エコチル調査参加者のうち、過去に妊娠した子どもの性別が不明もしくは記載されていないことが多い流産・死産・中絶などを経験したことがある女性は除外され、最終的に6万218名を対象に調査が行われた。
対象者のうち、今回が初産(第一子)だった場合の子どもの二次性比は1.055だったという。これに対し、第一子が男児だった場合の第二子の二次性比は1.068、反対に女児だった場合は1.039であり、わずかに第一子と同じ性別の子どもが生まれる傾向があったとする。
さらに、第三子以降でエコチル調査に参加した女性に着目すると、過去に連続して男児のみを妊娠・出産している場合の子どもの二次性比は1.112であり、男児へのより高い偏りが認められたとする。反対に、連続して女児のみを妊娠・出産していた場合では0.972と、女児への偏りが認められた。
統計的な解析の結果、過去に連続して男児を妊娠・出産している場合は、連続して女児を妊娠・出産している場合より、次回も男児となる確率が7%程度高いことが導き出されたとする。また統計上、このような子どもの性別の偏りが偶然生じる確率は極めて低く、何かしらの要因の結果として引き起こされた偏りであると考えているとしている。
さらに、【男男】兄弟の場合の次の子どもの二次性比は1.100であるのに対し、【男男男】では1.169、【男男男男】では1.750と、男児がより多く連続している場合は次回も男児を妊娠する可能性が高くなっていく傾向が認められた。また、【女女】姉妹の場合の次の子どもの二次性比は0.987であるのに対し、【女女女】では0.824、【女女女女】では0.750と、女児がより多く連続している場合は、こちらも次回も女児を妊娠する可能性が高くなる傾向が認められたという。
今回の調査結果により、過去に連続して男児のみもしくは女児のみの妊娠経験がある場合、次の妊娠機会で生まれる子どもの二次性比は両者の間で同等ではないことが判明した。研究チームは、このような子どもの性別の偏りの原因が父親と母親のどちらにあるのか、あるいは夫婦の相性による問題なのかは興味深いとする。そして今後はその点について調べることが課題であり、その点を解明することは、ヒトの性比に関する理解を進めることの一助になると考えているとしている。