「一助を担う」は、特に目上の人など、相手の行為に対して使用すると失礼になるので注意が必要です。
本記事では「一助を担う」の詳しい意味や、具体的な使い方と例文を紹介。相手の行為にも使用できる言い換え表現もまとめました。
「一助を担う」の意味と読み方とは
「一助を担う」とは、相手にとって、わずかではあるが助けになることを表します。「いちじょをになう」と読みます。
「一助」とは、「少しの助け」「わずかの足し」という意味です。「担う」は「物事を支え推し進める」「負担する」「引き受ける」という意味です。
「一助」を用いたほかの言い回しとしては、「一助となる」もあります。
目上の人や相手の行為に対して使うと失礼なので注意
「一助」は前述のように、「『ほんの少しの』助け」「『わずかばかりの』助け」という意味の言葉です。
そのため、自分の行為に対して「大したことはないですが」「わずかばかりですが」と謙遜する意味合いで使用するのが一般的です。
「助けていただいてありがとうございます」という意味で、相手の行為に対して「一助を担っていただいてありがとうございます」としてしまうと、「大した足しにはならなかったけれど、ありがとうございます」という意味になってしまい、とても失礼にあたるので注意してください。
またその場にいない第三者の行為に対して「彼女の一助があって本当に救われたよね」などと表現するのも、「彼女」に対して失礼であるのと同時に、実際に救われたのであれば違和感があります。
「一助を担う」の使い方・例文
「一助を担う」を使う場面は、自分が微力ながら何かの助けになるよう力を貸すとき、意気込みややる気を伝えるときです。
自分の力を貸していることを謙遜して表すことができるので、恩着せがましくならずに済みます。ビジネスシーンでは、上司や取引先など、目上の人に対して使われることが多いでしょう。
以下、例文を紹介します。
- お客さまのスキルアップの一助を担えるよう、誠心誠意サポートいたします。
- わが社の発展の一助を担えるよう、精進を続けて参ります。
- 弊社の活動が、住みやすいまちづくりの一助を担えているのであれば幸いです。
- 震災復興の一助を担えればと、寄付をすることにいたしました。
- 部長直轄プロジェクトの一助を担え、幸いです。
- 私の研究が、商品開発の一助を担うことができて光栄です。
なお主語は自分以外に、本人の行動の意図や考えを代弁している場合ならば、三人称でも可能です。
- 彼女は地域復興の一助を担うべく、ボランティア活動に参加しました。
ただし「一助」は「わずかな助け」という意味の言葉です。この場合の「彼女」に対して失礼に伝わる可能性もあるため、相手や状況に応じて使い分けましょう。
「一助を担う」「一助」の類語・言い換え表現
ここからは、「一助を担う」の類語、言い換え表現の意味や使い方を紹介します。言葉の意味を改めて確認しましょう。
一翼を担う
「一翼(いちよく)」とは「一つの役割」のことです。全体のうち、一つの役割を引き受けることを「一翼を担う」と表現します。
「一助」は「わずかばかりの助け」ということで補佐的な役割であることに対し、「一翼」は一部ではあるものの、当事者として主体的に任務にあたるニュアンスがあります。
例文は以下の通りです。
- 私たちは、本プロジェクトの一翼を担うことになりました。
- 弊社は都市開発の一翼を担い、地域の方々へ貢献できるよう努めます。
一端を担う
「一端(いったん)」とは、「一部分」という意味です。「一端を担う」で、ある物事のうち、部分的に関与して責任を負う、という意味を表します。
例文は以下の通りです。
- 彼の分析力には専務も一目置いており、やがて彼は専務派閥の勢力の一端を担うことになった。
尽力
「尽力」とは「何かのため、誰かのために力を尽くすこと」を意味します。「自分のため」ではないことが、活用のポイントです。
例文は以下の通りです。
- 今回のプロジェクトを成功させるべく、尽力する所存です。
- ご期待に添えるよう、尽力いたします。
「ご」を付けて「ご尽力」とすることで尊敬語になります。「ご尽力」は自分の行為に対して使うのではなく、相手の行為に対し、感謝の意を表す場面で使います。
- この度はご尽力いただきありがとうございました。
- 先生方のご尽力に深く御礼申し上げます。
尽力の意味は? 尽力いたします、尽力して参ります、ご尽力の使い方や例文も
力添え
「力添え」の意味は「他人への援助、助力」であり、「誰かのために尽くす、精いっぱい奔走する」という意味合いの「尽力」に比べると、軽い意味合いがあります。
例文は以下の通りです。
- 微力ではございますが、喜んでお力添えいたします。
自分の行為に対してだけでなく、目上の人を含めた相手に対し、援助を依頼する、あるいは援助に感謝する場面でも用いることができます。
例文は以下の通りです。
- お力添えを賜りたく、お願いに参りました。
- 何卒、お力添えのほどよろしくお願いいたします。
- 多大なるお力添えを賜り、誠にありがとうございました。
- ◯◯様のお力添えのおかげでございます。
助力
「助力」とは「他人の活動や仕事などを手助けすること」です。
自分の行為に対して使用する場合は、「微力ながら」とセットにすることで謙虚さが加わります。
また、尊敬語としての「ご助力」の形でも使えます。
例文は以下の通りです。
- 微力ながら、助力いたします。
- ◯◯様のご助力に感謝申し上げます。
- ◯◯様からのご助力もあり、目標を達成できました。
「一助を担う」の意味を覚えておこう
「一助を担う」は、日常会話の中ではあまり登場しないフレーズですが、ビジネスシーンやかしこまった場面で活用できる便利な言葉です。
謙遜しながら自分の行動をアピールすることができるので、嫌みなく、恩着せがましくなく使用することができるでしょう。
今回ご紹介した類語・言い換え表現と併せて、状況に応じて使い分けましょう。