写真甲子園もいよいよ撮影がスタート! 大会2日目の7月26日は午前中に上富良野町、午後に東神楽町から旭川市にまたがるエリアを撮影しました。

  • 晴れ渡った北海道の大地を舞台に、笑顔で撮影に臨む選手たち。カメラはフルサイズミラーレス「EOS RP」だ

頭を使って作戦を立てていかなければならない

朝7時50分、選手(高校生)と監督(顧問)を乗せたバスが宿舎を出発。上富良野町内に定められた撮影エリアを1周ロケハンした後、そのままバスに乗って好きなところで降ります。もちろんバスを使わないという選択肢もアリで、ロケハンが終わると数校がバスから降りていました。その後、バスはひたすら撮影エリアを周回。選手は停車禁止の場所でなければ、自由に乗降できます。

  • 知らない人が見ると、こんなところにバスが!?という光景

  • バスの時刻を手に記している選手も。最後の巡回に乗り遅れると、集合場所まで猛ダッシュすることに……

  • もちろん、バスから写真が撮れるわけもなく、基本は徒歩。文化部の大会だが、立派なスポーツでもある

  • ちなみに、選手・監督のTシャツは大会本部から事前に支給されたもの。オリジナルのペインティングのほか、同級生や写真部員からの寄せ書きも

なだらかな丘に畑が続く上富良野町は、北海道らしいスケールの風景が広がります。一方で、上富良野駅周辺は市街地もあり、スナップやポートレートを撮ることもできます。というわけで、撮りたい写真やテーマなどを考えて挑まないと、何も撮れぬまま終了時刻を迎えてしまいます。

写真甲子園の採点基準は「心・技・眼」。心はテーマに沿った作品づくりや着想力、メッセージ性。技は写真の技術力はもちろんですが、組写真の構成力も含まれます。そして眼はオリジナリティーや表現力、独創力。例年、審査員をアッといわせる写真が現れます。その1点のみで優勝できるほど甘くはありませんが、上位校の作品にはそうした写真が含まれていることが多いといえます。

  • 農道ですれ違った方に声を掛けてポートレートを撮る。「もう、80歳のおばあさんなんて撮ってどうするの~(笑)」「えーっ! 80歳ですか?」

  • 農家にお邪魔して愛犬を撮らせてもらう。対象エリアでは、写真甲子園で選手たちが来ることを分かっている人も多く、いきなりの来訪でも快く対応してくれる

  • こちらは床屋さん。きれいに撮ってくれるかしら?

  • よさげな工場で、中をのぞきこむ選手の姿が。先にやってきた他校の選手が撮影中だった。無念

  • 元野球部、オークランド・アスレチックスの帽子を撮る。「写真甲子園に出ていなかったら、今頃は甲子園の神奈川大会決勝を見に行ってました。横浜対慶應っすよ」

  • なだらかな丘が続く上富良野町。日を遮る木々は少なく、体力勝負の一面も

午後は東神楽町~旭川市。旭川空港にほど近い、こちらは水田地帯です。小学校や公園、大型ショッピングセンターなどもあり、人々の暮らしを垣間見ることもできます。先週までの天気予報では、大会期間中はほとんど曇りか雨のはずでしたが、今日は青空と白い雲、そして北海道らしくない猛暑。暑さに慣れていそうな地域の選手も多いのですが、日差しを遮るものがないなか、カメラを持って歩き続けるのは過酷です。カメラマンという職業は体力勝負だと日々痛感している筆者ですが(この取材もとくにそうです)、「写真甲子園」もまた立派なスポーツ競技大会です。

  • 子どもにカメラを向けにくい世の中だが、それを打破したところに結果が待っている。保護者に了承を得て、さらに子どもにもしっかり協力してもらう交渉力が求められる

  • 撮影時間は午前・午後とも2時間ちょっと。必要なものを撮りこぼすわけにもいかないし、選手どうしで写真がダブるのもロスになる。撮影した写真を確認し合うことで、その後のセレクトもスムーズになる

2日目は夕暮れどきの撮影も予定されており、ドラマチックな写真が期待できそうです。もっとも、写真甲子園で発表・審査されるのは8枚の組写真。どんなに素晴らしい1枚があっても、それを引き立てる7枚が揃わなければいけません。そこまで計算して昨日何かを撮っている選手もいるのかなぁ……と思った撮影初日。写真甲子園は“頭脳ゲーム”でもあるのです。