映画『こんにちは、母さん』(9月1日公開)の完成披露試写会が31日に都内で行われ、主演を務める吉永小百合、大泉洋、永野芽郁、宮藤官九郎、田中泯、山田洋次監督が登壇した。
同作は山田洋次監督によるオリジナル作。大会社の人事部長として日々神経をすり減らし、家では妻との離婚問題、大学生になった娘(永野)との関係に頭を悩ませる神崎昭夫(大泉)は、久しぶりに母・福江(吉永)が暮らす東京下町の実家を訪れると、割烹着を着ていたはずの母親が艶やかなファッションに身を包み、イキイキと生活していることに驚く。恋愛までしているようで戸惑う昭夫だったが、お節介がすぎるほどに温かい下町の住民や、これまでとは違う“母”と新たに出会い、次第に見失っていたことに気付かされてゆく。
吉永らキャスト陣は、涼しげな浴衣姿で登場。吉永は「山田監督作品『母べえ』『母と暮せば』では、戦前から戦後で大変つらい時期を苦しみながら耐える母を演じさせていただきました。今回のお母さんはちょっと飛んでて、明るくてみんなと一緒に生きていくという母親です」と挨拶する。
MCからの「せっかくきれいな浴衣姿ですので、1周回って帯なども見せていただければ……」という要望に、吉永は「1周まわって、ワンっ! って言う……?」と冗談を交えながらも対応し、艶やかな和装姿で集まった観客を魅了していた。
今作で下町の母を演じた吉永は役作りについて聞かれると、「大泉さんのことを『お前』と呼ぶんですよね。それが生まれて初めてのことで。最初とまどいがあったんですけど、そのうちに慣れてきました」と振り返る。一方で、吉永から“お前”と呼ばれた大泉は「セットに入って吉永さんにお会いすると、母さんにしか思えない。その中で母さんから“お前”って普通に言われるのは、何の違和感もなくて、本当に昔から言われていたような気がしました」としみじみと語った。
また宮藤が、撮影中に急遽山田監督からかなりの量のセリフを追加されたというエピソードを披露すると、山田監督作品にこれまで6本出演している吉永は、「監督のそういうのを“号外”と呼んでおりました。『号外が来たぞ!』と(笑)。(もともと台本に)書いてあったものと違うセリフになって、必死で覚えて当日やることもあります」と日常的に行なわれていることだと明かした。
イベント終盤、今作のタイトルにちなみ、「最近、“こんにちは”したものは?」というテーマでトークが展開されると、「その赤ちゃんは、大泉さんより前の作品で息子役をやってくださった、某和也さんという方のお嬢ちゃん。お会いすることができました」と説明し、『母と暮せば』で息子役を演じた二宮和也を示唆し会場を驚かせた。そして、「ぜひ大泉さんのお嬢さんにもお会いしたいと思っています」と笑顔を見せていた。