2022年10月に締結した連携協定に基づき、ICTを活用した「探究的な学習」の機会創出と、地域の価値創造を目指して連携した取り組みを行っている、ドルトン東京学園とNTT東日本。

2023年6月からは、NTT東日本 東京武蔵野支店とビオストックの協力のもとで、同学園の中等部において、再生可能エネルギーに関する学習環境のコーディネートを行っている。

  • ドルトン東京学園中等部の1年生を対象に行われた「メタン発酵技術」に関する特別授業

京都大学の博士による特別授業

取り組みには、NTT東日本グループの「都市型資源循環モデル」に関心を示した、京都大学 農学研究科農業システム工学分野の助教 博士(農学)大土井克明氏も協力。

6月5日には、中等部の1年生を対象に、大土井氏による「メタン発酵技術」に関する特別講義が行われ、循環型資源や再生可能エネルギー、さらにその1つであるメタンガスについての基礎知識を学習した。

続く6月19日に行われた、2回目の授業では、同学園の向かいに立地する、NTT中央研修センタにある「NTTe-CityLabo」内に設置されている「超小型バイオガスプラント」を実際に見学。

メタン発酵の原料となる食品の残渣(ざんさ)が破砕機で粉々にされた後、調整槽、発酵槽を経て、メタンガスや液体肥料であるメタン発酵消化液が生成される設備と過程を観察し、メタン発酵に関する理解を深めた。

中学生たちがメタンガスを作る実験に取り組む

7月3日に実施された、3回目となる今回は、当日の家庭科の調理実習等の残渣で廃棄された生ごみを原料にして、生徒たち自身で実際にメタン発酵を行う体験実習を行った。

  • 授業は「ラボノート(実験ノート)」に板書された実験内容や要点、キーワードを各自記入することから始まる

  • 実験用のメタン発酵装置はペットボトルを用い、装置は生徒たち自身の手で自作する

  • メタン発酵装置の材料

  • 発生したガスが漏れないように密閉されたペットボトルを完成させる

まずはペットボトルに付け替えるストローキャップを、空気が漏れないように密閉する加工を行った。

ストローキャップに設けられた穴をグルーガンで塞いだ後、ストローの先にコネクターで短いチューブを取り付けて息を吹きかけて、穴が塞がっていることが確認できれば完成だ。

  • ペットボトルに取り付けるストローキャップは100円ショップで売られているどこにでもあるものだが、一部細工を行い"ミニ・メタン発酵装置"を作成する

  • 先生がスマホのカメラを使って撮影しながら、細部を拡大してモニターで映し出し、分かりやすく説明する

  • フタをした際に邪魔になるツメの部分をニッパーでカット

  • ガスが漏れないようにキャップの穴をグルーガンで塞ぐ

  • ペットボトルのキャップを取り付け、ストローで息を吹き込み、穴が開いていないことを確認

次に行ったのは、生ごみを水と混ぜてミキサーで粉砕し、メタン発酵の原料を作る作業。 スケールで慎重に計量し、生ごみ152.98グラム、水155.94グラムの割合で混ぜ合わせてミキサーで粉砕・攪拌したものを班ごとにペットボトルに40グラム程度詰める。

  • 使用された生ごみは調理実習等の残渣

  • 水と混ぜ合わせる前に分量をしっかり計測、今回は生ごみ152.98グラム、水155.24グラムの原料からメタンガスを取り出す

  • 分解を速めるために、ミキサーで水と生ごみを細かく粉砕、攪拌

  • ペットボトルに各班およそ40グラムの原料を詰める

最後に事前に採取されたメタン菌を混ぜ合わせる。この状態のまま37℃で2ケ月ほど保管して発生したメタンガスを実際に燃焼させる実験を9月に行う予定だ。

  • 今回メタン菌として用いられる種汚泥は、3週間前に京都にある八木バイオエコロジーセンター採取されたものだそう

  • メタン菌をペットボトルに注ぎ入れる

  • 加工したキャップをペットボトルに取り付けて完成。その際、おそるおそる臭いを嗅いでいる生徒が多かったのが印象的だ