「何から何までありがとうございます」などのフレーズでもおなじみの「何から何まで」という言葉。自分の気持ちを強調できる便利な言い回しです。
本記事では「何から何まで」の詳しい意味の他、ビジネスでの使い方、言い換え、対義語を豊富な例文と共に紹介。返事や英語もまとめました。
「何から何まで」の意味とは
「何から何まで」とは、全ての物事を網羅している様子、雑多なものも含めて、抜け漏れ無く全てを含む様子を意味します。
「何から何までお世話になり、誠にありがとうございました」というように、お世話になった相手へお礼を伝えたい場合によく使われます。
一方「彼は、何から何まで人任せだ」という、ネガティブな意味で使われることもあります。
「何から何まで」のビジネスシーンでの使い方・例文
ここからは「何から何まで」の正しい使い方を、例文と共に紹介します。
- 大変お忙しい中、何から何までお手伝いいただきありがとうございます。
- 何から何まで甘えさせていただき、深くお礼を申し上げます。
お礼を伝える言葉に「何から何まで」を加えることで、感謝の気持ちを強調できます。
「何から何まで」はどのような相手に用いても構いません。ただし目上の人に対して使う場合は、前後の文に「お~いただき」「お礼申し上げます」「感謝いたします」などの敬語表現を用いることで、丁寧な表現となります。
- 今回は、何から何まで大変お世話になりました。
上記の例文も感謝の気持ちを表現しています。
例えば、自分が受けたクレームを上司に処理してもらったときや、訪問先で至れり尽くせりな対応をしてもらったときなど、お礼の最後に一言添えれば、より良い印象を与えられるでしょう。
ただし相手の好意について述べる際は、過去の事柄についてお礼を言う際に使用するのであって、「今度のプレゼンでも、何から何までよろしくお願いします」のように、現在や未来の事柄に対する依頼には使用しません。
- ○○さんには、何から何まで教えていただき、本当に感謝しています。
- ○○さんには、何から何まで親切にしていただきました。
この例文のように、自分や相手が退職するときのメッセージにも使用することができます。
その他、「彼女は既に、何から何まで知っていた」「結婚式の準備については、何から何まで彼女任せという男性も多い」といった使い方もできます。
ビジネスで「何から何までありがとうございます」と言われたときの返答例
相手から「何から何までありがとうございます」と言われたときは「お気になさらないでください」などと返答するといいでしょう。
「お気になさらないでください」には、「気にしないでください」や「大丈夫です」という、相手に対する気遣いの意味があります。
「こちらこそありがとうございます」「めっそうもありません」などの返答も可能です。
「何から何まで」の類語・言い換え表現
ここからは「何から何まで」の類語を紹介します。
最初から最後まで
「最初から最後まで」は、おおむね「何から何まで」と同じ意味を表します。
例文は以下の通りです。
- 最初から最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
ただし「最初から最後まで」は「物事の始まりから終わりにかけて」という時間の長さを表しており、「何から何まで」のように「あらゆる事」、つまり事柄の広さや種類などについて述べることはできません。
一から十まで
「一から十まで」は、十を最大としたときに、全て、という意味を表します。
例文は以下の通りです。
- この度は、一から十までお世話になりました。
万事
「万事」はあらゆる事柄、全ての事柄を表す言葉です。
例文は以下の通りです。
- 彼の始めた事業は、万事うまくいっています。
「万事」は慣用句やことわざに含まれている場合も多くあります。例えば「万事休す(ばんじきゅうす)」は、あらゆる策が尽きてこれ以上何もできない様子を表します。「一事が万事(いちじがばんじ)」は、一つのことから他のあらゆるものを推し量れるという意味です。
あらん限り
「あらん限り」は、あるだけ全部、できる限りという意味で、「限界までの全て」というニュアンスで用いられます。主に、物の量や数においての全て、という意味を表現する際に使います。
「あらん」は「有る」という言葉に、「らむ(ん)」、つまり「~だろう」の意味がある助動詞を組み合わせて成り立つ言葉です。
- この事業にあてられた、あらん限りの資金を使い果たしてしまいました。
上記の例文で使われる「あらん限り」は、事業のために与えられた資金を限界まで使い果たした、という意味です。
余す所なく
「余す所なく(あますところなく)」とは、一つも残すところなく完全に、という意味の言葉です。
「余す」には、余らせる、残すなどの意味があり、「無く」と合わせることで、何も残さない様子を表しています。
「決められた範囲の中にあるものを何も残さず」というニュアンスが強く、種類の数や物の量に対してよく使われる表現です。
例文は以下の通りです。
- 今回の催しを、余す所なくお楽しみいただけますと幸いです。
似た表現としては「残すことなく」などがあります。
満遍なく(まんべんなく)
「満遍なく(まんべんなく)」は、物事が余すことなく、全体に等しく行き渡ることを指します。
仏教用語である「満遍(まんべん)」は、平均や平等を表しています。後に続く「ない」は、「無い」という意味ではなく、「満遍」の意味を強調する役割の接尾語です。
- 子どもたちに、おやつを満遍なく配る。
- 社内を満遍なく掃除する。
例文のように、人物に対して使うことや、空間に対して使うことが多いでしょう。
全て(すべて)
「全て(すべて)」は、多くの物事をまとめるという意味の「統べる」が語源の言葉です。
「全て」は全部、残らず、といった意味を表します。「何から何まで」に近い言葉ではありますが、より一般的で、広い意味で使われる言葉です。
- 今日やるべき仕事は、全て終わった。
- 社員全てが反対した。
例文のように、物や人にも使用することができます。
「何から何まで」の対義語
「何から何まで」、つまり「全ての物事を網羅している」という意味とは反対の意味を持つ言葉も確認しておきましょう。
おおよそ
「おおよそ」は、物事の大体の部分、大ざっぱに言って、などの意味を表します。漢字では「大凡」と書き、「大」も「凡」も「およそ」という意味を持ちます。
物の量や時間、広さなど、さまざまなものに対して使える用語です。
例文は以下の通りです。
- 今後やるべきことは、おおよそ定まっています。
- この会議は、おおよそ2時間で終わるかと思います。
大体(だいたい)
「大体(だいたい)」は、物事の細かい部分を除いた要点の部分、などの意味を表します。
例文は以下の通りです。
- 企画部なら、大体の人と面識がある。
- 部下は大体3時に帰ってくるだろう。
「何から何まで」の英語表現
「何から何まで」を英語で表現するときは「anything and everything」を用いるといいでしょう。
「anything」は「何でも」を表し、「everything」は「あらゆること」を表します。
例文は以下の通りです。
I studied anything and everything relating to mys profession.
(私は自分の専門領域については、何から何まで勉強しました)Thank you for anything and everything.
(何から何までありがとうございました)
慣用句「何から何まで」の意味や使い方を覚えておこう
「何から何まで」は、全ての物事を網羅している様子を表す言葉です。「何から何までありがとうございます」のように、感謝の言葉を述べるときに使えば、してもらったことの有り難さ、お礼の気持ちを強調できます。
逆に「彼は何から何まで親任せだ」のようにネガティブな文脈で使うと、非難の気持ちを強調することになります。
「何から何まで」の意味や使い方を正しく覚えて、使いこなせるようになりましょう。