アシックスはランニングシューズの最新製品「GEL-KAYANO30」(ゲルカヤノ30)を7月27日に発売する。アシックスオンラインストアで先行発売し、8月10日からはアシックス直営各店、全国のスポーツ用品店などでも取り扱う。メーカー希望小売価格は1万9,800円。都内で開催の発表会には、野口みずきさんがゲスト登壇して製品の魅力を語った。
シリーズ史上最大級のアップデート
GEL-KAYANOといえば、アシックスが1993年から展開している長距離用ランニングシューズの高機能モデル。利用者からは、長時間走行してもスムーズな足運びができるサポート力、そして足元のぐらつきを抑える機能性などが支持されてきた。シリーズ誕生から30周年を迎えたGEL-KAYANO30では、さらなる安定性を追求するとともに、足当たりがやわらかく滑らかなライド感が得られるように快適性も向上させている。
男性用のウィズ(足囲)は、スタンダードとエキストラワイドの2種類。カラバリは、ともにブラック×グローイエロー、ブラック×シートロックを用意するほか、スタンダードではブライトオレンジ×ホワイト、エキストラワイドではキャリアグレー×ピードモントグレーを展開する。
女性用のウィズは、スタンダードとワイドの2種類。カラバリは、ともにブラック×グローイエローを用意するほか、スタンダードではグローイエロー×ホワイト、ワイドではグリスブルー×ライムグリーンを展開する。
GEL-KAYANOについて、アシックスジャパンの小寺由梨氏は「ランナーの足を守る安定感などの特徴により、これまで多くの市民ランナーの方のみならず、トップアスリートのトレーニング用としても支持されてきました」と説明。国内販売に先駆け、6月にはスポーツトレーニングの聖地であるアメリカのコロラド州ボウルダーで体験会も実施したが、多くのランナーからとても良いフィードバックが得られたと胸を張る。
「アシックスでは、自己ベストを出すためのシューズとしてMETASPEED、S4(エスフォー)などを展開しており、エントリーランナー、これからランニングを始めようというお客様に向けてはGEL-KAYANO、GEL-NIMBUSなどを提案しています。今後もすべてのランナーに、最高の体験をご提供してまいります」(小寺氏)
続いて、開発担当の中村浩基氏が登壇。同氏によればGEL-KAYANO30は、シリーズ史上最大級のアップデートになったという。「ランナーの足を守るためには、安定性、快適性の両方が必要です。でも安定性、快適性はもともと相反する性質。そこで従来製品とはまったく異なるアプローチとして、4D GUIDANCE SYSTEMを開発しました」と説明する。
4D GUIDANCE SYSTEMとは、1. 広がりをもたせたミッドソール形状、2. 高反発のフォーム材、3. かかと部の適切な傾斜、4. 接地面積を広げた靴底、という4つの特徴を組み合わせることで、安定性×快適性を実現するもの。「開発に際しては、社員などにも10~20kmの距離を走ってもらってデータを収集しました」と中村氏。その結果、ランナーは走行距離が長くなると疲労により前傾姿勢になっていく、地面に対して足裏がフラットに着地するようになる、中足部付近に大きな圧力がかかってくる、といった気づきが得られた。こうした知見も開発に活かした、と話す。「実際に試走してもらうと分かるんですが、疲れて身体が前傾姿勢になると、それを足元から支えてくれる、そんな感覚が得られると思います」。
GEL-KAYANO30のコンセプト「安定性×快適性」をビジュアルに落とし込んだのは、デザイン部の三宅大希氏。「その機能性がランナーの方に直感的に伝わるような造形を模索していきました」と話す。
「今回のモデルから、外側からゲルが見えなくなりました。GEL-KAYANO29までは側面にゲルが見えていたんですが、GEL-KAYANO30ではより柔らかいピュアゲルを、より足に近い箇所に配置しています。これにより衝撃緩衝性が増しているわけです。ミッドソールに深い溝を掘ることで、その柔らかなクッション性を表現しました」(三宅氏)
このあとゲストとして、アテネ五輪女子マラソンの金メダリスト 野口みずきさんが登壇した。引退後は1日10kmを目処に走ってきた、という野口さん。しかしGEL-KAYANO30を試してからは、1日13~15kmを走るようになった、と話す。「GEL-KAYANO30は安定感がすごい。おかげで、この暑いのに走る距離が伸びてしまいました」と笑顔になる。
そして最新モデルの魅力について、以下のように続けた。「私は長年、足の"抜け感"に悩んできたんです。それが原因でトレーニングが中断したり、質の高い練習ができなくなったりしてて。ついに7年前に現役を引退したわけですが、そのときにこのシューズがあれば……。これを持って7年前にタイムスリップしたいくらいです。GEL-KAYANO30を履くと足が矯正されます。だから、私ももう少し長く現役を続けられたんじゃないだろうか。そのくらい安定感がありますよ」。
トップアスリートでも綺麗なフォームで走れる人は多くない、と野口さん。記録を狙う人も、ジョギングのときに矯正の意味合いも兼ねて履くと良いのではないか、とアピールした。
編集部でも、実際に試走する機会を得た。手に持つと、軽量で走りやすそうな印象(男性用は27cm片足で約303g、女性用は25cm片足で約263g)。履いてみると、なるほど柔らかさがある。そこで少し走ってみると、ピュアゲルの弾力を足の裏で感じた。これなら軽快に足も上がる。結果、代々木公園のショートラン(1.2km)を気持ちよく疾走した。今回試走した距離は短かったものの、長距離走時に足元から支えてくれる安定感のようなものも想像できた。ビギナーからアスリートまで、幅広いランナーにニーズのあるシューズに仕上がっていると感じた。