連日厳しい暑さが続く中、熱中症患者が急増している。熱中症といえば、屋外で発生するイメージが強いが、2022年5月~9月の発生状況(消防庁調べ)を場所別にみると、「住居」が最も多く39.5%を占めている。対策の一つとしてエアコンの活用がすすめられるが、電気代が気になるという人も多いのではないだろうか。
そこで今回は、三菱電機が発表した「エアコンのプロが教える、暑さを我慢せずに節電をする方法」を紹介。早速、無理なくできるエアコンの節電方法と熱中症対策をみていこう。
■熱中症の原因
熱中症は高い温度や湿度によって起こる体調不良で、一般的に、夏の屋外で強い日差しに当たることで起こるイメージがある。しかし、室内でも熱中症の対策を行わないと、屋外と同じように熱中症を引き起こすリスクが高くなるという。
"日本一暑い街"で知られる埼玉県熊谷市で25年間働く藤永剛医師によると、室内での熱中症の原因は、「環境要因」「身体要因」「行動要因」の3つに分けて考えられる。この中でも重要なのは「環境要因」対策で、室内の温度・湿度を適切に管理しないと熱中症が重症化しやすくなる。実際、室内での熱中症で救急搬送されてくる患者が多いと藤永医師は話している。
住居の中でも、特に熱中症の発生リスクが高い場所は「エアコンや扇風機を適切に使わず、室温や湿度が高い部屋」。そのため、室内の熱中症対策はポイントをおさえて行う必要があるという。
■【室内での熱中症】気をつけるポイントと対策
それでは、室内での熱中症の原因「環境要因」「身体要因」「行動要因」それぞれについて、気をつけるポイントと対策を説明していこう。
「環境要因」のポイントと対策
日本冷凍空調工業会によると、エアコンの設定温度を1℃上げると約10%の省エネになる。しかし、室温が28℃よりも高くなると、熱中症を起こす可能性が増してしまう。
三菱電機では、室内における熱中症を予防するには、エアコンや扇風機を活用して、室温28℃以下、湿度50~60%を目安にするよう推奨。また、すだれ・よしず等を用いて窓からの直射日光を遮ることもすすめている。
ただし、冷房時に注意してほしいのが「冷やしすぎ」。なぜなら、涼しい室内から高温の屋外に出たときに急激な温度差に対応できず、めまいや立ちくらみといった「夏のヒートショック」を起こす可能性があるからだそう。
「身体要因」のポイントと対策
体の具合が悪いときは熱中症になりやすい。日頃から体調管理をしっかり行い、熱中症になりにくい体づくりをするようにしよう。なお、高齢者や乳幼児などの熱中症になりやすい人には、周囲が見守りや声かけを行うようにしてほしいとのこと。
「行動要因」のポイントと対策
エアコンなどを使用している室内は空気が乾燥しやすく、気付かぬうちに脱水を起こしている場合がある。喉が渇いていなくても、こまめに水分を補給するようにしよう。
■エアコンのプロが教える"無理なく節電対策"を行うコツ
次に、エアコンのプロが教える「"無理なく節電対策"を行うコツ」を説明していく。
「スイング」機能を活用する
無理なくできるエアコンの節電対策、一つ目は「スイング」機能を活用すること。エアコンを人に向けてスイング運転すると、体感温度が下がるため、過度な電力消費を避けることができるという。
また、長時間、体の同じ部分に冷風を当て続けるのは良くないため、スイング運転が望ましいとしている。
節電には、窓の外側にすだれ・よしずを設置することも効果的。窓とすだれ・よしずの間にできる空気層は、熱を通しにくく室内に熱がこもらないため、節電対策におすすめとのこと。
こまめなフィルター掃除で節電
エアコンの節電には、こまめなフィルター掃除も重要。フィルターが汚れていると、排出する空気の清潔性が損なわれたり、風量が低下したりする等の原因になるほか、消費電力の悪化にもつながる。三菱電機社の実験によると、フィルターを約半年間(1日8時間の使用を想定)手入れしなかった場合、新品の状態のフィルターを使用している場合と比べ、 消費電力が約12%も悪化することが判明している。
手軽にできるフィルターのお手入れは、2週間に1回、掃除機でフィルターのホコリを取る方法だ。ホコリが取れない・汚れがひどい場合は、水洗いをするか、台所用中性洗剤を使用量の目安(水1リットルに対して0.75ml)まで溶かしたぬるま湯で洗うといいそう。洗った後は十分に乾燥させてから、エアコンにつけるようにしよう。
ただし、「自動フィルターおそうじ機能」搭載機種はフィルターが薄い場合があるため、洗浄の際には変形や損傷に注意するよう呼びかけている。また、電気部品を外しての掃除は故障の原因になるため、絶対にやめてほしいとしている。
室外機のチェックを行う
室外機は、周辺の空気を吸い込んで熱交換を行うため、吹出口付近に物を置くと障害となり熱交換率が低下する。さらに、カバー等で周りが囲まれている状態では、放熱効率が下がり余計に電気代がかかってしまう。室外機の周りは常に整理整頓するようにしよう。
さらに、室外機の上側のみをカバーして直射日光を遮断し、室外機の温度を下げることも節電対策につながるという。なお、室外機内部に水をかけるなどの行為は故障につながるためNGとしている。