4年ぶりの復活を果たすフジテレビ系大型バラエティ特番『FNS27時間テレビ』(22日18:30~23日21:54)。今年は千鳥、かまいたち、ダイアンの3組が総合司会を務め、『千鳥の鬼レンチャン』をメインに生放送が展開される。

1987年にタモリと明石家さんまの総合司会でスタートした同番組は、日本テレビのチャリティー番組『24時間テレビ』に対して“お笑い”を前面に打ち出してきた印象が強く、今回のポスタービジュアルでも「鬼笑い祭」と銘打たれているが、総合演出・プロデュースを務めるフジテレビの武田誠司氏に話を聞くと、27時間全体に“真剣勝負”というキーワードが浮かび上がってきた。

「これまで『FNS27時間テレビ』を作ってきたフジテレビの先輩方とは、ちょっとマインドが違うかもしれないです」と語る同氏が込める狙いとは――。

  • (左から)『FNS27時間テレビ』総合司会のかまいたち、千鳥、ダイアン (C)フジテレビ

    (左から)『FNS27時間テレビ』総合司会のかまいたち、千鳥、ダイアン (C)フジテレビ

■ダイアンを総合司会に加えた理由

武田氏が今回の『FNS27時間テレビ』の総合演出・プロデュースに決まったのは、昨年7月下旬。当時就任して1カ月あまりの港浩一社長から直々に命じられた。

「その2カ月前に『千鳥の鬼レンチャン』がレギュラー番組として立ち上がったばかりだったので、『ちょっと無理です』と答えたんです。でも、港さんには昔からとてもお世話になっていたので断りきれず…。総合司会は、『千鳥の鬼レンチャン』の千鳥さん・かまいたちさん・ダイアンさんしか考えられませんでした。津田さんはレギュラーではないですけど」(武田氏、以下同)

『千鳥の鬼レンチャン』は特番を経てレギュラー化されたばかりだったが、「千鳥さんとかまいたちさんが織りなす笑いに手応えを感じていたのと、いま勢いのある番組でやりたいという思いがありました」と、自身の担当番組の中から27時間のベースに選定。今や、日曜のゴールデンタイムで絶対王者だった日テレにコア視聴率(13~49歳)で上回る日も出てくる実績を持つ番組だ。

ただ、千鳥、かまいたちが『千鳥の鬼レンチャン』のメイン出演者である一方、ユースケが影ナレーション、津田がエンディング後の関東ローカル枠での常連という立場のダイアンを、なぜ総合司会に加えたのか。

「何よりも仲の良さですね。皆さん、baseよしもとからずっと一緒にやられているので阿吽(あうん)の呼吸がすごいというか、なんとも言えない“地元の友達感”が見ていて微笑ましいですよね。遠慮がないからこその笑いがいつも起こってます。ユースケさんが影ナレで発する、千鳥さんかまいたちさんへの“ここぞの一言”はめちゃくちゃ面白いですし、津田さんが何かにチャレンジするときに全員が一直線に津田さんをイジる様が最高だったのでオファーさせていただきました」

■『鬼レンチャン』VTR&ゲストなしの通常運行に社内も驚き

18時30分にオープニングを迎え、19時頃からスタートするのは『千鳥の鬼レンチャン』 の「サビだけカラオケ」。名曲のサビだけを一音たりとも外すことなく10曲連続で歌い切れたら賞金獲得という人気企画だが、今回は2人1組のタッグで出場し、1つのサビを2人で歌い分けるというスペシャル版だ。

しかし、チャレンジャーはレギュラー放送と変わらず事前収録で、そのVTRを見守る生放送のスタジオも千鳥とかまいたちのみ。いつも使っているスタジオセットも多少「27」の装飾を入れるくらいにとどめるという。約3時間を予定しているコーナーで、ユースケはいつも通り姿を現さず影ナレに徹し、津田に関しては「お休みの時間です(笑)」というが、このように極めて通常放送に近い形で展開するのには、武田氏のこだわりが反映されている。

「僕は“何が起こるか分からない生放送”という立て付けがあまり好きじゃなくて、正直な話、クオリティを保てる編集番組のほうが好きです。今回、『歌手の方のチャレンジはVTRでやリます』と宣言したとき、社内の人間は『マジ?』『お祭りなのに?』って感じでしたけど、生放送チャレンジのグダグダで『鬼レンチャン』をいつも見てくださっている視聴者の皆さまを裏切りたくなかったので。もちろん、生放送だからこその笑いを千鳥さんかまいたちさんが作ってくださると信じてますが、そういった点ではこれまで『FNS27時間テレビ』を作ってきたフジテレビの先輩方とはちょっとマインドが違うかもしれないです」

「僕ら制作者は視聴率欲しさにキラキラしたゲストの方を番組に呼びたくなっちゃいますし、『27時間テレビ』という超大型特番なら、その意識はなおさら強くなります。でも、足し算によって面白さが削がれることもあると思うんです。千鳥軍、かまいたち軍に1人ずつ入ってもらって3対3でやったほうが画的には豪華になりますが、ゲストの方がいないからこその内輪感が他番組にはない良さだと思ってますので。平成ノブシコブシの徳井(健太)さんがご自身のTwitterで『この番組の良さはスタジオに余計なゲストがいないこと、チャレンジャーの歌手とMCを出会わせないこと』と書いてくださって、僕も改めて認識しました」

そんな「サビだけカラオケ タッグモード大会」にチャレンジャーとして登場するのは、濱田崇裕&神山智洋(ジャニーズWEST)、齊藤京子&富田鈴花(日向坂46)、華原朋美&丘みどり、ほいけんた&ほい航大(※松浦航大)、島谷ひとみ&荒牧陽子、徳永ゆうき&彩青の6組。武田氏はこのメンバーを見渡して、徳永が『鬼レンチャン』の現在のスタイルを方向づけてくれたと振り返る。

「徳永さんが特番の1回目に“0レンチャン”で終わったことが大きかったですね。めちゃくちゃ歌が上手いはずの徳永さんのあの失敗によって、“この番組はカラオケ番組じゃなくてお笑い番組”と千鳥さんとかまいたちさんが認識してくださったんです。正直な話、僕は『炎のチャレンジャー』(テレビ朝日)のような真剣なチャレンジ番組を作ろうと思っていたので、収録で自分の想像の甘さを認識させられました」