宮下雄也、田山涼成、そして、段田安則が出演する。
同舞台は、12月初旬から中旬に京都劇場、12月中旬から下旬に福岡・キャナルシティ劇場、2024年1月初旬から月末に東京・日本青年館ホールにて上演。