米Open AIは7月20日(現地時間)、AIチャットサービス「ChatGPT」にカスタム指示(Custom instructions)機能を追加した。有料サービス「ChatGTP Plus」向けのベータ提供になっており、加入者は[設定]の[Beta features]で有効化する(英国およびEUでは利用できない)。

カスタム指示は、ChatGPTが回答を生成する際に考慮してほしいユーザーの条件や好みを設定できる機能だ。ChatGPTから適切な回答を引き出すためには、質問の中にユーザーの立場や質問する背景、ChatGPTの役割などを入れる必要がある。例えば、教師が授業計画の作成にChatGPTを利用する場合、会話をスムースに進めるために「日本の小学校で小学3年生を担当している教師」という情報は欠かせない。カスタム指示を利用することで、仕事関連でChatGPTを使う際に小学3年生の理科を教えていることをプロンプトで繰り返す必要がなくなり、例えば「月について教えるべき3つの重要なこととは?」と質問するだけで、ChatGPTは小学3年生を担当する教師向けの回答を生成する。

カスタム指示をオンにすると、アカウントメニューに「Custom Instructions」という項目が追加される(iOSアプリでは[Settings]→[Custom Instructions])。そこでカスタム指示でChatGPTに知っておいてもらいたいこと(住んでいる場所、仕事、趣味や興味、目標など)と、カスタム指示の会話におけるChatGPTの対応(フォーマル/カジュアル、回答の長さ、回答の形式、指示のトピックに対して意見を持つべきか中立を保つべきか、など)を指示する。

例えば、「妻と2人の子供とニューヨークに住んでいる」という家族構成を伝えて、4人家族を考慮した対応を指示すると、「ピザのレシピを教えて」という質問に4人分の分量に調整したレシピを回答するようになる。カスタム指示はWebとモバイルアプリの両方で利用できるようになっており、モバイルで効率的に会話できるように指示を工夫することもできる。

ユーザーからは初対面のような会話を繰り返すことへの改善を求めるフィードバックが寄せられていたという。OpenAIはこれまでのChatGPTの提供を通じて、多様な文脈やユーザー個々のユニークなニーズにモデルが効果的に対応できるようにするステアラビリティ(操舵性)の役割について理解を深め、その成果としてカスタム指示の提供を実現した。同社はカスタム指示から得られる情報を、例えばユーザーの指示に対して過剰に反応しすぎないように調整するなど、モデルの向上に使用する。