ワーク・ライフバランスは7月31日、厚生労働省「イクメンプロジェクト」による「令和5年度男性の育児休業等取得率の公表状況調査」の結果を公表した。
育休取得率が高いほど平均取得日数は短くなる
現在、常時雇用する労働者が1,000人を超える事業主は、育児休業等取得の状況を1年に1回公表することが義務付けられている。厚労省によると、従業員1,000人超企業のうち、3月末決算の企業の約9割が6月中に公表完了の予定であり、有効回答企業1,472社(1,000人超の企業に絞れば1,385社)における男性育休等取得率は46.2%、男性の育休等平均取得日数は46.5日。
男性育休等取得率の公表が義務付けられた効果により、対象となった企業では取組が進み育休等取得率が高まった一方、男性の育休等取得率と平均取得日数には、弱い負の相関(男性の育休取得率が高いほど、平均取得日数は短くなる)が見られた。
企業が取得率向上に取り組むことで得られた効果は?
取得率を公表した効果・変化について聴取したところ、「社内の男性育休取得率の増加」(33.1%)、「男性の育休取得に対する職場内の雰囲気のポジティブな変化」(31.5%)、「新卒・中途採用応募人材の増加」(8.3%)が上位にあがり、男性育休取得率を公表することが、育休取得の促進だけでなく、人材獲得の面でも効果を感じている企業が多いよう。
また、男性育休取得率向上に取り組むことで、「職場風土の改善」(56.0%)や「従業員満足度・ワークエンゲージメントの向上」(45.9%)、「コミュニケーションの活性化」(22.6%)といった効果が得られていることもわかった。
育児・介護休業法では「育児休業を取得しやすい職場の環境整備」が企業に義務づけられているが、その取組状況を育休等取得率別に見ると、男性の育休等取得率の高い(80%以上)企業群では、取得率が低い(20%未満)企業群と比べて、「自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供」(+36.0%)や「育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施」(+24.4%)の取組割合が高い傾向にあることが判明。
また、2022年4月から義務付けられている「育児休業に関する個別の周知・意向確認」の実施者を育休等取得率別に見ると、男性育休等取得率の高い(80%以上)企業群では、取得率が低い(20%未満)企業群と比べて、個別の周知・意向確認を「直属の上司」(+14.8%)が行っている割合がやや高いことがわかった。
なお、厚生労働省「令和4年度雇用均等基本調査」における男性の育休取得率は、17.13%だった。