今年で30回目を迎える全国高等学校写真選手権大会「写真甲子園」が、7月25日に北海道東川町で開幕しました。東川町は、1985年に「写真の町」を宣言。それが移住者の増加や町の活性化につながり、町おこしの成功例としても知られています。例年、「東川町国際写真フェスティバル」に先立って「写真甲子園」が行われ、この時期の東川町は多くの写真関係者で賑わいます。
厳しい予選を勝ち抜いた19校が写真の町に集結
その「写真甲子園」、今年は過去最多の584校が初戦にエントリーしました。参加できるのは1校につき1チーム。写真部でなくてもOKですが、生徒3名で6~8枚の組写真を制作します。初戦は全国を11ブロックに分けて行い、81校が最終予選にあたるブロック審査会へ進みました。ここでは本戦さながらに、応募作品を審査員へプレゼンテーションします。
その結果、北海道ブロックは白樺学園(北海道)、東北ブロックは弘前南(青森県)、北関東ブロックは栃木工業(栃木県)と城北埼玉(埼玉県)、南関東ブロックは逗子葉山と横浜清陵(ともに神奈川県)、東京ブロックは総合芸術と八丈(ともに東京都)、北陸信越ブロックは富山東(富山県)、東海ブロックは静岡聖光学院(静岡県)と小牧南(愛知県)、近畿ブロックは前回優勝校の生野と帝塚山学院(ともに大阪府)、中国ブロックは出雲北陵(島根県)、四国ブロックは今治北高校大三島分校(愛媛県)、九州・沖縄ブロックは浦添工業(沖縄県)の計16校が選出されました。さらに選抜枠として、全ブロックの審査後にトキワ松学園(東京都)と八代白百合学園(熊本県)を選出。また昨年の第29回大会をコロナウイルス感染症で途中棄権した翔凛(千葉県)が特別招聘校となり、合わせて19校、57名の選手が晴れて本戦に挑みます。
3日間で5つの撮影ステージと2つの審査会に挑む
撮影は7月26日から28日までの3日間で、東川町や近隣の市町で計5回の撮影ステージが設定されています。初日の7月26日は午前中に上富良野町、午後に東神楽町・旭川市が舞台。それに先立ち、7月25日に開会式が行われました。2022年は3年ぶりに東川町で本戦が開催されましたが(2020年と2021年はリモートで開催)、コロナウイルス感染症対策で開・閉会式や審査会は無観客。選手や監督、審査員、関係者も全員マスク姿だったそうです。
筆者は2019年以来4年ぶりの現地取材で、賑やかな開会式やその後の歓迎夕食会を見ていると、思わずコロナ禍を忘れてしまいそうでした。ただ、コロナ禍の影響がなくなったわけではなく、以前は恒例となっていた初日のホームステイは行われませんでした。歓迎夕食会で各校がホストファミリーと対面し、一緒にジンギスカンを囲む光景は微笑ましかったのですが……。
この歓迎夕食会、時間帯が日没間際ということもあって、例年美しい夕焼けに遭遇します。実は競技としての「写真甲子園」は、開会式前にメディア(SDカード)が配られた時点でスタートしています。そこでジンギスカンもそこそこに、カメラを持って撮影に熱中する学校も。過去にも、この歓迎夕食会で傑作をモノにした学校がいくつもあります。
そんな歓迎夕食会も19時に終わり、選手たちは宿舎へ。写真甲子園では、各ステージごとにメディアを提出しますが、最終日の最終提出まではすべてが撮影タイム。夜間に外へ出て星空を撮ったり、スマホのライトなどを使いながら撮影する高校もあります。
19校の作品が発表されるのは、7月27日のファースト審査会と、7月28日の最終審査会。今回の審査員は立木義浩氏、公文健太郎氏、中西敏貴氏、須藤絢乃氏、鵜川真由子氏、浅田政志氏という写真家6名。これまで30回すべての大会で審査を務めてきた審査委員長の立木氏は開会式で「明日からの3日間で、あなたたちは今まで経験したことがないようなことに出会います。1回目の審査会で他校の作品を見ても怯まず、自分を信じてブレないでください」と選手たちにアドバイスとエールを送りました。果たして、今年はどんな力作を見られるでしょうか。