夏になると、「電気代の高さ」を実感しますよね。夏の電気代が高い理由は、電気代の大半をエアコンが占めるためです。今年は、7月の時点ですでに厳しい暑さを感じる日が続いており、これからの電気代を心配する人も多いでしょう。

そこで今回は、夏の電気代の平均や、エアコンを使った場合の電気代について解説します。一人暮らし、2人以上の家族のケースでご紹介していますので、今後の電気代を想定するうえで参考にしてみてください。

  • 夏の電気代、平均はいくら?

■家族で暮らす場合、夏の電気代は平均いくら?

夏になりエアコンを使い始めると、電気代の高さに悩まされるものです。では実際に、電気代はどのくらいかかっているのでしょうか。まずは、総務省統計局のデータ(※1)から、二人以上世帯の電気代を月別に見てみましょう。

<二人以上世帯の電気代>

1月 1万2,938円
2月 1万5,331円
3月 1万6,273円
4月 1万3,931円
5月 1万1,811円
6月 9,990円
7月  9,869円
8月 1万1,914円
9月 1万3,202円
10月 1万2,805円
11月 1万1,560円
12月 1万2,514円

これは昨年のデータですが、すでに電気料金が上昇していたこともあり、年間を通して1万円以下に抑えられている月は6月と7月しかありません。なお、出典元である家計調査では、利用月と支払い月に1カ月のズレが生じている可能性があるため、たとえば、2月の電気代は、実際には「1月の利用分」として見るといいでしょう。

このデータでは、最も電気代が高いのは3月の1万6,273円、次は2月の1万5,331円です。実際には2月と1月の利用分となりますので、冬の寒さが最も厳しい時期に当たります。また、6月と7月(5月と6月の利用分)は一度電気代が下がりますが、エアコンを使い始めることで8月(7月利用分)には1万1,914円と再度上がり始め、9月(8月利用分)は1万3,202円に上昇しています。

このように、冬場はエアコンや電気ストーブなどの暖房器具、夏場はエアコンなどの冷房器具の使用が増えるため、どうしても電気代が高くなりがちです。なお、冬は夏よりも電気代が高くなる傾向にあります。それは、冬の方が夏よりも室内と室外の気温差が大きく、部屋を暖めるのに多くの電力を消費してしまうからです。

夏の時期も、エアコンの出番が多くなり、冬ほどではないものの電気代が高くなります。特に、今年の夏は厳しい暑さが予想されていて、室外の気温とエアコンの設定温度の差が大きくなったり、エアコンを使う時間が長くなったりしそうです。

ここでご紹介した電気代は、総務省のデータに基づくものであり、あくまで目安の一つに過ぎませんが、「これからの時期、電気代はこのくらいかかるかもしれない」と心得ておきましょう。

(※1)「家計調査(家計収支編) 時系列データ(二人以上の世帯)用途分類」(2022年)

■一人暮らしの夏の電気代は

次に、一人暮らしの電気代について見ていきましょう。同じく総務省のデータを参考にしますが、単身世帯の場合、四半期ごとのデータのみ公表されていますので、そちらをもとに3カ月の平均金額をご紹介します(※2)。

<単身世帯の電気代>

1~3月 7,749円
4~6月 6,333円
7~9月 6,418円
10~12月 6,557円

単身世帯も同様に、最も電気代が高いのは、冬の寒さが厳しい時期となっています。最も電気代が高いのは1〜3月(利用月は12〜2月)で、4〜6月(利用月は3〜5月)と比べると1カ月あたり1,400円も高額です。

ただし、元々の金額が家族の世帯よりも低いため、年間を通じてそこまで大きな差にはなっていません。とはいえ、今年の夏の暑さやそれに伴いエアコンの使用頻度が高くなること、そして、電気料金の値上げを考えると、一人暮らしでも安心はできないでしょう。

(※2)「家計調査 家計収支編 単身世帯 詳細結果表」(2022年)より筆者計算

  • 一人暮らし、二人以上世帯の電気代を比較

■エアコンを使った場合の電気代はいくら?

夏の暑い時期は、エアコンを使うことでどうしても電気代が高くなります。資源エネルギー庁によると、夏の日中(14時頃)に使用されている電気のうち、約60%をエアコンが占めているというデータがあるほど、エアコンの消費電力は大きいのです。

実際、エアコンを使うことでどのくらいの電気代がかかっているのでしょうか。エアコンの1時間あたりの電気代は、

1時間あたりの消費電力(kW)×使用時間(時間)×料金単価(円/kWh)

で求めることができます。たとえば、パナソニックのエアコン「エオリア LXシリーズ(12畳用)」を例にすると、消費電力(冷房時)は110〜1,250Wです。このエアコンを使用し、電気料金単価が31円/kWhの場合、1時間あたりの電気代は3.41〜38.75円となります。

エアコンは、運転中の消費電力が一定ではないため、実際にどのくらいの電気代がかかっているのかわかりにくいですが、平均の消費電力である825Wで計算すると、1時間あたりの電気代は25.58円です。

また、エアコンは一般的に、部屋の広さを目安に消費電力が決まっているため、広い部屋用のエアコンほど消費電力が高くなります。先ほどと同じ機種のエアコンで18畳用のものは、消費電力が120〜2,020Wで、1時間あたりの電気代は3.72〜62.62円、平均の消費電力である1,580Wで計算すると、1時間あたりの電気代は48.98円となります。

このように、エアコンを使うとそれなりの電気代がかかるため、エアコンを使っていない時期に比べると、夏は電気代が高くなってしまいます。エアコンによる電気代を少しでも抑えるには、エアコンを「自動設定」にするといいでしょう。

エアコンは、設定温度に達するまでに最も多くの電力を消費しますが、自動設定にすると、設定温度まで下げたあとは室温に応じた強さの運転をしてくれるため、無駄な電力を使わずに済むからです。また、30分程度の外出なら、エアコンは付けっぱなしにしたほうが節電には効果があります。

そのほか、サーキュレーターや扇風機を併用し、冷気を効率的に循環させる工夫もおすすめです。今年はエアコンを使う機会が増えそうですので、少しでも電気代を抑えるため、さまざまな工夫を重ねて利用しましょう。

■エアコンを上手に使いながら、快適に過ごす工夫を

今回は、夏の電気代やエアコンの電気代について解説しました。夏の電気代に占めるエアコンの割合は大きいため、エアコンを使う時間が長いほど、電気代は高くなりがちです。今年は猛暑が予想されていますので、上手にエアコンを使いながら、冷却グッズを取り入れるなど、少しでも快適に夏を乗り切れるよう考えていきましょう。