仕事をして自分で給料を稼ぎ生活をするという事はとても大切です。しかし、時には病気や怪我など様々な要因で仕事ができなくなってしまう事もあるでしょう。現代の日本では多くの人が40年間程度働きます。40年間という歳月は長いため、早い段階からもしもの時を考えて備えておくことは重要と言えます。今回は新入社員向けに、働けなくなってしまった時の公的保険の活用から民間保険の必要性を解説します。

働けなくなってしまう時とは

公的保険や民間保険の必要性を理解するためには、いざという時に困らないようにする事の重要性を知る必要があります。

例えば、病気や怪我で長期入院が必要になったり、数年間の通院、自宅療養、身体に障害がのこってしまう事などがあります。こういった状態で、多くの人が不安に感じる事は働けなくなり給料が支払われないという事です。

自分の健康上に問題が発生し働けなくなった場合に、最初に利用するのが給料を貰いながら仕事を休むことができる有休消化です。まずは、自分が働く会社で有給休暇が取得できるかを確認するようにしてください。

有給取得が難しく、働けなくなることでお金に不安を覚える場合は、公的保険や民間保険の利用を検討しなければいけません。

公的保険とは

日本には全ての国民が加入している公的保険制度があります。

健康保険証を病院の窓口で提示すると、医療費負担が3割になる事を知っている人も多いと思いますが、これは公的保険制度によるものです。

公的保険の中には、加入者が病気や怪我で働けなくなったときに利用できる制度も複数あるので、事前に把握しておくようにしましょう。

傷病手当金

傷病手当は被保険者とその家族の生活を、守る目的で作られた制度で条件を満たせば、病気や怪我が原因で休業している時に手当を受け取る事ができます。

【傷病手当金受給条件】
・業務外の病気や怪我で就業不能である事
・4日以上仕事を休んでいる事
・会社から療養期間中の給与が支払われていない事
・受給額は「受給開始以前12ヶ月間平均報酬月額÷30日×2/3」で計算される
・同一の傷病で受給開始日から通算で1年6ヶ月間受給可能

傷病手当は自営業者などが加入する国民健康保険では受給できないので、注意してください。

休業給付

労働者が業務中に病気や怪我をしたことが原因で働けなくなった時に、その期間の生活を保護する目的で作られた制度が休業給付です。

【休業給付受給条件】
・業務上の理由また通勤などの時間に病気や怪我をして療養、4日以上労働ができなくなる事
・労働ができない療養期間の給与が支払われていない事
・受給は休業期間4日目から休業給付および休業特別支援金を受け取れる事

それぞれ受給額は次の通りとなります。

・休業給付→給付基礎額日額×60%×休業日数
・休業特別支援金→給付基礎日額×20%×休業日数

給付基礎日額とは、受給前直近3カ月間に支払われた給与の総額を暦日数で割った1日あたりの賃金額の事を指します。

障害年金

障害年金とは病気や怪我が原因で重度な障害を負ってしまい働けなくなった人の生活を保護する目的で、作られた公的年金制度です。

【障害年金受給条件】
・障害を負う原因となった病気や怪我の初診が、国民年金もしくは厚生年金の加入期間である事
・20歳前後または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で年金制度加入していない期間である事
・国が定めた障害等級1級~3級の状態である事

受給額は1級を最大とし、等級毎、子の人数や配偶者の有無によって変動します。障害基礎年金がベースとして支払われ、厚生年金加入者の場合は障害厚生年金が加算される仕組みとなっています。

民間の保険

このように働けなくなった時に活用できる公的保険の制度は充実しています。

一方で公的年金はあくまでセーフティーであり、全てをカバーしているわけではないという事も覚えておく必要があります。

働けなくなった時の生活への不安を無くすためには、公的保険ではカバーできていない範囲をカバーしてくれる民間保険への加入を検討してみてはいかがでしょうか。

この章では、民間の保険の基本的な内容を紹介しますので参考にしてください。

就業不能保険(特約)

就業不能保険(特約)とは、言葉通り病気や怪我で60日以上就業不能となった場合に受け取れる保険です。

特徴としては、長期的に働くことができなくなり収入減少が余儀なくされる場合に、毎月給与のように一定額を事前に加入している保険期間の満了まで受け取る事ができる点です。

受給額は加入している保険商品によって変動しますが、一時金や年金などを受け取れる商品もあります。

厚生年金に加入していない自営業者などは、公的年金の傷病手当を受給できないため、民間の保険の就業不能保険(特約)に加入すると、もしもの時にしっかりと備える事ができるでしょう。

もちろん、厚生年金加入者であっても公的年金で受給できる金額だけではカバーしきれない部分もカバーできるので押さえるようにしてください。

所得補償保険

所得補償保険も就業不能保険と同じく、病気や怪我で働けなくなった際の収入減少をカバーしてくれる保険です。

一方で就業不能保険が長期間(病気や怪我以降ずっと働けない)を想定しているのに対して、所得補償保険は最長2年程度と短期間の保障を前提としています。

就業不能保険では、保険金を受け取る事が出来るまで60日間の期間を有しますが、所得補償保険では医師からドクターストップが出てから4日〜7日後には保険金の受給が可能です。

働けなくなると同時に収入が一気に減少する恐れがある自営業者などにとっては、すぐに保険金が振り込まれる事はありがたい事と言えるでしょう。

民間保険は必要?

このように民間保険では、公的年金ではカバーしきれない部分または公的年金と両立して活用することで、より安心して備える事が出来るという効果があります。

働けなくなった場合は収入減少が免れないだけでなく、治療や通院などで必要以上にお金が必要になるかもしれません。

このような状態になる事を想像すると、不安を覚えてしまう人もいるのではないでしょうか。また、家族がいる場合は家族の生活の事も考える必要があります。

もし、少しでも働けなくなった時の生活費に不安を覚えるのであれば、民間の保険に加入して公的保険と両方で備えておく事をおすすめします。

まとめ

ここまで説明してきた通り日本は公的年金でカバーできる範囲が広く、病気や怪我で働けなくなった場合もある程度の生活が保障されています。

しかし、元の収入が減少することは否めず、少なからず不安が残ってしまうという事は忘れてはいけません。日々そういった不安を感じてしまう場合は、事前に備える事で安心感を得る事ができますし、実際にそうなった場合に自分や家族を支えてくれる事は間違いありません。このような事を考えると民間の保険がいかに重要かが分かりますので、ぜひ今回の記事を参考にしてください。もし、自分一人で民間の保険の加入を検討する自信が無い人はお金と人生のアドバイザーであるFPへ、相談することをおすすめします。

この記事を執筆したカウンセラー紹介


小峰一真(こみねかずま)
所属:株式会社マネープランナーズ
2級FP技能士/証券外務員2種/住宅ローンアドバイザー| 明治大学政治経済学部卒業

大手国内証券会社、外資系保険会社を経て、前職では独立系FP事務所に創業から携わっていました。資金計画作成、住宅購入相談、資産運用、保険相談など全般的に得意で、セミナー講師も担当しています。趣味はゴルフと読書、スポーツ観戦(横浜Fマリノス、明治大学ラグビー部を応援!)です。