イオンファンタジーは7月21日より、都心から車で1時間という山梨県上野原市にエンタメ型のグランピング施設「ミューの森」をオープンする。
「自然との共生」をコンセプトにしていて、すでに宿泊プラン、日帰りBBQなどの予約を受け付けている。プレオープン期間に取材した。
ファンタジーの世界が広がる森
舞台となるのは「山梨県立ゆずりはら青少年自然の里」の跡地。2022年9月22日に上野原市棡原「ゆずりはら自然の里」の指定管理者として採択されたイオンファンタジーが、2023年夏の開業に向けて、急ピッチでリニューアル工事を進めてきた。
敷地面積3万3,000平方メートルには「ミューのテント」(10棟)、「ミューのグランテント」(2棟)、「ファミリールーム」(9室)、「スーペリアツインルーム」(1室)、「バジェットルーム」(1室)など、7タイプの部屋を用意する。
施設内にはファンタジーの世界観が用意。かつてミューの森の民たちが暮らしていた架空の村、という設定だ。
ストーリーに沿ってフィールド内に散りばめられた謎に挑戦する、ファミリー向けの謎解き冒険イベントも用意される。
さらに、ミューの森の民が残した設計図を手がかりに村を蘇らせる「村づくり創造体験」も準備中。
宿泊者が道を整備し、小屋をつくり、家具、遊具なども手づくりできるゾーンになるという。また、地域の自然素材を活用した木工や染め物を体験できる「ものづくりワークショップ」なども提供する。
施設の南側を流れる鶴川では、水遊びも可能だ。透明度の高い清流に入って涼んだり、鳥や虫の鳴き声を聞きながらハンモックに揺られたり、と思い思いの時間を過ごせる。
また、満天の星を鑑賞できる広場なども整備中。無料貸し出しの双眼鏡を使えば、都会の空では見られない「天の川」も手の届くほど身近に感じられるという。
日帰りのBBQプランも充実
宿泊プランではもちろんのこと、日帰りプランでもBBQを楽しむことができるほか、施設内のカフェでは、地元の食材をふんだんに使ったヘルシーでボリュームたっぷりのランチメニューを提供する。夜はバーとしても利用可能とあり、大人にも嬉しい。
プロジェクトリーダーの山本勝三氏は「都心からほど良い距離にあるクローズドな環境のため、ファンタジーの世界観をしっかりと組み込んで”ミューの森”としてデザインすることができました。お客様に非日常感を味わってもらえたら。今後も順次、フィールドに施設を追加していく考えです」と意欲的に語る。
春夏秋冬、1年を通して楽しんでいただける施設です、と山本氏。
「関東近辺にもアウトドアが体験できる場所はありますが、広大な森があって清流もあるキャンプ場となると、なかなか見つかりません。そこに異世界のストーリーを加えたところが大きな差別化要素になっています。1日じゃ時間が足りない、2回目、3回目も来たくなる、そんな施設を目指しています」(山本氏)
現在、ファミリー層を中心に、かなりのペースで予約が埋まってきている状況だと明かす。
イオンファンタジー 取締役 兼 執行役員の小岩渉氏にも話を聞いた。ミューの森を運営するにあたり、いくつか心がけてきたことがあるという。そのひとつは「面白いコンテンツをきっかけにして、子どもたちにSDGsを考えるきっかけにしてもらう」ということ。
ミューの森では大自然の中でDIYを体験できるほか、ファームエリアにおいて栽培した野菜を収穫できる体験イベントなども計画している。
また「宿泊者が自由に過ごし方をデザインできる」ことにもこだわっている。「従来のキャンプ場では、来たは良いもののどう過ごしたら良いのか分からず困ってしまう、ということもあったでしょう。そこで、ノープランで来てもらっても良いように、様々なコンテンツを用意しています」と小岩氏。
例えば夏季シーズンであれば水鉄砲で撃ち合うウォーターバトルをはじめ、暑い時期のメリットを活かしたシーズンイベントを準備中。
雨の日にしか開催しない特別イベントも用意し、「せっかくキャンプに来たのに雨だった」とガッカリさせない、と説明する。
「一般的なキャンプ場では、夜のBBQが興奮のクライマックスとなります。でもミューの森では、夜のコンテンツも充実させていきたい。パフォーマーによるサプライズイベント、音楽ライブ、家族や仲間たちと過ごした当日の様子を動画に仕立てて上映する『想い出上映シネマ』などを準備しています。大人がひと息つけるようなバーも開店しますし、キャンプ場の夜道にはホットワインを提供するカートも走らせる予定です」(小岩氏)。
アウトドア体験で創造力を養い、オープンエアのなかで大自然のごちそうを堪能し、森のテントにこだまする鳥のさえずりで目覚めてもらう―――。そんな非日常を存分に楽しんでもらえたら、とアピールした。