映画などで「マーヴェリック」という単語を聞いたことがある方もいるでしょう。なんだかかっこよく感じますが、実際にはどのような意味なのでしょうか。
また、実は「マーヴェリック」には「maverick」と「Maverique」の2つあり、それぞれ全く別の意味を表す言葉です。
本記事では「マーヴェリック(maverick/Maverique)」について、詳しい意味や語源を紹介。「マーヴェリック」が使われている言葉や類語、英語もまとめました。
「マーヴェリック」の2つの意味とは?
カタカナ語の「マーヴェリック」には、英語の「maverick」を基にしたものと、英語にフランス語の接尾辞の「-ique」を組み合わせた「Maverique」を基にしたものの2種類があります。
早速、それぞれの意味や語源について見ていきましょう。
「マーヴェリック(maverick)」の意味と語源
英語の「maverick」には、「焼き印のない牛」「一匹狼」「異端者」などの意味があります。
集団に属さずに独自に行動している人に使われるため、無所属の政治家にも使われます。
「マーヴェリック(maverick)」の由来は、アメリカテキサス州の牧場主、サミュエル・マーヴェリックの名前だとされています。
アメリカでは当時、自分の牛を判別するために焼き印を押すことになっていました。しかし彼は自分の牛に焼き印を押しませんでした。このことから「マーヴェリック」は「焼き印のない牛」、そして人とは違った行動を取るような「一匹狼」「異端者」を意味するようになりました。
なお彼が焼き印を押さなかった理由は「牛がかわいそうだから」「焼き印がない牛は全て自分の牛と主張するため」など、さまざまな説がありますが、どれが正しいかは分かっていません。
「マーヴェリック(Maverique)」の意味と語源
一方、英語の「maverick」の「ick」の部分を、フランス語で形容詞を作る接尾辞の「-ique」に変えて作られた造語である「Macerique」は、性自認にまつわる言葉です。
この「マーヴェリック(Maverique)」は「男性」「女性」のどちらでもなく、またその中間の性別でもない、独自の性別であることを意味する言葉で、ノンバイナリーに含まれる言葉です。
「マーヴェリック(maverick)」が使われている言葉
一匹狼や異端者を意味する、英語の「maverick」は、映画やブランド、スポーツチームなどの名前で使われることがあります。代表的な例を見ていきましょう。
映画『トップガン マーヴェリック』
2022年5月27日に公開された、トム・クルーズ主演の映画『トップガン マーヴェリック』から、「マーヴェリック」の意味が気になった方も多いのではないでしょうか。
『トップガン マーヴェリック』は1986年公開の大ヒット映画『トップガン』の続編で、約35年ぶりの新作として注目を集めました。
アメリカのエリートが集められたパイロットチーム「トップガン」。主人公のピート・ミッチェル(トム・クルーズ)は、トップガン史上最高のパイロットであり、その常識破りな性格から「マーヴェリック」と呼ばれていました。
何者にも縛られない振る舞いから、組織から追いやられていた彼でしたが、本作では最高難易度の極秘ミッションを成功させるべく、教官として赴任します。
キャロウェイ「MAVRIK シリーズ」
ゴルフ用品メーカーのキャロウェイゴルフからは、「MAVRIK」というゴルフクラブのシリーズが発売されています。
MAVRIKシリーズは、AIを活用してゴルフクラブの開発をしたことが注目を集めました。
アメリカNBAチーム「ダラス・マーベリックス」
「ダラス・マーベリックス(Dallas Mavericks)」はアメリカのテキサス州ダラスに本拠地を置く、NBAのバスケットボールチームの名称です。「マブズ」「マブス」と略されることがあります。1980年に創設されました。
チーム名の「マーヴェリックス」は、1960年代にテレビ放送されていた西部劇の名前にちなんで付けられたといわれています。チームのロゴには仔馬(こうま)が描かれています。
「マーヴェリック(maverick)」の類語・言い換え表現
「マーヴェリック(maverick)」は日本ではあまりなじみがない表現のため、そのままだと伝わらないことが多くあると考えられます。
「マーヴェリック(maverick)」の類語表現を覚えて、適切に言い換えるといいでしょう。
一匹狼
「一匹狼」は、行動や考え方が独立しており、集団行動を好まずに単独行動する人、近寄りがたい印象を持つ人に使われる言葉です。
なお似た言葉に「ひとりぼっち」があります。
しかし「一匹狼」は基本的に、自ら一人であることを選んでいます。
一方で「ひとりぼっち」は、自分で能動的に一人でいることを選んでいるわけではありません。頼れる人や仲間がいなく、結果的に一人になってしまった場合を指します。
異端者
「異端者」は正統から外れている人や、権威や伝統のような秩序に背く人のことを指す言葉です。また、大多数の人の思想や信仰、学説に対して、少数派の考えを唱える者、といった意味でも使われます。
どちらかというとネガティブなニュアンスがあるでしょう。
「マーヴェリック(Maverique)」の類語
本章では、性のあり方を表す言葉の一つである「マーヴェリック(Maverique)」の類語を紹介します。
アポラジェンダー
アポラジェンダーは英語で「Aporagender」と表記され、ノンバイナリーに含まれる言葉です。
アポラジェンダーもマーベリックと同様に、男性・女性のどちらにも属さない独立した性別を表す言葉です。
ただし、マーヴェリックは男性、女性と並列した性別であるという認識に対して、「アポラジェンダー」は男女の性別の枠を超えた、自分自身の固有のジェンダーであるという認識を持っている点が違います。
Xジェンダー
Xジェンダーは日本発祥の言葉で、男女の中間、両方、どちらでもないなど、幅広い性を表す言葉です。
Xジェンダーは以下の4つのタイプに分けられます。
- 中性:男性と女性の中間であるという認識
- 両性:男性でも女性でもあるという認識
- 無性:男性でも女性でもないという認識
- 不定性:男性のときや女性のときがあったり、どちらでもないときがあったりするという認識
マーヴェリックは男性、女性のどちらでもなく、独立した性別であるということに対して、Xジェンダーは男女という性別の概念を前提とした考え方です。
ニュートロワ
ニュートロワは「Neutrois」と表記します。男女の中間、もしくはジェンダーがないと感じる人を表す言葉です。
マーヴェリックは男性、女性とは別の独立した性別を指しますが、ニュートロワは男女の中間の性を指したり、そもそも性が存在しないことを指したりする言葉である点が違いです。
「マーヴェリック(maverick)」の英語表現
一匹狼などを意味する「マーヴェリック」は、前述のように元々英単語だったものをカタカナ読みした言葉なので、英語ではそのまま「maverick」と表記します。名詞、形容詞として使われます。
【maverickの使用例】
He is a maverick.
(彼は一匹狼だ)This drama's main character is a maverick detective.
(このドラマの主人公は一匹狼の刑事です)
なお一匹狼は「maverick」だけではなく、そのまま「a lone wolf」と表現することもあります。
「マーヴェリック」には2つの意味がある
「マーヴェリック」には英語の「maverick」をカタカナ語にしたもの、英語にフランス語の接尾辞の「-ique」を組み合わせた「Maverique」をカタカナ語にしたものの2種類があります。
英語の「maverick」は一匹狼や異端者の意味で使われる言葉です。「Maverique」は性自認を表す言葉の一つで、男性、女性どちらにも当てはまらない、独立した性という意味で使われます。
全く違う2つの意味があるので、この言葉を聞いたときは、どちらの意味で使われているのかを前後の言葉から判断する必要があります。