「ナンセンス」はテレビやラジオなどでもよく耳にする言葉ですが、意味を深く理解せずに使っている人も多いでしょう。

本記事では「ナンセンス」の詳しい意味や使い方と例文を紹介。「センスがない」との違いや、ナンセンス文学、ナンセンス変異、ナンセンスギャグなどのフレーズ、類語、対義語、英語表現についてもまとめました。

  • ナンセンスとは

    「ナンセンス」の意味や使い方と例文、類語や反対語も紹介します

ナンセンスとは? 意味や語源を解説

「ナンセンス」とは、無意味であること、くだらないこと、といった意味を持ち、ネガティブなニュアンスの言葉です。

考えや行動が、対象やその場の状況にそぐわないことに対して「それはおかしい」「無意味だ」ということを伝えられます。

「ナンセンス」の語源はフランス語の「nonsense」

「ナンセンス」はフランス語の「nonsense」に由来しているといわれています。

フランス語で「non」は否定を、「sense」は意味、価値、物の見方などを意味します。

「ナンセンス」と「センスがない」の違い

  • 「ナンセンス」と「センスがない」の違い

「ナンセンス」と似た言葉に「センスがない」があります。これらは、全く異なる意味を持つ表現です。

「ナンセンス」は前述のように「無意味、無価値であること」を表します。対して「センスがない」は「物事の雰囲気や味わいの微妙な違いを感じ取る感性、美的感覚が不足している様子」を示します。

例えば「ナンセンス」は「起きる確率がほとんど無いものについて議論するのはナンセンスだ」のように使います。

「センスがない」は「彼は服のセンスがないので、友人に助けを求めた」のように使います。

両者の指す「センス」の意味がそれぞれ異なることを理解し、間違った使い方をしないように気を付けましょう。

ナンセンスの正しい使い方と例文

  • 「ナンセンス」の正しい使い方と例文

「ナンセンス」は、ビジネスシーン、日常生活の両方で使える言葉です。

物事の状態やある人の言動が「無意味だ」「ばかげている」などと思ったときに使います。単に「無意味」と表現するよりも、ウイットに富んだ皮肉を感じさせられるでしょう。

例文を見ながら、より具体的な使い方をイメージしましょう。

  • その提案はナンセンスだと思う

上記の例文における「ナンセンス」は「提案が状況にそぐわず無意味である」と解釈できます。

「思考材料や解決策として不適切である」「提案が的外れだった」ということを意味している場合もあります。

  • このSNSはナンセンスなコメントであふれている

こちらの例文における「ナンセンス」は「ばかげている」「モラルやTPOの観点から考えて不適切」という意味だと解釈するといいでしょう。

また、コメントの内容が的外れな状況も想定されます。

ナンセンスを含む言葉

  • 「ナンセンス」を含むフレーズ

ここからは「ナンセンス」が含まれている言葉を紹介します。この機会に意味を覚えておきましょう。

ナンセンス文学

ナンセンス文学とは、既成の価値や秩序、感覚を揺るがすような新しい文学のことで、特にウイットやユーモアがキーとなります。ルーツは『マザー・グース』に代表されるイギリスの民謡集にあるとされています。

そしてナンセンス文学を世界的に広めた作品が、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』です。混沌(こんとん)とした世界観や言葉遊びなどを通し、読者を振り回しながらも、同時に笑いを誘うような奥深い文学です。

ナンセンスギャグ

ナンセンスギャグとは、意味がよく分からない世界観のギャグを指します。ハチャメチャな展開に意味不明なオチをつけながらも、そのシュールさになぜか笑いを誘われることが特徴です。

ナンセンスギャグの代表作品には、赤塚不二夫の『天才バカボン』や曽山一寿の『絶体絶命でんぢゃらすじーさん』などがあります。

エログロナンセンス

エログロナンセンスは大正末期から昭和初期頃に流行した、大衆文化の風潮です。「エロ(扇情的)」と「グロ(猟奇的、怪奇的)」、そして「ナンセンス(ばかばかしい)」を掛け合わせて生まれました。

ナンセンス突然変異

ナンセンス突然変異は、生物学の専門用語です。突然変異が生じて、タンパク質の合成が終了してしまう変異のことを指します。

ナンセンスの類義語

  • 「ナンセンス」の類語

「ナンセンス」は日本語にすっかり浸透した外来語である一方、現代の若者の間ではあまり使われない表現です。そのため、ビジネスシーンでは部下や後輩に通じない可能性もあるでしょう。

そんな場合は、下記の類語を使用するといいでしょう。

無意義

「無意義(むいぎ)」はそのまま、意義や意味のないことを表す言葉です。「無意味」と言い換えてもいいでしょう。

「無意義」は、物事を突き放すような強く硬いニュアンスを持つ言葉です。それに対し「ナンセンス」は、比較的ウイットを感じさせるという点が違いでしょう。

ちんぷんかんぷん・ちんぷんかん

「ちんぷんかんぷん」「ちんぷんかん」とは、物事の意味や内容がさっぱり分からないことや、意味のわからない言葉を話す人、という意味の言葉です。漢字では当て字で「珍糞漢糞」「珍糞漢」と書きます。

由来には諸説あり、儒学者の用いる漢語を冷やかした表現であるとする説や、外国語を理解できない一般の人が外国人の言葉をまねたものとする説などが代表的です。

たわけ

「たわけ」は漢字で書くと「戯け」です。ふざけることやばかげた行為、そして愚か者という意味があります。

愚か者という意味では、「たわけ者」と言うこともあります。

世迷い言

「世迷い言(よまいごと)」とは、意味の分からないことや、不平不満、愚痴をくどくどと言うことです。

人の発言をののしって言うときにも使用します。

ナンセンスの対義語

  • 「ナンセンス」の反対語

「ナンセンス」は「無意味であること」を意味し、また「状況やTPOに不適切」というニュアンスも含みます。ここからは、そんな「ナンセンス」の対義語を解説します。

思慮

「思慮」は物事を注意深く考えることを意味し、「ナンセンス」が表す「状況やTPOに不適切」というニュアンスの対義語にあたります。

また「ナンセンス」の「センス」には、意義や価値のほかに、物事の考え方という意味も含まれます。したがって「思慮に欠けている」とすると「ナンセンス」の類語になります。

「思慮」は、多くの場合「思慮深い」のような形で用いられます。

良識

「良識」とは、物事に対する健全な判断、あるいは考え方を表し、ポジティブな意味で使われます。

一方「ナンセンス」は、言動や考えを非難する、モラルや道義の観点から不適切、などの意味も含むため、「良識」とは相反しています。

「良識」は、多くの場合「良識のある人」「良識の範囲内で」のような形で用いられます。

常識

「常識」とは、社会人が一般的に共通して持つ思慮分別や知識、という意味であり、「ナンセンス」の対義語です。

「常識がある」などの形で使用します。

また逆に「あの人の言動には常識がない」と表現すると、「あの人の言動はナンセンスだ」という意味となり、類語になります。

英語でも「nonsense」

  • 「ナンセンス」の英語表現

「ナンセンス」の語源は、前述のようにフランス語の「nonsense」であり、英語でもつづりは同じ「nonsense」です。

英語での意味も日本語と同じであり、「無意味なこと」「たわ言」「ばかげたこと」などの意味を持ちます。

例文は以下の通りです。

  • He is talking nonsense again.
    (彼はまた意味の分からないことを話している)

「ナンセンス」の意味や使い方を覚えておこう

「ナンセンス」よく見聞きする言葉ですが、意味や使い方をきちんと理解している人は少ないものです。

この記事を参考に、きちんと意味を押さえて、正しく使いましょう。