演劇や音楽などのカルチャーに触れているとアングラという言葉を時折見聞きしますが、意味を知らないという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、アングラの意味や正しい使い方を紹介します。また、類語・言い換え表現や対義語についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
アングラとはどんな意味?
アングラとは、英語で地下を意味する「underground(アンダーグラウンド)」を略した言葉です。演劇や音楽などのカルチャーにおいては、主に商業的でない演劇・音楽、前衛的な演劇・音楽のことを指します。
一方、演劇や音楽以外でも使われる言葉であり、例えばビジネスシーンにおいては非合法なビジネスのことなどを指します。使うシーンによって意味合いが異なる点に注意しましょう。
アングラの語源
商業的でない、あるいは前衛的なジャンルを意味するアングラは1960年代のアメリカで、当時のメインストリームである商業的な演劇に対抗して生まれた演劇活動が元になっています。これが日本にも伝わり、1960年代後半に起きた「アングラ演劇」ブームによって広く知られるようになりました。現在では演劇のみならず、音楽やファッションなどの芸術・文化、ビジネスシーンなど幅広いシーンで使われています。
アングラの使い方・例文
アングラを会話や文章で使う場合、どのように使うのでしょうか。ここでは例文を交えながら正しい使い方を紹介します。
演劇で使う場合
演劇で使われるアングラは、主に前衛的な演出がなされた「アングラ演劇」のことを指します。
【例文】
・今日観た作品はアングラの要素が満載で非常に刺激的だった
・今作はアングラに影響を受けてきたA氏らしい演出が多く見られた
映画で使う場合
映画においてもアングラは前衛的な作品のことを指して使います。また、斬新な表現や過激な演出がなされた作品を「アングラ映画」と呼ぶこともあります。
【例文】
・この作品はアングラ映画の傑作と呼ばれている
・予告編で見たイメージとは違い、本編はアングラ感満載だった
音楽で使う場合
音楽において使う場合、前衛的・非商業的な楽曲やミュージシャンのことを指すほか、「メジャーシーン」の逆を「アングラシーン」と表現して使う場合もあります。特にバンドやヒップホップなどのジャンルにおいてよく使われる言葉です。
【例文】
・あのバンドはメジャーになってからもアングラ感の強い音楽を続けている
・今でこそメジャーな存在となった彼だが、元々はアングラシーンで活動していた
ビジネスで使う場合
ビジネスにおけるアングラは、主に非合法なやり方で儲けるビジネスのことを指します。また、厳密には非合法とは言えないものの、法律の穴を利用した悪質なビジネスのことを指す場合もあります。いずれにせよ、良い意味合いでは使われません。
【例文】
・彼の経営する会社はアングラビジネスを行っている
・アングラビジネスを行っていたことが発覚したA社の代表が逮捕された
アングラの類語・言い換え表現
アングラと似たようなニュアンスで使われる類語や、言い換え表現として使える言葉を紹介します。
アバンギャルド
アバンギャルド(avant-garde)とは、「前衛的」を意味する言葉です。軍隊の前方で護衛にあたる部隊のことを指すフランス語に由来し、転じて芸術や文化において革新的・実験的な作品を指す意味でも使われるようになりました。「アヴァンギャルド」と表記することもあり、ファッション業界においてもよく使われます。
【例文】
・本作はアバンギャルドな世界観が存分に発揮されている
・今秋のコレクションはアバンギャルドがテーマだ
前衛的
アングラが表す意味の1つである「前衛的」という言葉を、言い換え表現としてそのまま使っても良いでしょう。
【例文】
・今回のアルバムでは前衛的な楽曲が目立った
・彼の作品はどれも前衛的なデザインが目を引く
地下
アングラは「地下」という意味があるため、内容によってはアングラを「地下」と表現しても伝わるでしょう。ただし、地下と表現するのが失礼な場合もあるので、使い方には注意が必要です。
アングラの対義語
アングラの対義語としては、「オーバーグラウンド」が挙げられます。ただし、アンダーグラウンドと比べて日常的に使われる言葉ではなく、略して使われることもありません。
そのほか音楽においては先述した通り、「アングラシーン」の反対を「メジャーシーン」と表現します。
アングラの意味を理解して正しく使おう
アングラの意味や使い方、類語などを紹介してきました。
アングラは英語の「underground」の略称であり、商業的でない、あるいは前衛的な作品のことを指します。主に演劇・映画・音楽などの芸術や文化において使われ、シーンによってややニュアンスが異なる言葉です。
また、芸術や文化以外にビジネスで使われることもあります。この場合は非合法なやり方で儲けるビジネスのことを指すため、使う際は混同しないよう注意が必要です。それぞれの意味合いを理解し、適切に使い分けましょう。