UR都市機構と東京メトロは15日、拡張工事が完成し、「駅まち一体」となった新たな虎ノ門ヒルズ駅(東京メトロ日比谷線)の報道公開を実施した。新設した地下2階の改札・コンコース、拡張した地下1階ホームの様子も公開された。

  • 東京メトロ日比谷線虎ノ門ヒルズ駅の拡張工事が完成。地下2階に改札・コンコースが新設された

虎ノ門ヒルズ駅は霞ケ関~神谷町間に新設され、東京メトロ全線で180番目、日比谷線では全線開業以来56年ぶり、22番目の駅として、2020年6月に暫定的なレイアウトで開業した。ホームは地下1階にあり、2面2線の相対式。地下歩行者通路を介して虎ノ門駅(東京メトロ銀座線)とつながっており、乗換駅に設定されている。

周辺まちづくりを一体的に進めるため、UR都市機構が事業主体となって関係者間調整を行い、東京メトロは既存営業路線の安全運行を確保しながらの駅整備を担当。2020年6月の開業後も、駅に隣接する虎ノ門一・二丁目地区市街地再開発事業の協力を得ながら駅の拡張工事を進めてきた。

  • 虎ノ門ヒルズ駅の改札は地下2階の1カ所に集約された

  • 地下2階の改札内にパブリックアートが設置されている

工事の完成にともない、地下2階にこれまでの倍以上の幅員となる通路(コンコース)と改札を新設。駅の東西や地上・地下をスムーズに行き来できるようにした。地下2階コンコース(改札内)にパブリックアートも設置され、清川あさみ氏(美術家・絵本作家・プロデューサー)が原画を担当した大型ステンドグラスの作品「Our New World(Toranomon)」を展示する。

改札・コンコースとつながる地下鉄駅前広場も駅の両側で整備し、このうち「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」(今秋開業予定)内の駅前広場は「ステーションアトリウム」の名称に。その反対側、「グラスロック」につながる駅前広場からエスカレーター等で地下1階に上がると、地下歩行者通路を経由して虎ノ門駅へ行くことができる。

  • 「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」(今秋開業予定)内の地下鉄駅前広場「ステーションアトリウム」。地下1階からガラス越しに電車の到着・発車する様子を見ることもできる

  • コンコースの支柱にデジタルサイネージが設置されている

  • コンコースの壁一面に設置された大型スクリーン。虎ノ門ヒルズの広告が映し出された

改札の移設にともない、これまで暫定的に設置されていた改札3カ所(地上および地下1階)が閉鎖された。虎ノ門ヒルズ駅の中目黒方面ホームから虎ノ門駅へ乗り換える場合、同一階での乗換えができなくなり、ホームから地下2階に下りて改札を抜け、再び地下1階に上がって地下歩行者通路を通り、虎ノ門駅へ向かうことになる。一方、虎ノ門ヒルズ駅の北千住方面ホームから虎ノ門駅へ乗り換える場合、これまでは地上に一度出て桜田通りを歩き、交差点を渡る必要があったが、改札の移設で地下歩行者通路とつながったため、天候を気にすることなく地下だけで乗換えが可能になった。

地上出入口についても、これまでのA1・A2出入口を閉鎖し、A1a・A2a出入口を新設。A2a出入口から地上乗換えで虎ノ門駅へ行くこともできる。

拡張工事の完成に合わせてホームも拡大され、利便性が向上。北千住方面ホームの幅はこれまで約6.0mだったが、大幅に拡幅され、最大約14.3mとなった。中目黒方面ホームも、これまでの約4.9mから最大約7.2mに拡幅されている。ホームと地下鉄駅前広場がつながり、壁をガラス張りとしたことで、ホームに自然光が入り、明るく開放的な空間に変化。地下鉄駅前広場の地下1階から、日比谷線の電車がホームに到着・発車する様子をガラス越しに見ることも可能になった。

  • 拡幅された北千住方面ホーム。幅は最大約14.3mとされ、拡幅前(幅約6.0m)の2倍以上に

  • 虎ノ門ヒルズ駅に日比谷線の電車(東京メトロ13000系、東武鉄道70000系)が到着

報道公開では、「ステーションアトリウム」から見た虎ノ門ヒルズ駅の外観をはじめ、地下2階の改札・コンコースとパブリックアート、拡幅した地下1階ホームの様子などが公開された。囲み取材に応じたUR都市機構の轟幸紀氏(東日本都市再生本部 都心業務部 担当部長)は、拡張工事の完成を受け、「周辺のまちとの回遊性、にぎわいに寄与するような形になったと思います。秋に予定されるまちびらきに向け、より一層にぎわいのある駅になることを期待しています」と語った。

東京メトロの川上和孝氏(鉄道本部改良建設部 第二工事事務所長)も質問に答え、「駅の両側に再開発のエリアをつくり、ビル側・ホーム側からそれぞれ(駅前広場やホーム内の様子を)見られるようにした駅は、東京メトロの地下駅でも初めてではないかと思います」「2020年に暫定的なレイアウトで開業しましたが、その後も地下2階など拡張するにあたり、日比谷線を営業しながら工事する必要があったため、細心の注意を払いながら進めました」とのことだった。