今回は隠喩の例文や使い方を紹介します。「隠喩」とは比喩表現のひとつで、ビジネスシーンを含めた日常会話で使われることが多いです。「隠喩」の意味や語源、例文や類義語などを分かりやすく簡単に解説するので、ぜひチェックしてくださいね。
「隠喩」とは? 意味と語源を簡単に・分かりやすく解説
ここでは、「隠喩」の意味や語源を分かりやすく解説します。
「隠喩」の意味
「隠喩(いんゆ)」とは比喩法のひとつで、対象となるものの特徴を、直に他のもので表現する方法です。基本的な比喩法で用いられる、「~のような」「~みたいな」といった言い回しは使われません。
たとえば、「私たち家族にとって、母親は太陽のような存在だ」は「~のような」「~みたいな」という表現をしているので直喩ですが、「私たち家族にとって、母親は太陽だ」は「~のような」「~みたいな」という例えを示す言い回しはしていないので、隠喩です。
「隠喩」の語源・成り立ち
「隠喩」という言葉は、「隠」と「喩」という漢字の組み合わせでできています。
このうち「隠」の意味は、「秘密にして内情が見えないようにする」ということです。また、「喩」には、「例える」「他の例を使って、意味や内容を伝える」という意味があります。
これら2つの漢字の意味を組み合わせることによって、「特徴を直接他のものを用いて表現する比喩法」という意味がある、「隠喩」という言葉になりました。
「隠喩」と「直喩」との違い
「隠喩」とよく比較される言葉が「直喩(ちょくゆ)」です。「~のよう」「~みたい」といった言葉を用いて、2種類のものを直接比較する比喩法のことを指します。
直喩は隠喩よりも比喩であることが分かりやすい表現なので、日常的に使われています。
「隠喩」の使い方・例文
ここでは、「隠喩」の使い方を例文で紹介していきます。
・彼女はガラスのハートなので、伝え方には特に注意してあげた方がいいだろう(心が繊細な様子を「ガラス」と暗喩している)
・彼は相手の心情を考えずに発言することがあって、部下から鬼と言われることがある(心を傷つける様子を「鬼」と暗喩している)
上記のように、「~のよう」といった言葉を挟まずに例え話をするのが「隠喩」の特徴です。
「隠喩」の類義語・関連語
「隠喩」や「直喩」以外にも、似た状況で使われる言葉がいくつかあります。この機会にまとめて押さえておきましょう。ここでは、比喩表現を中心に、「隠喩」の類義語や関連語を紹介します。
暗喩(あんゆ)
「暗喩」は「隠喩」と同じ意味があり、「隠喩」の類義語といえるでしょう。「隠」には「はっきりと外には見えない」という意味があります。
「例える」という意味がある「喩」との組み合わせで、「隠喩」と同様「対象となるものの特徴を、直接他のもので表現する比喩表現」という意味になりました。
明喩(めいゆ)
「明喩」とは、「直喩」と同じ意味がある比喩表現のことで、「~のようだ」といった言葉を挟んで比喩を行います。「隠喩」の対義語として覚えておきましょう。
諷喩・風諭(ふうゆ)
「諷喩」とは、「遠回しにそれとなく諭すこと」「たとえを使って推察させる方法」などの意味があります。遠回しな比喩を示す言葉ですので、「隠喩」の関連語として覚えておくといい言葉です。「風諭」と書くこともあります。
寓意(ぐうい)
「寓意」とは、「意味を直接表さずに、別の物ごとに託して表現すること」という意味がある言葉です。具体的には、「寓意を含むアート」などの使い方があります。
「暗喩」の関連語として押さえておきましょう。
寓話(ぐうわ)
「寓話」とは、動物など擬人化したものを主人公にして、教訓や風刺を織りこんだ物語です。童話や漫画などでよく用いられます。
「暗喩」の関連語として覚えておくと表現の幅が広がり、会話などで役立ちます。
「隠喩」を使った言い回しを使いこなせるようになろう
「隠喩」とは比喩表現のひとつです。「~のよう」などの分かりやすい比喩の形を使わずに、対象となるものの特徴を、直接他のもので表現します。
一般的な比喩表現である「直喩」や「明喩」などに比べると、やや比喩表現とは分かりにくい部分もありますので、この記事で紹介した例文を参考に、表現には注意しましょう。
比喩表現には「諷喩」や「寓意」など、他にもさまざまな形があります。「隠喩」との違いを理解して、使い分けましょう。