パナソニックが8月1日に発売する新ジャンルの家電「スマートクローゼット HCC-R600A」(以下、スマートクローゼット)。ロッカー型のスマートクローゼットは、収納した服のシワ伸ばしや乾燥、除菌・除臭、花粉などの無効化ができる家電です。
同じようなロッカー型衣類ケア製品は他社から発売されていますが、パナソニックのスマートクローゼットならではの強みとは一体なんでしょう? プレス向け体験会からお伝えします。スマートクローゼットの価格はオープン、推定市場価格は330,000円前後です。
パナソニックの衣類家電技術が集結!?
パナソニックは衣類に関する多くの家電を開発しています。今回のスマートクローゼットには、パナソニックが手がけてきた衣類家電の技術がいくつも応用されています。具体的には、高機能ドラム式洗濯乾燥機の「ヒートポンプ」、強力な蒸気を発生させるスチームアイロンの「ジェネレーター」、除菌・除臭に効果を発揮するイオン技術「ナノイーX発生器」などです。
スマートクローゼットには、「シワのばし」「ナノイーXコース」「乾燥」という大きく3つのコースがあります。シワのばしは、庫内にスチームを充満させて衣類のシワを伸ばし、ヒートポンプで乾燥。ナノイーXコースは、内蔵のナノイー発生器で生成したイオンを庫内に放出して除菌・消臭、および花粉やウイルスを抑制します。乾燥コースは、ヒートポンプを使って衣類を優しく乾燥したり、冬ならお出かけ前に衣類を温めたりできます。
ところで、同じような「ヒートポンプとスチームを使ったロッカー型の家電」として、2017年に日本上陸した「LG Styler」(LGエレクトロニクス)を思い浮かべた人もいるでしょう。本体の見た目も衣類ケアという機能も似ている両者ですが、もちろん大きな違いがあります。
スマートクローゼットの基本性能やシワ伸ばし能力については別記事『パナソニック「スマートクローゼット」を一足先に実機チェック! 衣類の消臭やシワ取りができるケア家電』をご覧いただくとして、ここではパナソニックのスマートクローゼットならではの機能について紹介します。両者の違いを知ることで、自分に合った製品はどちらなのか、参考になれば幸いです。
最大の違いは「振動」! パナソニックはシワ伸ばしに風を利用
スマートクローゼットとLG Styler、最大の違いは振動の有無です。LG Stylerはスチームで除菌や除臭ができるほか、ハンガーをかけるバーが振動します。スチームの中で衣類を振動させることで、衣類のシワを伸ばしたり、花粉などのゴミを落としたりできるのです。
一方、スマートクローゼットに振動機能はありません。その代わり、送風口にルーバーを設けており、庫内の風向きをコントロール。スチームでしっとりした服に風を当て、衣類を風で揺らしながら乾かすことによって、シワ伸ばしをサポートします。
「振動しない」ことによる一番のメリットは静音性。とくに除菌・消臭時の運転音は約30dB(郊外の深夜レベルの音)と、とても静かです。日本は狭い住宅が多いものですが、スマートクローゼットなら寝室にも置けるでしょう。壁が薄い賃貸住宅でも利用できそうですね。
もうひとつの違いは「ナノイーX」の存在です。LG Stylerは除菌や消臭などのケアにスチームを利用するのに対し、スマートクローゼットはOHラジカルと呼ばれるイオンを使います。このため、除菌・除臭ケア時はスチームによる湿度アップがありません。水分を嫌う素材の衣類を安心して除菌・除臭ケアできるのはうれしいポイント。おうちで手洗いできない「ドライクリーニング必須」の衣類には、このナノイーXコースが魅力的です。
衣類ケア家電の選択肢が増えた!
おもにスマートクローゼットと既存製品の違いについて見てきましたが、スマートクローゼットはその静音性や、デリケートな衣類に向いている点が特徴です。とはいえ「スマートクローゼットのほうが優秀なのか?」といえば、一概にそうでもありません。LG Stylerの「振動」によるケアのほうが、わかりやすくて好みというユーザーもいるはず。また、スマートクローゼットは「操作の簡単さ」を考えてあえてIoTにしていませんが、LG StylerはIoT対応。これもユーザーの好みが分かれそうです。
置き場所が寝室しかないならスマートクローゼット、花粉を(無効化するのではなく)物理的に落としたいならLG Stylerなど、自分の生活スタイルに合った製品を選びたいですね。いずれにしろ、いままでLG Stylerという選択肢しかなかった「ロッカー型の衣類ケア家電」にパナソニックという大メーカーが参入したのは大きなトピックです。一度使い始めると、手放せなくなるくらい便利な家電なので、パナソニックの参入で選択肢が増えたことは個人的にもうれしく思っています。