里見香奈清麗に西山朋佳女流三冠が挑戦する大成建設杯第5期清麗戦五番勝負は、第2局が7月25日(火)に福岡県福岡市の「ホテルニューオータニ博多」で行われました。対局の結果、相振り飛車の力戦を93手で制した西山女流三冠がスコアを1勝1敗のタイに戻しました。
相振り飛車の力戦形
先手となった西山女流三冠は初手に飛車を振って三間飛車を宣言。後手の里見清麗も三間飛車で応じた結果、本局の戦型は開幕戦に続く相振り飛車に落ち着きました。角交換が行われていないのは細かな違いです。穏やかな駒組みが続くかと思われるなか、瞬間的に先手の角の働きが弱いのを見抜いた里見清麗は3筋で銀交換を挑んで戦端を開きました。
銀交換に成功した里見清麗ですが、自陣には銀打ちによる両取りのスキがあるため飛車を逃がす一手が必要に。反対に手番を得た先手の西山女流三冠は後手の玉頭に合わせの歩を放って反撃を開始しました。素直に応じると十字飛車の要領で後手陣に飛車を成り込む筋があるため、里見清麗はこの歩を取りづらい格好です。
攻め急ぎに乗じて西山女流三冠が勝利
後手の里見清麗は受けていてもキリがないと攻め合いに転じます。歩の手筋を駆使して先手陣を乱したのは確実なポイントで、手順に飛車を先手玉近くに飛び出した形は西山女流三冠も「(里見清麗の)攻め手が相当広いので怖かった」と振り返ります。
盤面全体を使った押し引きが続くなか、里見清麗に攻め急ぎの一手が出ます。4筋に飛車を回って王手をかけたのがそれで、局後の検討では代えてじっと3筋に金を寄りつつ手を渡す手が有力とされました。実戦の展開は手順に先手玉が安全な右辺に逃げ出せたことが西山女流三冠に有利に働きました。
終局時刻は17時34分、最後は華麗な銀捨てで後手玉の退路封鎖に成功した西山女流三冠が寄せきって勝利。スコアを1勝1敗のタイに戻して初戴冠に向け一歩前進しました。注目の第3局は8月8日(火)に大阪府大阪市の「センタラグランドホテル大阪」で行われます。
水留啓(将棋情報局)