ASUSのポータブルゲーミング「ROG Ally」の販売が好調なようです。「BCNランキング」によると2023年6月19日から25日の週のノートPC実売台数でROG Allyは1位になりました。ゲームに特化したPCではあるものの、NECや富士通、Appleを抑えての1位はROG Allyが幅広い層に受け入れられているということでもあるのでしょう。
持ち運びもできるポータブルゲーム機として思い浮かぶのは「Nintendo Switch」でしょうが、よりハイエンドなゲームに特化したゲーム専用機が最近増えています。中でもSteamが配信する豊富なゲームをプレイするために、ゲームに特化した小型PC(UMPC)も登場し、ディスプレイにゲームパッドを取り付けたゲーム機のようなPCが様々なメーカーから発売されています。本家からも「Steam Deck」が登場し、PCゲームも外出先や移動中でも手軽に楽しめるようになっています。ROG Allyも見た目はゲーム機ですが中身はWindows 11が動作するPCです。
ディスプレイは7インチですがゲームパッドが装着されているため、左右に長い形状となっています。とはいえ人間工学に基づた設計がなされており、女性でも楽に持つことができます。特に左右の取っ手となる部分は滑りにくくなっているため、片手で握っても落してしまうことは無さそうです。
CPUはRyzen Z1 Extremeでメモリ16GBとストレージに512GBを搭載。拡張性も考えられており、独自のXG Mobileインターフェイス、USB Type-C、マイクロSDカードスロット、3.5mmヘッドホン端子などを備えます。内部は冷却性能も向上しており、デュアルファンを搭載するなどゲーム中の本体の発熱をすみやかに抑えられます。
いくつかゲームを楽しみましたが、608gのボディーは両手でしっかり持てる重さですし、十字キーやジョイスティックの動作も快適。左右のトリガーとバンパーボタンも指先がちょうど触れる位置に配置されているので押しやすいです。ディスプレイも10点マルチタッチ対応で反応も良好です。
ゲーミングPCとして使いやすいと感じられるROG Allyですが、ゲーム用途だけに使うのはもったいないとも思います。十字キーなどを多用するアプリケーションであれば、タブレットを使うよりもゲームパッドが搭載されているROG Allyのほうが使いすいでしょう。たとえばVRグラスを使わずにメタバースに参加するときなど、ROG Allyのコントローラで空間内の移動や動きを操作できれば便利です。
またWindowsが動くことから、教育関連のアプリを入れて学校などで使うというのも悪くないでしょう。コントローラーで操作できる学習アプリなら、ゲーム機慣れした今の子供たちにも使いやすいはずです。もちろん子供にゲーム機を渡すとゲームばかりしてしまうかもしれませんが、管理アプリを入れてゲームは1日1時間までしか出来ないように制限をかける、といったシステムを作って対応できるでしょう。
子供たちも「ゲームも勉強もできるマシン」ならより大切に使うでしょうし愛着も沸くはずです。「学習アプリで一定の成果を出せば、ご褒美推としてゲーム時間を30分開放する」といった管理の仕方もこれからの時代、必要かもしれません。
そしてROG Allyは変換ケーブルを使い外部モニターに表示を出力できます。学校や電車の中ではROG Ally単体で使い、自宅に戻ったら机の上のモニターに接続、さらにキーボードとマウスをつなぐことでPCとしても使えるのです。さらにASUSのノートPC向けの外付けGPUユニット「ROG XG Mobile」も利用可能。本体のグラフィック能力をさらに引き上げることができます。
本体の持ち運び用の「ROG Ally Travel Case」は移動中の破損を防ぐほか、ケースを開いてROG Allyを立てかけるスタンドにもなります。学校で使うならこのケースに学校名を入れる、などのカスタマイズもあるといいでしょう。
ROG Allyの本体性能は高く、持ち運びができ、コントローラー内蔵で操作も手軽、外部ディスプレイに接続すればPCとして使えます。ゲーミングPCがゲーム用途だけではなく動画編集など高度なグラフィック作業用途に使われているように、ゲーミングPCもこれからは他の用途への応用も広がるかもしれません。